【自然災害の予知シリーズ】-14-<最終回>~地震予知は、(ULF、VLF、ラドン、熱)観測の“重ね合わせ”により十分可能性がある~
※地図は、1963年から1998年の間に世界で発生した地震の数(358,214 回分)をドットで示したものです。
(「In Deep」様よりお借りしました。)
東北大地震の惨事を通じ、(現・近代人が喪失していた)自然のもつ力への畏れを、誰もが抱いたのではないでしょうか。
今回東北地方を襲った大津波にたいしてもっとも有効な対応手段が、ともかく高所に逃げろという先人の教えであったことは教訓的である。
私たちは古来、人類が有していた自然にたいする畏れの感覚をもう一度とりもどすべきであろう。※【福島の原発事故をめぐって 山本義隆著】より引用
人類は、他の生き物と同じように、自然の摂理の一部として存在しています。
自然の摂理のなかで、生活する地の自然環境に依存し、自然と一体になることで適応して存在しているのです。
だからこそ、自然という現実対象を、己と異なり独立して存在する客体対象とするのではなく、己の存在を全的に規定している生命あふれる主体対象として、畏敬観をもって注視することが何よりも重要なのです。
そのなかから少しでも自然に同化し、自然の摂理を謙虚に学び則ることが、大自然の外圧に適応して存在する唯一の道です。
人類にとって脅威である地震、雷、津波、大雨等々は、自然の摂理の現象であって、それを人間が操作できるものではありません。(そもそも、自然から収奪するために支配し操作しようとする近代科学の背後にある発想が“天に唾をはく”傲慢な態度です。)
しかし、その自然現象が起こる“予知”ができれば、少なくとも多くの犠牲者を出すような災害にはなりません。
人々に求められていることは、自然の摂理をそのまま現実として受け入れ、そこに適応するための予測・予知の中身です。
その時に、近代科学でいうところの科学的因果関係が実証されるに至っていなくても、現象事実に基づく先人の知恵や統計的相関性がある程度見出されれば、現実に人々の役に立つ認識になります。
上記の問題意識のもとにこのシリーズをスタートしましたが、いよいよ最終回です。
最終回の論点は3点です。
◎ここまでのシリーズのまとめ
◎それを受けて、地震予知のもっとも有効な観測手法
◎地震予知の実現に向けて
◆ ◆ ◆ 地震予知が喫緊の課題
シリーズは、まずは自然災害の状況認識の把握から入りました。そのなかで、自然災害がここ数十年の間で急増していること、そして自然災害のなかでも「地震の予知」がもっとも喫緊の課題として浮かび上がりました。
[世界・日本ともに地震、続いて大雨の発生件数・死者数が多い]
・過去1000年間は、世界・日本ともに地震、続いて大雨の発生件数が多い。
・過去1000年間は、世界は干ばつ、日本は地震による死者が最も多い。
・直近20年では、世界・日本ともに地震、続いて大雨による死者が多い。[世界的にはここ30年、日本ではここ10年で自然災害が急増]
・直近40年で世界的に自然災害の発生件数が増えている。
・1990年頃から世界で、2000年頃から日本で、大きな地震が増えている。
・1970年代後半から世界的に風水害が激増している。
・1998年以降、日本でゲリラ豪雨が1.4倍に増加している。
◆ ◆ ◆ 地震発生前には「電場(→電磁気)と地中温度の変化」が起こる
そこで、シリーズは、自然災害のなかで喫緊の課題である地震予知の追求に入りました。そしてそのために、まずは先人の知恵から学び、そこから地震予知の“切り口”の探索に入りました。
昔から、「ナマズが騒ぐと地震が起こる」とか、「井戸水の水位が下がったら地震が来る」などという、地震の予兆現象に関する言い伝えが残っています。先人たちは、自然を注視する中でこのような経験則を見出し、それが言い伝えられてきたのだと思います。
<中略>
もしそれが事実であり、何らかの法則性が見られるのなら、それを基に地震予知の可能性を広げていけるはずです。
<中略>
地震を早い段階で予知できる動物が、どのように外部環境を認識しているのか(どのような認識機能に特化しているのか)。
その動物たちが感知しているものこそ、地震の予兆に他なりません。
そこで注目すべき動物は、地中or水中に生息し、1週間以上も前に地震の予知行動を取っている、イカ・ナマズ・ミミズ・ヘビ・モグラです。
◆ では、イカ・ナマズ・ミミズ・ヘビ・モグラという動物は、地震の前に、何を感知しているのでしょう?
地震の予兆としては、少なくとも①電場の変化と②温度変化の2つがあり、動物はこれを感知して地震を予知しています。
電流や温度といった予兆の詳細な観測が地震予知につながることを、動物たちは証明している。また、こうしてまとめてみると、赤外線(熱)は電磁波の一種だし、電流も電磁波を発生させるので、「電磁波」という共通点が見えてきます。
つまり、紹介した動物は、地震時に発生する固有の周波数の電磁波をキャッチしている
そして、動物以外の植物の現象からも、
地震の前にお辞儀をするというオジギソウの現象から、地震の前兆には、大気中に電位差がどうも生じるようです。
さらに、生物以外の雲の現象からも、
地震発生前、花崗岩からラドンガスが大量に放出
→ラドン(半減期3.8日)がアルファ崩壊し、アルファ線を放出
→ラドンが210Pb放射性鉛に壊変(マイナスに帯電)
→周辺の大気分子を電離(プラスイオン化)
→大気イオン濃度が上昇する。(電位差が生じる)
→(下部のマイナスに帯電している)雲が引き寄せられる【自然災害の予知シリーズ】-5-先人の知恵に学ぶ(植物・雲編)~地震発生前、ラドンガスが発生し大気をイオン化させている
このように、(動物、植物、雲の)宏観現象の解明から、地震の前に電場(→電磁気)の変化が生じるということを明らかにしました。
そして、これが地震予知の“切り口”になります。
◆ それにしても、地球規模で電場・電流が生じるとはどういうことでしょう?
・電気は電子の密度が高いところ(電位が高いところ)から低いところに流れる。
・電位の高低差は、イオンにより生み出される。
・地球を電気的に見ると、地中はイオン濃度の差によって生み出された電位差で電流が流れている(=地電流)
・電離層は大気がプラズマ化しており、プラズマは電流を流すので導体といえる。
・この構造は、コンデンサーと同じ。地球は地面と電離層という導体で、大気という不導体をサンドイッチしたコンデンサー。
・地表と電離層が帯電することで、大気には電場が形成される。
というように、地中と電離層は、常時電位差が生じ電流が流れているです。
また、地表と電離層が帯電することで、中間にある大気は、不導体ながらその影響で電場が形成されます。
つまり、地球は、地圏~大気圏~電離層が繋がり連動しながら電場(→電磁気)を形成しているのです。
◆ では、なぜ、地震の前兆に電磁気の変化現象が生じるのでしょうか?
地球中心部の核分裂反応により、中心部が高温状態になる
→その核から強力な電磁波が発生
→電磁波の反射する場所で電子レンジ状態の所ができ、マグマ化、さらに電磁波が発生し玉突き状態で熱が伝わっていく
→地殻の近くでもマグマ化による電磁波発生(ULFも、しかし他の電磁波は地殻に阻まれ地表まで出てこない)
→熱膨張が地殻まで影響し、岩石に圧力、ピエゾ効果による地電流ノイズ発生
→岩石が割れだし、ラドンが放出され、大気に電位差発生、電離層が擾乱する
→熱膨張により地殻部分で地震が発生
というように、地殻近くのマントルの一部がマグマ化し、地殻が熱膨張し地震を発生させる。
それに伴い、地球の「地圏~大気圏~電離層」それぞれで電場(→電磁気)の変化が生じるのです。
そして、先人の知恵とも呼べるいくつもの宏観現象と整合するように、世界の地震予知の先端は、地震の前兆を地球上の地表~大気での電磁気的変化の観測で行なおうとしており、そしてそれは地震予知の可能性を見出しています。
そこで、シリーズでは、その先端の観測手法を紹介し、その中身の可能性追求に入っていきました。
◆ ◆ ◆ 電磁気現象の観測による地震予知の手法
◆ 地電流ノイズを観測する手法(VAN)
第1弾は、地震の前兆に起こる地圏内の電磁気現象を観測する手法として、ギリシャで地震予知の高い実績を上げている「地電流ノイズを観測する手法(VAN)」を追求しました。
VANの輝かしい実績を受け、上田元教授を中心に多くのグループが日本でも観測を初め、ネットワークを築き始めていました。
ただし、地電流のノイズはギリシャに比べ日本は圧倒的に多く、分析は難しいのです。電車の数だけでも違いますし、使われている電気的エネルギー量が桁違いに大きく、特に都市部ではノイズだらけです。
この手法は、ギリシャでは60%以上の確率で地震予知の実績を上げており、それを日本でも進めていましたが、観測者個人の経験と感覚に頼るところが大きく、またギリシャと日本での自然環境の違い、かつ日本はノイズが大きいという欠点がありました。
◆ VHF(超短波 very high frequency)電波送信の乱れを観測する手法
そして、第2弾は、電離層の反射を利用して電波を送信する、日常のテレビやFM放送で使用される「VHF(超短波 very high frequency)電波送信の乱れを観測する手法」を追求しました。
2.地震の規模及び場所は、モニター領域と震源地の関係から前兆波形に現れる。
3.地震の発生時期は、前兆波形の発生期間と、極大期、静穏期の関係から予測できる。
4.予測精度は高いが、発生時期に関しては、前兆波形を捉えそこなうと大きく誤差が生じる恐れがある。
この手法は、観測の予測精度は高いですが、肝心の発生時期に誤差が生じる恐れがありました。
◆ VLF(超長波very low frequency)電波送信の乱れを観測する手法
そして、第3弾は、電離層の反射を利用して電波を送信する、オメガ無線航行に使用される「VLF(超長波very low frequency)電波送信の乱れを観測する手法」を追求しました。
VLF電波の観測による地震予知は、浅い震度(<100km)、被害を甚大にするマグニチュード6.0以上の極めて強い直下型地震に有効と判断できる。
よって、日本のような活断層が多く、直下型地震の危険を抱える地震国においては、特に有効であると考えられます。
そして、既存の国内ネットワークを用いれば、ほぼ日本全地帯をカバーできそうです。
この手法は、マグニチュード6.0以上の極めて強い直下型地震の予知に有効で、また日本の国内の観測ネットワークも実現性が高いことがわかりました。
◆ ULF(極超長波Ultra Low Frequency)電波を観測する手法
そして、第4弾は、周波数が低く(波長が長く)大地や水中を通り抜ける特長をもち、地震発生前に発生する、超低周波、極超長波といわれる「ULF(Ultra Low Frequency)電波を観測する手法」を追求しました。
ULF帯電磁放射は岩盤がわれる際に発生されると言われています。つまり、大きな岩盤が割れるほどの大きな力がかかったときのみULF帯電磁放射が発生します。
そのため、ULF帯電磁放射は大地震の時だけ発生することが特徴です。
<中略>
①日本でも地震前に発生するULF帯電磁放射を観測可能。
②1ヶ月前に1度目の磁場強度上昇があり、その後鎮静化して数日前に再び上昇する。更に、数時間前に急上昇する。
③地震前兆を表すULF帯電磁場強度の異常値は素人目で見ても分かりやすい形をしている。
④大型地震の観測が可能。
⑤ULF帯電磁場強度の異常値が数時間前に出るため、短期予知の期待が高い。
⑥観測範囲が概ね100kmと狭いため、震源地が特定しやすい。既に関東地区では図8の様に、伊豆半島、千葉、柿岡、秩父、松代の5観測地点を設置し観測をしています。
おおむね1県1観測所を設置していけば、日本全国で大地震に対しての短期予測が可能になってくるのではないでしょうか。
この手法は、他の観測手法より新しい手法で実績は低いですが、観測が容易なうえ、観測値が素人でもわかるレベルで明瞭。また、大地震に適するとともに震源地が特定しやすく、国内の観測ネットワークも実現性が高く、地震予知手法として非常に可能性が高いことがわかりました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
以上、第1弾~4弾の電磁気現象の観測から地震を予知する手法として、超長波(低周波)を観測する【ULF法】が最も可能性が高く、【VLF法】も有効であることを明らかにしました。
◆ ◆ ◆ 電磁気現象以外の地震予知の観測手法
◆化学的現象を観測する手法
電磁気現象以外にも、地震の前に大気中のラドンガス濃度が上昇するという現象から、「ラドンガスを測定して地震を予知する手法」を追求しました。
①「地震前にラドンが発生する」という根拠が明確(花崗岩の亀裂)
②ラドン濃度の測定手法が確立されている
③過去に事例がいくつもあり、グラフを見てもその変化が明確
④ラドンのもつ電離作用によって大気中の窒素や酸素がイオン化し、地震雲などや電離層の擾乱等の予兆を発生させる、という仮説が成り立つ。
⇒この前提に立てば、ラドンが原因で発生すると思われる地震の予兆(地震雲・電離層の擾乱)とも併せて見ると、より予知の可能性が高くなりそう。<br>
【自然災害の予知シリーズ】-10-地震発生前にラドン濃度が急激に上昇する。予知の確実性の高いラドン濃度測定
ラドンガスを直接観測する手法も、測定が容易かつ観測結果がわかりやすく、可能性がある手法だとわかりました。
◆地盤および雲の熱を観測する手法
さらに、地盤および雲の熱の変化を衛星より直接観測する「リモートセンシング法」についても追求しました。
マグマの熱移送という直接地震に関わる現象から観測できるので、信憑性があります。
また、事例を見る限り、地震の数日前から地表温度に変化が見られることから数日前の短期予測に適しています。
<中略>
地表温度だけでなく、雲の温度や形状の変化からも、地震を予知できる可能性があります。
しかも、この方法では、雲で覆われて地表温度が観測できない場合や地形の起伏が複雑な場合にも有効です
この手法は、場所の特定で精度が落ち、事例が大陸に限定されて日本での有効性が未定な面はありますが、地震のメカニズムによりダイレクトにアプローチした観測手法で、可能性があることがわかりました。
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◆ ◆ ◆ 地震予知のもっとも有効な観測手法は?
シリーズのここまでの追求から、以下のことが明らかになりました。
★ 宏観現象から、地震の前兆に電磁気現象が起こる。
★ 地震の前兆に発生する電磁気現象は、地圏内のみならず大気圏にも電離圏にも影響を与える。
★ 宏観現象に整合するように、世界の地震予知の先端は、地震の前兆を地球上の電磁気的観測で行なおうとしている。
そしてそれは、地震予知の可能性を見出しており、そのなかでも【ULF法】と【VLF法】の(極)超長波を観測する手法が有効である。
★電磁気観測以外では、【ラドンガス】を直接観測する手法も有効。また、地震のメカニズムにダイレクトにアプローチした地表と雲の温度を観測する【リモートセンシング】も有効である。
以上を踏まえ、地震予知のもっとも有効な手法は、
【ULF観測法】をベースに、【VLF観測法】【ラドンガス観測法】【リモートセンシング観測法】を併用し、4つの手法の観測結果を重ね合わせることで、高い確率で地震予知が可能と判断します。
◆ ◆ ◆ 地震予知の実現に向けて
地震予知の実現は、概ね各県1ヵ所に、「ULF」「VLF」「ラドンガス」の観測所を設置し、そこからの各観測値を重ね合わせ、地震予知を判断できるネットワーク体制をつくることです。
(さらに、衛星からのリモートセンシング観測も重ね合わせれば、より精度が上がる)
これは難しいことではないし、これまでの地震研究に投与してきたコストに比べればたいした投資になりません。
◆ では、壁は何か?
1.地震学会は「プレート説」に固執し、地震予知は未だにできない。
2.その研究に大量の予算がつぎ込まれている。しかしULF法など可能性のある研究の予算はゼロ。
3.VAN法もULF法も国に予算申請していたが、いずれもゼロに。理由は政府方針の「短期予知は不可能」に基づくもの。
4.政府方針の背後には地震学会とマスコミの電波系予知研究に対する圧力がある。
5.この圧力の背景には電磁波によって地震を起こす「HAARP」の存在があるのではないか?これらより、「金貸しの世界支配戦略としての人工地震計画を隠蔽するために電磁波系予知研究を潰していた」という仮説も成り立つのではないでしょうか。
数年前から、世界中で地震は急増しており、しかもその頻度が増しています。
その原因のひとつに、世界を支配する勢力(金貸し)が、電磁波を照射して、電離層に穴を開けたり膨らませたりして、気象を操作する気象兵器を実戦発動していることがあります。
このHAARPと呼ばれる気象兵器は、地震を起こすこともできる地震兵器だとも言われています。
そのため、地震予知のために常時、地震の前兆に発生する電磁気現象の変化を観測すれば、電磁波による(地震を含む)気象兵器が明らかになり、気象兵器の障害になってしまいます。
そのため彼らは、電磁気現象の観測による地震予知を潰す必要があるのです。その先鋒にいるのが、東大を中心とする地震学者です。
(東大を中心とする学閥で構成されている)地震学会と官僚は、本来期待されているのは地震予知にもかかわらず、一面的なプレート説に固執して観念を硬直させ、旧態依然として地震予知のなんら成果を出せていません。そして、その正当化のために「想定外」「地震予知は不可能」など不可知論を厚顔無恥に宣伝します。
そしてそればかりか、己の保身を第一に、世界を支配する勢力(金貸し)の不当な権力に隷属し、新たな可能性の萌芽に蓋をする障害物に成り下がっているのです。
喫緊の課題である地震を含めた自然災害の予知に対し、学者・官僚など専門家から答が出てこない以上、このような化石化した専門家を尻目にし、私たち自らが追求するしかありません。
「自分たちで可能性を探索する」という社会(みんな)課題を私たち自らの課題とし、答を追求し、それを社会(みんな)に発信することが、今、誰にも求められているのではないでしょうか。
そのためには、学者やマスコミなどから流される既存の価値観念を排除し、また観念の絶対化に陥らず、誰もが認められる事実のあくなき追求からの事実の塗り重ねが絶対条件になります。
そしてその実現基盤は、「自然の摂理から導かれた概念装置を謙虚に学ぶ」ことです。
シリーズの最後に、その実現基盤たる【自然の摂理から導かれた概念装置】について、以下の引用で、このシリーズを終えさせていただきます。
るいネット『12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)』
「役に立ちたい」という言葉に象徴される、周りの期待=課題に応えようとする課題収束の潮流は、期待に応えるための能力の欠乏を蓄積させてゆく。
さらに期応収束⇒課題収束を強める新しい世代は、どんどん同類課題を感取する感度を高めていき、遂に’11年、原発災害と統合機関の暴走を目の当たりにして、一気に社会統合期待を上昇させた。
彼らは、化石化した専門家を尻目に「自分たちで、どうにかしなければ」という統合課題を自らの課題として肉体化させつつある。この統合期待は、必然的に、それを実現するための答えの欠乏を蓄積させてゆく。
現実課題の中で蓄積されてゆく能力欠乏と、統合期待の中で蓄積されてゆく答え欠乏は、ともに答えを出すための道具=概念装置あるいは実現基盤を提示してくれている新理論の探索へと先端収束してゆく。従って、新理論が登場しさえすれば、理論忌避の壁は一気に突破され、社会統合課題を自らの課題とした人々が新理論に収束してゆくのは必然である。この社会的な統合期待の高まりに応えて、新理論が登場してくるのは時間の問題である。なぜなら、そこにしか可能性がない以上、その可能性に収束するのは生命の摂理だからである。
しかし、近代観念をメシの種にする専門家には期待できない以上、新理論は素人の手で作ってゆくしかない。さらに、「自分」観念に囚われた観念派にも期待できない以上、新理論はこれまでほとんど観念思考などしたことがない普通の人々が協働して構築してゆくしかない。周りの期待に応えて現業課題を突破するためには、より鋭い切り口が求められるが、そのためには、より深い状況認識が必要になる。そして究極的には、歴史的に塗り重ねられてきた人類の意識の実現構造と社会の実現構造の認識=史的実現論が、最強の武器となる。とりわけ、社会統合課題を実現するためには、この意識と社会の実現構造の認識=史的実現論が不可欠となる。
新理論は、人々の実現期待に応えられる理論=現実に使える理論でなければならない。従って、現実から乖離した近代観念をはじめとする全ての架空観念は全的に否定され、ゼロから新理論を構築してゆくことになる。そのためには、現実世界を動かす実現の構造を発掘できるまで、徹底して人類史を(必要ならサル社会や生物史まで)遡って、歴史事実を収集し、それを法則化=構造化する必要がある。
もちろん、1人では不可能だが、幸い先人の手で多くの歴史事実が既に発掘されており、数十人で協力して歴史事実を収集すれば、論理が整合する実現構造を構築することは決して不可能ではない。
<了>
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