2012-05-21

【地震のメカニズム】15.震災後1年で解明されたこと~誘発地震の特徴

震災から1年が経過し、昨年の大地震の特異性が次々に明らかになってきています。
特筆すべき事象として、地震発生が過去に記録がないほど増えていることがあげられます。
%E5%9B%B3%EF%BC%91_.jpg
地図上の球は、3月11日の東北地方太平洋沖地震以降、5月10日までに発生した地震の震源(マグニチュード5.0以上)の位置である。また、白い楕円は東北地方太平洋沖地震の震源域(地震の発生源となった領域)、黄色い楕円は、専門家が今後の地震発生をとくに懸念している領域である。
今年1月の新聞発表でも、
昨年1年間に震度5弱以上の揺れを記録した地震は68回で、気象庁が統計を取り始めた1926年以降(96年以前は5弱と5強の区別なし)で最多だったことが分かった。
気象庁によると、東日本大震災の、マグニチュード(M)5以上の余震は579回(3日現在)で、過去最多だった94年の北海道東方沖地震(293回)の約2倍に達している。
気象庁地震津波監視課は「東日本大震災は余震域が広く、余震域の外で起きる 誘発地震 も多い。大震災の直接的、間接的影響で、東日本を中心に地震活動が活発だった」と分析している。
気象庁の発表による 「誘発地震」 ということば、あまり聞きなれないことばです。
「誘発地震」とはどんな地震なんでしょう
続きが気になる方は、応援のクリックをよろしくお願いします!!

 にほんブログ村 環境ブログへ


解説は 「東北地方太平洋沖地震及び津波のメカニズム」 ウイキペディア から引用
画像は、地震に備える 特集2011 よりお借りしています。
■誘発地震とはなにか

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の発生直後から、震源域やその周辺ばかりではなく、東日本一帯を中心とした広い範囲で地震活動の活発化が見られた。例えば3月12日に発生したM6.7の長野県北部地震を始めとする新潟県や長野県の県境付近や、秋田県の内陸部及び日本海沖、福島県と茨城県の県境付近、そして静岡県東部などである。これら広範囲で見られる東北地方太平洋沖地震の影響で発生したと考えられる地震のことを誘発地震と呼ぶ。一方、岩手・宮城内陸地震と新潟県中越沖地震の余震域や猪苗代湖の南側など、東北地方太平洋沖地震前よりも地震活動が静穏化したと考えられる地域もある。
誘発地震はこれまで東西から圧縮する力がかかっていた東日本が、一転して引っ張られる力がかかるようになるなど、超巨大地震の発生によって日本列島、特に東日本ではこれまでと地殻にかかる力が変化したため発生するようになったと考えられている。%E5%9B%B3%EF%BC%92.gif
東北地方太平洋沖地震後に地震活動が活発化した地域では正断層や横ずれ断層型の地震発生が目立っており、例えば福島県浜通りに4月11日に発生したM7.0の地震は、東西に引っ張られる力が働くことによって発生した正断層の地震である。またこの地震は福島県と茨城県の県境付近で活発化した誘発地震の一環とも、東北地方太平洋沖地震震源域付近で発生した余震であるとも言える。誘発地震と余震との区別ははっきりしない面があり、東北地方太平洋沖地震によって日本列島にかかる力が変化することによって発生する誘発地震も「広義の余震」と言うことができる。
また誘発地震の一種として、日本海溝に沈みこむ太平洋プレート上で発生するアウターライズ地震の発生も警戒される。これは東北地方太平洋地震の発生によって、太平洋プレートには引っ張られる力がかかるようになったため、プレート内で発生する正断層型の地震のことである。実際、本震発生後約40分後に太平洋プレート内でM7.5の正断層型の地震が発生したが、東北地方の太平洋沖では1933年に発生した昭和三陸地震がアウターライズ地震であると考えられ、また2006年11月15日に発生したMw8.3の千島列島沖地震の約2ヵ月半後に、Mw8.1のアウターライズ地震が発生している。
%E5%9B%B3%EF%BC%93_.jpg

■圧縮する力から引張られる力へ

約300万年前からの東西方向からの圧縮によって隆起して陸地となった東北地方は、現在でも同様の地殻変動が継続しているものと考えられている。例えばリアス式海岸として知られる三陸海岸でも、海岸段丘の分布状態から過去12-13万年の間に約20-30メートル隆起していることが明らかになっている。つまりここ10万年あまり、三陸海岸は一年間に0.3ミリ以下というゆっくりとしたペースではあるものの、隆起が継続している。また、近年のGPSによる観測では東北日本の短縮が観測されており、現在も東西方向からの圧縮力がかかっていることが想定されている。
東北地方の陸地は東西圧縮による隆起が確認されているが、東北地方の太平洋沖合いの地質調査では違った地殻変動が確認されている。東北地方の太平洋沖約1500-3000メートルの海底から、陸や陸近くの浅海で堆積したと考えられる礫岩が見つかったことなどから、東北地方太平洋沖地震の震源域は約3000万年前には陸地であったことが明らかとなった。
またこの海底から検出された底棲有孔虫を調べてみると、年代が新しくなるにつれて水深が深くなっていったことが判明した。つまり東北地方太平洋沖の深海は約3000万年前には陸地であったが、継続的な沈降によって現在のような深海になったと考えられる。この東北地方太平洋沖の深海で見られる沈降活動の原因は、日本海溝から沈み込む太平洋プレートによって東北地方が乗る陸側のプレートが削られる、造構性浸食作用が起こっているからであると考えられている。陸側のプレートは現在でも沈み行く太平洋プレートによって削られ続けており、沈降が続いていることを示す多くの正断層が確認されている。

※従来のプレート説では圧縮による歪みの蓄積⇒開放が地震の要因と考えられていましたが、ここで紹介した誘発地震は引張り型の地震のため、今後の地震予測がさらに困難になると考えられます。
そこで次回の記事ではプレートの動きからいったん離れて、別の視点から地震予知の可能性を追求してみます。

List    投稿者 chai-nom | 2012-05-21 | Posted in D03.地震No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2012/05/1100.html/trackback


Comment



Comment