2011-12-04

【地震のメカニズム】5.プレートテクトニクスによる地震動の発生メカニズム

 前回までに、プレートテクトニクスの成立過程として3編に分けて、その理論の内容を見てきました。
【地震のメカニズム】2.プレートテクトニクスの成立過程・その1~大陸移動説から海洋底拡大説まで~
【地震のメカニズム】3.プレートテクトニクスの成立過程・その2~プレートテクトニクス理論の登場~
【地震のメカニズム】4.プレートテクトニクスの成立過程・その3~多様なプレート境界と地震発生地帯の関係~
 世界中の地震の震源地は、プレート境界沿いに集中しているという事実があります。これを、プレートテクトニクスではどう説明しているのか・・・。
 プレートテクトニクス理論では、プレート同士の境界では、プレート同士が衝突したり,片方のプレートの下にもう一方のプレートが潜り込んだりしていますが、地震はそのようなプレートの境界域でプレート内に歪みが生じ,それを解放するために地震が発生すると説明しています。・・・今回は、このプレートテクトニクスによる地震について調べてみたいと思います。
 
●今回の記事及び挿入図・写真は、以下の記事を参考にさせてもらいました。ありがとうございました。
地震調査研究推進本部;日本の地震活動
山賀 進のWeb site;われわれはどこから来て、どこへ行こうとしているのか
そして、われわれは何者か-宇宙・地球・人類-第2部

ウィキペディア;地震
 まずは、日本列島周辺で発生した地震の震源の分布と深さを見てみます。
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(図の解説)日本列島とその周辺の地震活動(1993年~2006年7月、M4以上)地震が発生した場所に、深さによって色を変えた点が示されています。深さ600kmぐらいまで地震が発生していますが、これらの地震は、深く沈み込んだ太平洋プレート内で発生しています。
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 地震の分布を見ると、プレート境界及びその付近で地震が発生しているのが解ります。震源としては、境界に沿った地震の発生頻度が高く、しかし、日本列島の陸域の浅い場所でも、海域に比べて発生頻度は低いものの、地震が発生しています。
 これらの地震をプレートテクトニクスでは、発生する地震の場所の特徴を考慮して、次の3つのタイプに分類しています。
  (1)プレート境界型地震(プレート間地震)
  (2)海洋プレート内地震  
  (3)大陸プレート内地震(内陸地殻内地震)
 これらの地震分類に詳細に入る前に、まずは、『地震とは何か?』という基本的なことを押えてみます。
 地震の正体は、1960年代に判明しましたが、この正体は、地下の岩盤中に蓄えられたひずみエネルギーを解消するために発生した『断層運動』なのです。
 何らかの原因で地下の岩盤に強い力がかかると岩盤は次第に変形し、それとともに岩盤中に歪としてエネルギーが蓄積されていきます。さらに力を加えていくと、岩盤はやがて耐え切れなくなって破壊を起し、それまでに蓄えられていた歪のエネルギーを波(地震動)として急激に放出します。地震とは、このような現象が地下で起こることです。地下での岩盤中での破壊は、一般に岩盤同士がある面に沿って急激に『ずれ動く』という形で起こります。
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(解説)破壊域の拡大とずれ(逆断層の場合)破壊域の拡大とずれについて陸域の浅い場所(およそ20km以浅)で発生した地震を例として模式的に示したもの。
 この『ずれ動く』面は、過去にもずれを起こした既存の弱面(断層面)などが多く、この弱面上で岩盤同士がずれ動いた部分を『破壊域』と呼ぶことにします。この面に沿って両側の岩盤が相対的にずれ動くことを『断層運動』と言います。断層は、そのずれ方により、正断層、逆断層、横ずれ断層という基本的な型に分けられます。
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●断層のいろいろ(断層の大きさ、断層のスピード等)
 破壊が伝わる速さ、すなわち破壊域が拡大する速さは非常に早く、地下(地殻の中)では秒速2~3km程度です。両側の岩盤が相互にずれる速さは遅く、秒速数十センチ程度です。なお、破壊が広がりきった範囲、すなわち断層運動を起こした範囲全体をここでは『震源域』と呼びます。つまり、地震が生じたところは、点ではなく、面的な広がりをもつことがわかります。
 断層運動の規模を具体的に見ると、阪神・淡路大震災はM7.3の地震で、淡路島北西岸の地表に現れた断層の長さは10km程、地表で見られた断層上のずれの量は1~2m程、地下の断層の長さは、40~50km程で幅は15km程です。また、1923年の関東大震災はM7.9で、この地震を引き起こした断層は、長さ90km程、幅50km程、ずれの量は5~7m程です。また、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震はM9.0で、この地震を引き起こした断層は、長さ400km程、幅200km程で、ずれの量は最大で24m程と推測されています(ただし、その後、国土地理院は海上保安庁が設置した海底地殻変動観測データを加えてすべり量の再解析を行いました。海底地殻変動量が発震点近傍で水平方向に24m、上下方向に3mとなっていたことを反映して、海溝近傍でのすべり量は最大で60mに達していたものと推定されています。なお、この地震は、三陸沖中部、宮城沖、三陸沖南部、福島県沖、および茨城県沖の地震発生域が連動して破壊したと言われています)。
 では、これらの断層を引き起こす力は、日本列島の地下ではどのように働いているのでしょうか?
 この力を直接測定することは難しいので、力がかかった結果、大地がどのように歪んで変形したかを観測して、逆に力の様子を推定する方法が取られています。
 ここでは、人工衛星を用いた測量技術(全地球測位システム;GPS)があります。下図は、この技術を使って求めた1997~2000年の3年間の日本列島各地における大地の移動量と方向を示したものです。
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 北海道の太平洋側の地域や南関東地方から紀伊半島さらに四国にかけての地域などでは北西-南東方向、それ以外の地域では一般に東西方向に圧縮されるような変形を受けていることがわかります。
 
【ここが疑問】 :roll:   :roll:
非常に興味深いGPSの資料ですが、①GPSの矢印の向きがプレートの動きと平行でないのは何で?②伊豆半島辺りで伸びている赤い矢印は何? 
 そして、この地下の力を説明してくれる理論が、前回までのブログで紹介した『プレートテクトニクス』です(もちろんそれ以外の理論もあります)。
 (詳細には、前回までのブログを参考にしてもらうとして)日本列島とその周辺について言えば、日本周辺には、海側の太平洋プレート、フィリピン海プレート、陸側のユーラシアプレート、北米プレートの4つのプレートが有ります。
 太平洋プレートは、ほぼ東南東の方向から年間約8cmの速さで大陸側のプレートに近づき、日本海溝などで、陸側のプレートの下に沈み込んでいます。日本列島を東西に横切る断面で、深いところ(深さ600km程度)までの地震分布を見ると、太平洋プレートが日本列島の下へ沈み込んでいるところで地震が発生している様子がよくわかります(前出の図参照)。
 フィリピン海プレートは、ほぼ南東の方向から年間3~7cm程度の速さで日本列島に近づき、南海トラフなどで陸側のプレートの下へ沈み込んでいます。このような沈み込むプレートと陸側のプレートとの境界では、近づくプレート同士の間の広い範囲で圧縮の力がかかり、規模の大きな地震(断層運動)が発生します。
 このように、海域で発生する地震のうち太平洋側の海溝やトラフなどに沿って発生している地震は、沈み込むプレートの動きに直接関係して発生する地震と考えられます。
 一方、日本海東縁部で発生する地震は、幅の広い帯状の地域に東西方向に圧縮する力がかかって起こる地震と考えられます。また、陸側の浅い場所で発生する地震は、沈み込むプレート境界から少し離れたところで発生しており、プレートの沈み込みに伴い、周囲にかかる力によって発生すると考えられます。つまり、【プレートテクトニクス理論では、地球を覆うプレートの運動が、地震や造形運動や火山運動を引き起こす原因になっており、地震について言えば、このプレートの動きが、プレート間、プレート内に力が蓄積され、それが断層運動=地震を引き起こすことになっているのです。】

 
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 最後になりますが、前述しましたが、地震を、発生する場所も考慮して、上記の3つに分類していますが、これについて説明します。
(1)プレート境界型地震(プレート間地震)
(2)海洋プレート内地震  
(3)大陸プレート内地震(内陸地殻内地震)
(1)プレート間地震
 2つ以上のプレートが接する場所では、プレート同士のせめぎ合いによって地震が発生します。このようなタイプの地震をプレート間地震あるいはプレート境界型地震と呼びます。海溝で起こるものが多いため海溝型地震とも呼ばれますが、海溝よりも浅いトラフで起こるものも含まれます。
   
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●太平洋プレートの沈み込みによるプレート間地震
『1994年三陸はるか沖地震(M7.6)』『2003年十勝沖地震(M8.0)』そして、『2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)』がこのタイプの地震です。
●フィリピン海プレートの沈み込みによるプレート間地震
『1923年関東大震災(M7.9)』『1944年東南海地震(M7.9)』『1946年南海地震(M8.0)』がこのタイプの地震です。
【ここが疑問】 :roll:   :roll:
巨大で複雑な地層構成になっているプレートが「弾性により跳ね上がる」って無理があるのでは?跳ね上がる前にプレートが壊れそう。 
(2)海洋プレート内地震
 沈み込みの運動をしている海洋プレート内でも地震が発生します。このようなタイプの地震を海洋プレート内地震あるいはプレート内地震と呼びます。単にプレート内地震と呼ぶときはほとんどの場合このタイプを指し、大陸プレート内地震は含まれません。海溝を経て大陸プレートの下にもぐりこんだ海洋プレートは、マントルの中を沈み込んでいる途中で割れたり、地下深部でスタグナントスラブとなって大きく反り返って割れたりして、地震を発生させることがあります。海洋プレートが沈み込んだ部分であるスラブ(板=プレート)の中で発生するので、スラブ内地震と呼ばれます。また、震源が深いことから深発地震とも呼ばれます。
『1987年千葉県東方沖地震(M6.7)』、『1992年浦賀水道の地震(M5.7)』、『1993年釧路沖地震(M7.5)』、『2003年宮城県沖地震(M7.0)』がこのタイプに該当します。
(3)内陸地殻内地震
 海洋プレートが沈み込んでいる大陸プレートの端の部分では、海溝から数百km離れた部分まで含む広い範囲に海洋プレートの押す力が及びます。その力はプレートの内部や表層部にも現れるため、プレートの表層部ではあちこちでひび割れができます。このひび割れが断層です。周囲から押されている断層では、押された力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動きます(逆断層)。また、大陸プレートの一部分では、火山活動によってマグマがプレート内を上昇し、プレートを押し広げているような部分があります。また、周囲から引っ張られている断層でも、引っ張られた力を上下に逃がす形で山が高く、谷が深くなるように岩盤が動きます(正断層)。また、押される断層・引っ張られる断層であっても、場所によっては断層が水平にずれ、岩盤が上下に動かないこともあります(横ずれ断層)。多くの断層は、正断層型・逆断層型のずれ方と、横ずれ断層型のずれ方のどちらかがメインとなり、もう一方のずれ方も多少合わさった形となります。
 陸域では、地震を発生させるような硬さをもつ岩盤が存在するのは、せいぜい地下15~20km程度の深さまでで、それより深いところでは、岩盤に力がかかっても急激な破壊は起こさず、ゆっくり変形してしまうと考えられています。したがって、陸側で発生する規模の大きな地震は、その震度が20km程度より浅くなります。
 内陸の断層は都市の直下や周辺にあることも少なくなく、『直下型地震』とも呼ぶが、関東地震のように陸地の直下を震源とする海溝型地震もあるため、それと区別する意味で「陸域の浅い場所を震源とする地震」のような言い方もされます。
 地震の規模は活断層の大きさによりますが、多くの断層はM6~7です。同一の活断層での大きな地震の発生は、数百年から数十万年に1回の頻度とされています。都市の直下で発生すると甚大な被害をもたらすことがありますが、大きな揺れに見舞われる範囲は海溝型地震と比べると狭い領域に限られます。
『1976年唐山地震(M7.8)』、『1995年兵庫県南部地震(M7.3)』、『2000年鳥取県西部地震(M7.3)』、『2004年新潟県中越地震(M6.8)』などが該当します。
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 さて、本当に最後の最後ですが、以上の他に、その他の地震に分類されるものもあります。火山性地震を説明します。
■火山性地震
 海溝の周辺の火山弧、ホットスポット、海嶺、ホットプリュームの噴出地域では、マグマの移動や熱せられた水蒸気の圧力、火山活動に伴う地面の隆起や沈降が原因となって地震が発生します。これらの地震を火山性地震という。火山性地震は断層の動きだけでは説明できない部分があるので、上記の3分類とは分けて考えることが多く、地震動も上記の地震とは異なる場合があります。
 以上で、プレートテクトニクスによる地震発生メカニズムでした。しかし、プレートテクトニクス理論では、『プレートは移動している。』を大前提にしており、『なぜプレートは動いているのか?どんな力でプレートが動いているのか?』については踏み込んでいません。これを解明する理論として、プルームテクトニクス理論等が出てきたのですが・・・。
 その前に、次回は、そのほかにプレートテクトニクス理論の限界は無いのか?説明できない内容等を扱ってみたいと思います。ありがとうございました。

List    投稿者 runryu | 2011-12-04 | Posted in D03.地震No Comments » 

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