2012-07-20

【電磁波は地震を引き起こすのか?】地球内部の加熱メカニズムとは2 ~電磁加熱(誘電加熱編)~

☆☆☆なぜ電磁加熱を追求するのか?

☆地震メカニズムの有力候補の『熱移送説』。ただ一方で、地中内部のマイクロ波による熱移動についてはイメージレベルに止まっている

『熱移送説』という地震理論(電磁波の伝達によって地球内部が“電子レンジ状態”になり、熱が移動 地盤内が膨張 地盤が破断(地震) 再溶接 電磁波による熱の移動という仮説)は、現実との比較を行うとかなり整合しており、地震予測に関する論理の一つの有力な候補ではないかと思います。

【電磁波は地震を引き起こすのか?】地球内部の加熱メカニズムとは1 ~プロローグ

多くの矛盾点を説明できていない通説のプレートテクトニクス論(リンク)(リンク
に比べて、熱移送説では現実のデータや現象との整合していると考えられますが、その『熱移送説』では、地球内部を電子レンジ状態にすることを前提にしています。

ところが、熱移送説の元となっている『地震の癖』(リンク)によると、

かなり速く岩石層中の隙間をたどって移送されると思われる火山ガスでも、これほどの猛スピードは不可能です。この猛スピードに対応できるのは、高速で加熱できる電磁波(とくに電子レンジで使われるマイクロ波)くらいしかありません。『地震の癖/P72』

地球の外核は6,000度という高温で、ドロドロに溶けた液体でできています。その外核の液体が流動することで、電磁波(マイクロ波)を地表に向けて発します。その電磁波(マイクロ波)がマントルの中にある「マグマ溜まり」や「高温で岩石が溶けた部分」を刺激し、火山の噴火や地震を誘発しているという考え方です。『地震の癖/P73』

とあり、どうやって地中の岩石(マグマ)を加熱しているのか?などはイメージレベルに止まり、鮮明ではありません。

そこで、熱の移動の前提となる地球内部の加熱原理を明らかにする為に、電磁波(電界と磁界の変化)による加熱、すなわち電磁加熱の加熱原理を扱っていきたいと思います。

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☆☆☆電磁加熱の原理を整理する

そこで、まずは電磁波(電界と磁界の変化)を用いた固体物の加熱方法(=電磁加熱)の基礎知識を整理していきます。

電磁波(電界と磁界の変化)を利用して、固体物を加熱する方法は一般的に、大きく分けて以下の2種類あり、現在多くの工業製品や家電製品に用いられています。

①誘電加熱(周波数は異なるが原理は電子レンジと同じ原理)
②誘導加熱(IHヒーター)

上記の二つの原理は一般的には異なる加熱原理と言われていますが、これらの加熱原理を詳細に押さえ、地球内部で起こりうる加熱メカニズムの検証をしていきます。

まず今回は、電子レンジと同じ加熱原理の「誘電加熱」について整理します。

☆☆☆電磁加熱の原理① ~誘電加熱のメカニズム~

☆誘電加熱を追求する目的

電子レンジ効果というと、家庭の電子レンジを想像してしまいがちです。一般的に電子レンジで温まるのは、水であり、大気圧下では、せいぜい100℃までしか上昇しません。ところが岩石は固体で、溶けるには千数百℃くらいまで加熱が必要です。

そこで、取り上げたいのはセラミック焼成技術です。

この技術では、固体それも岩石と似たような鉱物を含む物質を、電子レンジと同じ「誘電加熱」という加熱方法で千数百℃まで上げることが出来ることが分かっています。

【電磁波は地震を引き起こすのか?】地球内部の加熱メカニズムとは1 ~プロローグ

固体加熱の技術として多くの産業で用いられている「誘電加熱」。
それでは、誘電加熱のメカニズムを順を追って見ていきましょう。

☆加熱の可否は「分極現象」の有無=加熱対象は「絶縁物」

まず、図のような電気回路に直流電源を繋げると、電流そのものは通りませんが、回路が繋がっていない空間には+(正)から-(負)の方向へ電界が生じます。(図A)
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この電界の中に、電流の通らない、つまり自由電子もたない物質(=絶縁物)を置くと、文字通り物質内に電流は流れませんが、物質中のイオンや電子のような正・負の電荷は存在する為、物質中の正の電荷は回路の負の方へ、負の電荷は回路の正の方へ引き寄せられます。(図B)

すると、物質として安定していた電気的な平衡点から偏りが生じて、見掛け上、電荷が分離し極性が発生する現象が見られます。この現象を「分極現象」と呼び、このような性質を示す物質を『誘電体』と呼んでいます。

まず、誘電加熱のポイントは、この「分極現象の有無」と、「誘電加熱できる物質は絶縁物質(誘電体)」だということです。

☆交流電源で電界の正負が入れ替わると、それにつられて物質内の極性が入れ替わる

では次に直流電源を交流電源に替えてみます。交流電源はその周波数毎に電界の正負の向きが入れ替わります。したがって、商用電源の周波数だと1秒間に下図の(C)と(D)が60回(60Hz)や50回(50Hz)入れ替わるということになります。

すると、
その電界の向きの入れ替わりにつられて、誘電体の中の極性も同じように1秒間に60回(60Hz)や50回(50Hz)入れ替わることになります。

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この時、商用電源のように低い周波数であれば、その電界の変化のスピードについていけるので、単に上記の(C)と(D)を繰り返すだけで、この時、誘電体は加熱されません。

では、誘電体が加熱されるのはどんなときなのか?

☆周波数を上げ、電界の変化速度に物質内の極の入れ替わりが追随できなくとき発熱する

ではこの電界の変化速度を上げる(=周波数を上げる)とどうなるか?
最初は電界の正負の変化速度に物質内の極性はついていけたのが、その速度(周波数)を上げることによって段々と追随できなくなってくる速度(周波数)に達します。
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このときに物質内の極性が電界の変化速度についていけずに“遅れ”が生じ、このときの遅れた分だけの電界エネルギーが物質に吸収され、発熱するのです。(図E)

そして、それ以上に電界の変化速度(周波数)を上げると、今度は電界の変化に全くついていけないので、“遅れ”すら生じなくなり、発熱は起こりません。

ここでよく誤解されやすいのは、電界の変化を受けただけで、物質の極性が変化し、それが「分子摩擦を起こして発熱する」といったような解説がされることがよくありますが、その説明だと、どんな周波数でも発熱されることになり、発熱する時に固有の周波数のポイントがあることを説明できません。

周波数毎に誘電吸収(=エネルギー吸収)が起きていることを示す図
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画像は麻井九朗 マイクロ波加熱応用技術よろず相談室よりお借りしました。

つまり、電界の変化を受ければ、誘電体内の極性は変化するが、その変化の速度についていける場合は発熱されません。また変化の速度が速すぎても、全くついていけないので、発熱されません。
発熱するのは、ほどよい速度で電界が変化する場合に、電界の変化に少し遅れて極性がついていく。この“遅れ”が生じたときに発熱が起こるということです。
(例えば、電子レンジの場合の水とマイクロ波の関係がこれにあたり、日本の電子レンジでは周波数は2.45GHzになります。)

☆誘電加熱で利用される周波数は高周波帯

上記の説明の理由から、誘電加熱とは”ある程度の高い周波数”で利用されることがわかり、現に産業で用いられている誘電加熱機では、数MHz~数100MHz程度のもの(高周波)が一般的です。

現在、誘電加熱は、プラスチック・木材・繊維・紙・食品・セラミックスなど私たちの生活に欠かせない様々な製品の加工分野で広く利用されています。使用する電磁波の周波数が1MHz~300MHz程度のものを「高周波誘電加熱」、UHF帯(300MHz~3GHz辺り)を使用するものを「マイクロ波加熱」と呼んで区別していますが、単に使用する電磁波の周波数の違い、と考えて良いでしょう。

☆☆☆まとめ

今回、電磁波(電界と磁界の変化)を利用した固体加熱の原理として、「誘電加熱」のメカニズムをみていきました。以下に要点をまとめておきます。

①誘電加熱では「分極現象の有無」と、「誘電加熱できる物質は絶縁物質(誘電体)」であることがポイント

②分極した極性が、電磁波(電界と磁界の変化)の周波数に追随できる間は、発熱しない

③逆に、周波数が早すぎても、全くついていけないのであれば発熱しない

④ほどよい速度で電界が変化する場合に、電界の変化に少し遅れて極性がついていき、この“遅れ”が生じたときに発熱が起こる。

⑤上記の理由から、誘電加熱にはある程度高い周波数が必要

次回はもう一つの電磁加熱の原理、「誘導加熱」の原理を追っていきます。

(参考)
麻井九朗 マイクロ波加熱応用技術よろず相談室
電子レンジが加熱できるわけ お茶の水大学富永研究室
地震の癖/角田忠雄
新しい物性物理/伊達宗行
極限の科学/伊達宗行

List    投稿者 tutinori | 2012-07-20 | Posted in D03.地震, D04.電磁波No Comments » 

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