2018-06-05

地球のジェット気流が崩壊している中で、その大気の循環異常のメカニズムがアメリカの日本人科学者によって突き止められる

最近、急に暑くなったり、そうかと思えば寒くなったりと、異常気象が続いていると思いませんか?少し前までは、都市の局所的なヒートアイランド現象であったり、エルニーニョ現象によるものかと思っていましたが、ここ数年の異常さはそれまでと比べ物にならないと実感的に思います。

この異常気象はどうやら全世界中で起きており、「地球規模の現象の異常」が引き起こしていると考えられ、これらは、地球全体の「ジェット気流のブロッキング現象」というのが引き起こしているということが、数年前から研究がさかんに行われていたそうです。

そして、今回アメリカの研究で、”日本人の”研究者がこの「ブロッキング現象のメカニズムを明らかにした」というニュースが入ってきました。この研究が進めば、今より正確な気象予測が可能になるかもしれません。

>「これは、私の研究人生の中で思いがけない啓発的な瞬間の時で、神からの贈り物に他なりません」と教授は言う。

>今回の発見について、気象の研究者たちは、これにより短期間の天気予報が直ちに改善されるというわけにはいかないかもしれないが、洪水や干ばつの発生が予想される地域を含む場所での長期的な気象パターンを予測することに役立つだろう

上記は日本人の研究者(ノボル・ナカムラ教授)の言葉ですが、この謙虚さを忘れずに、研究を進めていくことを願います。

以下、お馴染みのIn deepさん より引用します。

 

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地球のジェット気流が崩壊している中で、その大気の循環異常のメカニズムがアメリカの日本人科学者によって突き止められる

 

~中略~

 

今回の発表は、ジェット気流の崩壊というような話ではなく、以前より実際に頻繁に起きる「ジェット気流のブロッキング現象」についてのメカニズムを明らかにしたというものです

ジェット気流というのは、時期により、あるいは日々そのコースは変化しますが、正常な状態では、おおまかに下のようなルートで地球を循環しています。

地球のジェット気流のルート

jetstream-normal-002

 

そして、一般的には、「どの部分も基本的には、スムーズに循環している」ということになるのですが、現実には、このジェット気流が「全然スムーズに動いていない」ことが頻繁に起きます。

たとえば、今回ご紹介する記事の中には下の図が示されています。2017年3月のジェット気流の様子が示されています。

2017年3月8日 ブロッキングが起きているジェット気流

jet-stream-uchicago

 

拡大しますと、下のように、スムーズに進むべきジェット気流が、停滞したり、途切れたり、二手にわかれたりと、いろいろなことが起きているわけです。

 

jet-stream-abnormal2017

そして、ジェット気流の進行に異常が出た場所では「気象にも異常が現れる」というのが普通です。

 

それは、大雨だったり、逆に極端な雨不足だったり、一昨年の日本のように台風などのルートがムチャクチャになったり、といろいろでしょうけれど、「普通とは違うことになる」ことは確かのようです。

こういうジェット気流のブロッキングという状態が起きるということ自体は以前から知られていたのですけれど、その原因については今までわかっていませんでした。

そして、今回、それは「大気の流れが許容量を超えた場合に起きる」ということがわかったというものです

 

~中略~

 

科学的には、それについてわかったということが画期的な新しい発見となるわけですが、しかし、個人的には、もっと突き進めた、「そもそも、なぜ、気流の許容量を超えた状態が発生するのか」ということを知りたい気がしますけれど、そこまではふれられてはいないです。

そして、それはまた「もっと大きな部分の謎」といえるのかもしれません。

 

~中略~

 

■科学者たちは、異常気象のパターンがジェット気流中の「交通渋滞」によって引き起こされてという新しい理論を発見した

シカゴ大学の新しい研究は、これまで気象予報士たちを困惑させていたブロッキング現象について説明した

新しい研究を発表したシカゴ大学の二人の大気科学者は、以下のように述べる。

 

「空の交通量にも限界があるのです」

 

科学誌サイエンスに発表された新しい研究では、謎の気象パターンが出現したり、あるいは時には自然災害級の気象の原因となるジェット気流の流れの異常の原因を発見した。

ジェット気流は地球を循環する大気の流れだが、ジェット気流がある地域で急速に失速することが起きる。ジェット気流には能力の限界があり、それは高速道路を例えとしてもいいが、道路を過度の量の車が通過しようとすると渋滞が起きるように、ジェット気流でもそのキャパシティを超過した場合、交通渋滞と似たように「止まって」しまうのだ。

実際、ジェット気流の渋滞の予測と、高速道路の渋滞の予測は、同じ数式であらわすことができることも見出された。

予測出来ない謎の異常気象のパターンは多い。2003年のヨーロッパでの猛烈な熱波を予測した気象の専門家はいなかった。あるは、2014年のカリフォルニア州の干ばつや、2012年の激しい嵐「サンディ」なども予期されていない事象だった。

これらのような予期せぬ気象パターンは、「ブロッキング」と呼ばれるジェット気流の現象によって引き起こされていることはわかっていた。

これについては、科学者たちの間では、数十年前から知られていたことでもある。このブロッキングを最初に発見したのは、20世紀の偉大な気象学者カール=グスタフ・ロスビー (Carl-Gustaf Rossby 1898-1957年)だ。

しかし、このブロッキングがなぜ起きるのかは、それから数十年経っても誰も説明できなかった。

下の風の流れを示した地図は、太平洋の典型的なブロックパターンを示している。風が分かれて円を描いていることがわかる。

jet-stream-uchicago

 

研究を主導したノボル・ナカムラ教授(Noboru Nakamura Ph.D. / 中村 昇)は、「ブロッキングは予測することが難しいことが知られています。理由は、それがいつ発生するかについての説得力のある理論がなかったことによります」と述べる。

ナカムラ氏と共著者のクレア・ヒュアン(Clare S.Y. Huang)教授は、ジェット気流を研究し、現象をよりよく分析するために、ブロッキングのための明確な測定値を決定しようと試みた。

新しい測定基準の 1つは、ジェットストリームの蛇行を測定した数式だ。そして、数式の世界を見てみると、数十年前に「現実の交通渋滞」を説明しようとした輸送技術者が考案した方程式とほぼ同じであることが認識されたのだった。

「高速道路に交通の限界容量があるように、ジェットストリームにもまた『交通許容量』があり、それを超えると渋滞し、ブロッキングが発生することが判明したのです」とヒュアン教授は述べる。

高速道路の場合、速度制限がある場所や、複数の高速道路が交差する場所などで渋滞が発生することが多いのと同じように、ジェット気流でも、山岳地帯や沿岸地帯など、ジェット気流の速度が遅くなる背景がある場所でブロッキングが頻繁に発生する。

ナカムラ教授は、今回の研究の重要な結果は、ブロッキングのメカニズムを発見して再現したことだけではなく、「予測できること」にあるという。

「これは、私の研究人生の中で思いがけない啓発的な瞬間の時で、神からの贈り物に他なりません」と教授は言う。

今回の発見について、気象の研究者たちは、これにより短期間の天気予報が直ちに改善されるというわけにはいかないかもしれないが、洪水や干ばつの発生が予想される地域を含む場所での長期的な気象パターンを予測することに役立つだろうと語っている。

現在の気候変動は、おそらくジェット気流をその限界能力に近づけることによってブロッキングを増加させているが、それには地域差が存在することも示されている。

例えば、太平洋は実際には、今後何十年にもわたってブロッキングの減少を見るかもしれないという。

List    投稿者 tutinori-g | 2018-06-05 | Posted in D.地球のメカニズム, D02.気候, D05.自然災害の予知No Comments » 

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