2011-10-21

電磁波の物質への共振現象の解明 ―(2)電離層-

%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%A9%E7%94%BB%E5%83%8F.jpg前回より“電磁波の物質への共振現象“を解明すべく、HAARPを通してこれらの原理を追求していますが、前回の記事では、『地震を起こすには、まず地中までその電磁波が届く必要があり、その条件に該当するのが、超長波である』ということが分かりました。そして現在ネットや書籍などで言われている、HAARPによる人工地震の仕組みは、

画像はコチラからお借りしました。

電離層に高周波エネルギーが当たると、分子が数千度にまで加熱される。~(中略)~分子はバラバラになるまで加熱すると、ELF(極低周波:3から30Hz)を放出する。この電波は海底や地盤にまで達する。
電離層から放出されたELF(極低周波:3から30Hz)は、地盤の代表的な構成物である花崗岩中の石英と共振。強い低周波と共振した石英が逆圧電効果で振動し、やがて崩壊に至る。その結果地盤は崩壊し、地震が発生する(HAARP ~電磁波で地震を引き起こす仕組みより引用)

というのが大きな概要となっています。


HAARPにより電離層に影響を与えることで人工地震や様々な影響を及ぼすと言われ、地震予測の分野では地震の時には電離層に変化が起きるなどの報告もあがってきているようです。それらの可能性を検証する上で、電離層とは一体何なのかを調べる必要があります。

そこで、今回は超長波(極低周波)を生む(であろう)“電離層”とは何なのかを追及したいと思います。

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☆☆☆電離層とはどのようなところか?
電離層とは大雑把に言うと大気と宇宙との境目のようなところで、俗に「宇宙の渚リンク)」とも呼ばれ、まだまだわかっていないことが多いようです。では、具体的にどんなところに電離層は存在するのでしょうか?

☆電離層は地球のどこの高度に存在するの?
電離層とは上空80~500kmに位置し、地球の直径約12,800kmに対し、直径の0.6~3.9%(約1/200~1/25)にしか相当しません。意外と薄皮のような状態にあるようです。ちなみにオゾン層は高度20~30km程度のところにあるので、電離層はオゾン層よりも高度が高い位置に存在します。また参考までに他の事例を調べてみると、それらの高度は下図のようになります。
 
 ・国際宇宙ステーション:上空約400km
 ・ミグ31戦闘機:上空約22~23km
 ・積乱雲最大高度:上空約16km
 ・国際旅客機:上空約11km
 ・高層雲:上空約6km


このように雲よりも遥かに高いので、水蒸気などは無く、通常の大気とは異なる物質構成になっているようです。また、大気密度も極端に少なく、上空450kmでは地表の1兆分の1しかありません。しかも、高さ80km以上からは高さとともに気温が上昇し、なんと高さ400km以上では1000℃にもなっているそうなのです。
ただし、気温が高いといっても、エネルギーは小さいので暑くは感じません。なぜなら、大気の気温は分子運動の速度で決まる為、このように大気密度が小さい場所では分子そのものの量が少ないので、エネルギー総量は小さく、熱として感じないのです。(※この点については今後も追及していく予定です。)

☆どのように電離層は形成されるの?
その電離層内の大気を構成している物質は窒素や酸素がほとんどを占めています。
また、宇宙からの様々な電磁波(宇宙線、紫外線、X線など)がこれらの物質に衝突する為、「分子として存在する」よりも「原子として存在する」ほうがむしろ多いようなのです。これが意味しているのは、原子同士が結合するエネルギーよりも大きなエネルギー常に宇宙から降り注いで分子に衝突しているということです。それぐらい、私たちが生活している大気状況とは異なる世界なのです。

【電離とは?】
このうち窒素分子(N2)や酸素分子(O2)、酸素原子(O)は太陽からの特に「極端紫外線(紫外線とX線の間の短波長:10^-8~7)」を吸収する特性を持っています。その為、極端紫外線のエネルギーを吸収した物質(窒素分子、酸素分子、酸素原子)は、それらの原子核の回りを回転する電子を放出し、プラスのイオンになります。(これを電離と言います)

画像はコチラからお借りしました。

この電離状態であるプラスイオンと自由電子が高密度に存在(=プラズマ化)する領域を電離層と言います。


☆電離層はどのようなところか?
以上の特徴を箇条書きすると、
・高度は80~500kmの宇宙との境目
・温度は1000℃以上(※ただし分子運動の速度を示す)
・大気密度が小さい
・水蒸気(H2O)は存在せず、主に“窒素”と“酸素”が大気を構成している
「分子」と「原子」が常に入れ替わっている(=分子結合よりも大きなエネルギー常に衝突している)
・宇宙からの「極端紫外線(紫外線とX線の間の短波長:10^-8~7)」によって、窒素と酸素が電離し、これによって、主に“窒素と酸素のプラスイオン”“自由電子”が入り混じっている。
つまり、具体的には、『窒素分子、窒素原子、窒素のプラスイオン、酸素分子、酸素原子、酸素のプラスイオン、自由電子』が存在している空間である。
という点にまとめられます。

☆☆☆電離層を利用した技術-通信技術-
気体が電離すると、電離がない時には素通りできたものが、電波は反射、屈折、散乱、減衰と、波動としてのいろいろな現象を示すようになります。それらの現象を利用しているのがラジオ放送や無線などの通信技術です。上空にある電離層に電波を飛ばし、高度の高い電離層で電波を反射させることで、遠距離通信を可能にしているのです。
☆電子密度の違いにより、反射される周波数が異なる
上記のように電離層とはプラスイオンと自由電子が入り混じった領域のことですが、その高度によってその電子密度に違いが出てきます。一般的に、下から順にD層(約80km)、E層(約100~120km)、F1層(約170~230km)、F2層(約200~500km)の4つに分けられ、上層に行くほど宇宙からの極端紫外線の当たる量が多い為、電子密度は高く、下層は電子密度が低くなります。また、夜間は太陽からの極端紫外線が届かない為、電子密度は小さくなり、その為、最下層のD層は消滅し、またF1層とF2層も合体し、F層(300~500km)となります。
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画像はコチラからお借りしました。

また、季節の違いによっても反射する周波数は異なります。
                  【夏期】                         【冬期】
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画像はコチラからお借りしました。

これらの特性を見てみると、夏期や昼間は電子密度の高いF層で周波数の高い短波が反射され遠くまで伝わります。その一方、周波数の低い短波はD層で反射されてしまい遠くまで伝わりません。
逆に冬期や夜間は電離層全体で電子密度が低くなり、周波数の高い短波はF層を突き抜けてしまいます。一方、周波数の低い短波はD層・E層を突き抜け、F層で反射されるために遠くまで伝わります。
つまり、電離層の電子密度が高い(自由電子が多い)ほど、短い波長の電波(高周波)を反射し、電子密度が低いほど長い波長の電波(低周波)を反射する特性があるようです。
また、電離層反射を利用できる周波数”は通常、“30MHz(HF帯)以下の比較的低い周波数(下図の赤部分)”に限定されています。
        

☆☆☆通信における電離層利用とHAARPにおける電離層利用の違い
☆通信技術で利用している“電離層反射”は“金属での反射”と同じ原理
では電離層での反射とはどのような原理で起きているのでしょうか?それを解明するには「プラズマ状態」というのがミソになります。
上記で示したように、電離層とは一種のプラズマ状態です。プラズマ状態だと、電磁波や光を通しません。何故なら、電磁波はプラズマのプラス(イオン)、マイナス(自由電子)電荷を振動させ、その反作用を受け、電磁波はプラズマに跳ね返されたり、エネルギーを取られたりするのです。この原理は、金属面における光の反射とよく似ています。
【金属と光の反射の原理】

光は電磁波の一種です。つまりテレビやラジオの電波と同じように電界と磁界が振動しながら伝わっていきます。金属中に光が入ると金属中に振動電界ができます。この電界を受けて自由電子が加速され集団的に動きます。
電子はマイナスの電荷を持っているので、電位の高い方に引き寄せられます。
その結果、電位の高い方にマイナスの電荷がかかり、電位の低い方にプラスの電荷がかかって電気分極が起こります。このことは外から金属に光の電界が進入しようとすると、逆向きの電気分極が生じて電界を遮蔽してしまって光は金属中に入れないことを示しています。光が入れないということは、言い換えれば光が全部反射されてしまう事を意味します。

金属と光についてより引用)

☆通信技術では“同じ波長の波”を反射する
通信技術では上記のような原理で“反射”を繰り返し、遠距離通信が可能になります。したがって、従来の通信技術での電離層の利用では、“入射した波と同じ波長の波”を反射しています。
もし波長が変わってしまうのなら、通信なんてできません^^
☆HAARPの電離層利用では波長が変わる

電離層から放出されたELF(極低周波:3から30Hz)は、地盤の代表的な構成物である花崗岩中の石英と共振。強い低周波と共振した石英が逆圧電効果で振動し、やがて崩壊に至る。その結果地盤は崩壊し、地震が発生する

このようにHAARPの電離層利用では「3~30Hzという極低周波(=極超長波)に変換して」地盤中の石英と共振させるといいます。したがって、これまで見てきた通信技術における電離層利用とは原理が異なるようです。
では、この入射した電磁波から波長(周波数)を変えて波長の長い電磁波に変わる現象はどんな現象なのでしょうか。
この原理を考えたときに浮かび上がってくるのは「ラマン効果」と呼ばれる現象です。
☆HAARPの電離層利用で行われる原理として考えられるのは?

入射波に対する反射波が結晶格子等にエネルギーを一部取られる場合のあることで、これを一般にラマン効果と言う。
~(中略)~
この現象は入射した光エネルギーがその一部を他の励起エネルギーに取られることで起きる。当然ながら反射波のエネルギーは減少し、波長の長い光に変わる。

下図(左図)のように外部から光が入射すると、原子中の電子は光を吸収し、一番低いエネルギー状態=基底状態からより高いエネルギー状態になります。エネルギーが高まると電子は通常の軌道から外側の軌道に移ります。このエネルギーが高まっている状態を『励起』といいます。
    
      ( HAARPにおける励起)                 ( 通信技術における反射)
したがって、HAARPにおける電離層利用には、「励起によって波長が変わって極低周波(=極超長波)」が放出される原理だと考えられます。

☆☆☆前回と今回のまとめ
HAARPで地震を起こすには、まず地中に電磁波が届く必要があるので、それを実現するには”3~30Hzの極低周波”が該当します。その極低周波(=極超長波)の電磁波は電離層に反射させて送っているらしく、それはHAARPから出る高周波を電離層で極低周波に変換されているそうです。
ところが今回調査してみると、一般的な通信技術でも用いられている”電離層の反射”では比較的低周波数の30MHz以下の電磁波が送られており、しかも、『同じ周波数が電離層で反射』されている為、原理的に異なることが分かりました。
そこで考えられるのは、HAARPの場合は『電離層で励起』されているということです。
そこで次回は、何がどのように『励起』しているのか?そしてこれらが『励起』した場合、3~30Hzという極低周波を出すことはあるのか?等を追求していきたいと思います。

List    投稿者 tutinori | 2011-10-21 | Posted in D04.電磁波No Comments » 

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