上空の電子数の変化を大地震の予測に使う試みが動き出す(京大)
鳥取地震が起きました。被害にあわれた方々には心からお悔やみ申し上げます。今回の地震を巡る予知研究の状況を見てみよう この地震について、熱移送説の角田先生が予測を立てておられました。改めて、熱移送説の正しさが明らかになったといえます。ただ、熱移送説は短期的な予測には向いていません。今回のことでは、村井教授のMEGA地震予測が一定の予測を当てている。
電子基準点から得られる地殻変動データなどを活用し、独自の地震予測を行なっている民間団体・JESEA(ジェシア/地震科学探査機構)によると、今回の地震の起きた鳥取県・島根県周辺エリアでは、地震の前兆とされる沈降が特に進んでいたとのこと。 そのためJESEAは、今年7月6日に配信したメルマガ『週刊MEGA地震予測』において、このエリアを震度5以上の地震が発生する可能性が極めて高いレベル4に指定。広く警戒を呼び掛けていた。 また、直前の10月19日に配信されたメルマガ最新号のトピックスでは、 今回、週間変動図(H)にありますとおり、完全に静謐でした。 前兆現象の後、静謐、地震が発生するという流れは過去にもありました。ご注意ください。 と、地震が間近に発生する可能性が高いことを指摘。 実際、今年4月の熊本地震も「前兆⇒静謐⇒大地震」という流れで発生したのだが、今回もJESEAが指摘した通りのパターンで、地震が発生する結果となった。
ただ、MEGA地震予測の手法は「前兆現象→静謐→地震発生」となっており、「静謐」をもって判断するこの手法は熊本地震を外したという事実もある。 より短期的な予測精度を上げるためには、やはり地上の電離層の変化に注目するのがよいと思われるが、現在、この予測システムに取り組んでいる早川氏のネットワークは東日本に偏っており、どうも西日本の予測は不完全なようだ。 以下 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161025-00048205-jbpressz-sctch&p=3 より
厳密に分析したわけではないが、「地震解析ラボ」の常連客である筆者の感じでは、的中率は約5割と言ったところである。地域的に見ると「東日本や北海道で的中率が高い」という印象がある。しかし今年4月の熊本地震や今回の鳥取地震の予測はできなかった。 その理由は、「地震解析ラボ」にはハード、ソフトの両面に問題があるからだと思う。 まずハード面だが、早川氏が電離層の擾乱を検知するための電波としてVLF波(超長波)を重要視しているが、日本国内での観測点が限られており、伝搬異常が発生したときにすべて検知できるという万全な体制にはなっていない。早川氏の研究テーマは2000年から数年間「地震総合フロンテイア研究」という国家プロジェクトに採用された(国の予算が充当された)が、十分なインフラ整備ができない段階で予算が打ち切られてしまった(打ち切りの理由は不明)。一刻も早く国によるさらなる整備が待たれるところである。 ソフト面では地震学、特に角田氏との緊密な連携が不可欠だろう。角田氏は早川氏の取り組みを高く評価しているが、「熱エネルギーが移送された地域では、地下の温度が上がり当該地域の磁力が下がるため、電離層の擾乱が起きにくくなるのではないか」との問題点を指摘している。 角田氏によると、九州・西日本地域には現在、大量の熱エネルギーが移送されている。九州・西日本地域で「地震解析ラボ」の予測が低調な理由が、大量の熱エネルギーのせいだとすれば、今後の大地震の発生予測に地震解析ラボはあまり有効ではないということになってしまう。両氏のさらなる協力を切望したい。
さて、このような限界がある中でも、研究は進んできているという朗報もある。これまでマグニチュード8以上の地震でしか関連付けられなかった電離層の異常について、マグニチィード7以上の場合で、予測可能になったとする論文が出されたという。http://indeep.jp/moscow-underground-shelters-ready-for-the-evacuation-entire-people/
「東北でマグニチュード9の地震があった前日までに、日本上空の赤ち線量と電離層の電子量が増大したことがデータ上で確かめられた」 ということがアメリカの研究によって確認されたことを記したことがあります。この 2011年の記事では、この電離層の電子数の変化について、ここから地震に関しての何らかの研究が導き出される可能性は「非常に高い」と感じます。というようなことを書いていましたが、今日(9月30日)、京都大学の研究者たちがその現象を、今後の地震の予測に適用する可能性について言及した論文についての報道がありました。 これまでと違うのは、今までは「マグニチュード8以上の地震でのみ観測されていた」ものでしたが、京都大学のチームは、マグニチュード7以上でも、これを感知したのでした。マグニチュード8以上の地震は極めて希なのに対して、マグニチュード7以上は日本では、それなりにある大地震ですので、通常の予測としても意味がありそうです。 上空の電子数の変化を地震の予測に使う研究の具体的な一歩が始まったようです。 震災前、上空の電離圏に異常 京大が検出、地震予測に道 東日本大震災やその前後にあったマグニチュード7.0以上の地震が発生する20分~1時間ほど前に、上空300キロ付近の「電離圏」で電子の数が増える異常があったことが京都大の梅野健教授のチームの分析で判明し、米専門誌に30日発表した。 チームによると、マグニチュード8.0以上の地震で電離圏の電子数が増えていることは知られていた。チームの手法は従来法と違い地震後のデータとの比較が不要で、分析速度を上げられれば地震を予測できる可能性がある。 梅野教授は「現在はパソコンでの分析に時間がかかるが、将来は地震の警報システムに生かせるのでは」と話している。 ということで、この「大地震の前に上空の電子数が変化する」というとの認識が、さらに一般的になってきたようです。 しかし、「なぜ、地下で起きる現象の前に、300キロもの上空の状態に変化が起きるのか」ということについては、説明されていません。 地震はおそらく「宇宙からのエネルギーの関与が伴う現象」であることには間違いないと思います。地下から上空 300キロに対してエネルギーを加えるような力学は地球には存在しませんが、宇宙からは常に高エネルギーの宇宙線が地上に飛来していると考えると、さほど突飛な考えという気はしませんけれど・・・上空大気の観測が具体的な大地震の予測につながる日が来るといいですね。
早川教授の研究予算は削減されたという。そのようなおかしなお金の使い方にならないように国民も学んでいく必要があると想います。
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