【気象シリーズ】竜巻に雹・・・今年も日本を異常気象が襲う!(中編)
前編の続きです。前編では竜巻や雹を伴う低気圧の異常発達の背景には表層大気と高層大気の間に大きなズレがあることを明らかにしました。問題はそれをもたらした偏西風蛇行やブロッキング高気圧の要因が自然現象によるものか気象操作によるものかです。
自然現象だとする場合、従来からはエルニーニョ・ラニャーニャといった海洋の温度循環と大気循環の関係が騒がれてきましたが、最近の動きはこうした海洋変動は観測されず、むしろ北極振動が注目されています。
そもそも北極振動とは・・・
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参考
http://www.jamstec.go.jp/frcgc/jp/report/2004/jan/tanaka.html
http://trendy.nikkeibp.co.jp/tvote/poll.jsp?MODE=RESULT&POLL_ID=20100301
北極振動とは、北極とそれを取り巻く中緯度帯の間で、気圧がシーソーのように変動する現象。英語でArctic Oscillation(AO)と呼ばれ、米国ワシントン大学のトンプソン博士とウォーレス博士により1998年に命名された。
これまで、異常気象といえば、低緯度でのエルニーニョとの関係が研究の中心だったが、2000年代に入って、暖冬や寒波の原因として、北極振動が注目されるようになった。日本でも、特に北日本において、冬の気候と北極振動が相関しているという。
例えば2002年の冬は、暖冬で桜が早く開花したことで記憶に新しいが、この異常気象は、北極振動が正に大きくふれたことと関係している。北極振動が正(AOプラス)ということは、北極付近の気圧が低めで、それを取り巻く中緯度帯では高めになっている状態。この場合、偏西風が強くなり、日本は暖冬の傾向になる。
一方、北極振動が負に振れるとき、つまり北極の気圧は高い傾向、周辺地域は低い傾向にある場合(AOマイナス)には、偏西風が弱くなり、寒気が中緯度帯に流入しやすくなる。欧州や日本は寒波に襲われる。日本における今冬の大雪は、これが原因という。
このように、北極振動は、日本という一地点での気候に、地球レベルの大きな気象を結びつける見方を教えてくれる。
では北極振動の要因は何か?そこには太陽活動及び地球の地磁気の変化が関与している可能性が指摘されている。つまり太陽から到達する「プロトン」が成層圏の「オゾン量」を減少させる。成層圏の中でもオゾン層は太陽紫を吸収することで熱を帯び、対流圏を暖める効果があるが、成層圏が吸収する紫外線量の減少は成層圏の熱エネルギーの減少を意味し、極地の温度低下を促進する。他方太陽風は地球の地磁気の隙間がある極地に入ることはあっても中~低緯度地帯は地球の磁気によってガードされているため侵入できない。その結果、北極と低緯度地帯との温度差が大きくなるため、極地の冷たい気団が異常発達するという仕組みだ。実際、去年末から太陽の活動が活性化してきており、寒波の南進と時期的にも整合する。
●太陽活動と北極振動
http://air.geo.tsukuba.ac.jp/blocking/MS/2006fujita.pdf
1960 年代に「磁気嵐の3 日後に気圧の谷が深まる」という報告があることから、古くから地磁気活動と地上気圧との間には関係があるといわれている。また、柳原(1991) では、太陽活動と地球温暖化について議論するにあたって、地磁気活動を指標とすることが有効であると述べられている。
Solar Proton Event (SPE) といわれる太陽フレアもしくはコロナガス噴射 (CoronalMass Ejection:CME) 発生時に、高エネルギー粒子(特にプロトン)を大量に放出する現象がある。太陽から放出されたプロトンは、地球の磁力線に沿って極域(地磁気高緯度)に降り注ぎ、大気に侵入する。10MeV 程度の粒子では成層圏上部で静止してしまうが、100Mev 以上のエネルギーを持つ粒子は、成層圏下部まで到達することが可能である。プロトンと大気中分子の相互作用の結果、極域中間圏では HOx (H, OH, HO2) やNOy (N, NO, NO2, NO3, N2 O5, HNO3, HNO4, ClONO2) が生成される。これらは触媒となり、成層圏のオゾン濃度低下に関与する。成層圏オゾン量が北極振動と関わりが深いことは知られている。
(この太陽風→プロトンの増加→成層圏オゾンの減少と北極振動の相関についての仮設は)
① 磁力線に沿ってプロトンが極域に流入し、成層圏~中間圏の窒素酸化物が増加し、それらが触媒となり成層圏のオゾンが減少する。
② 中間圏で増加した窒素酸化物が子午面循環により極域下降時に輸送され、成層圏下部までのオゾン濃度を低下させる。もしくは、100MeV 以上のプロトンは成層圏下部まで到達するという報告があることから、直接成層圏下部まで降下し、極域のオゾン濃度を低下させる。極域成層圏のオゾン濃度の低下により、吸収する紫外線量も減少するため、極域成層圏上部の温度が低下する。特に、赤道~冬半球極域にむかって成層圏上部の温度勾配が増加する。
③ 温度風の関係より、成層圏の温度勾配が急な部分でジェットが強化される。下方から伝播してきたプラネタリー波を変化させ、ジェットのコアを北極域へと移動させ、北極振動を強化する。
●オゾン層と気候の関係
http://www.nies.go.jp/kenkyusaizensen/200811/200811.html
オゾン層は高度10~50kmの成層圏にあり、太陽からの紫外線を吸収します。成層圏で吸収された太陽紫外線のエネルギーは成層圏大気を温め、地球規模での循環を起こします。高度10km以下の対流圏にもオゾンが存在しますが、その量は大気全体のオゾン量の約10%に過ぎず、ほとんどは成層圏に存在しています。
オゾン破壊によって地表に到達する紫外線が増加することはよく知られていますが、その紫外線のエネルギー増加が気温に与える影響は小さく、地球温暖化につながるとは考えられていません
しかし疑問もないではない。太陽活動が活性化しているとはいえ大きなトレンドとしては太陽活動はかつてよりも脆弱化しつつあるのだ。スーパーフレアが問題となっているが現在の太陽活動は過去に比べれば非常に小さいものでしかない。
http://oka-jp.seesaa.net/article/270187102.html
5月11日頃から、メディア各紙で久しぶりに「太陽黒点」の話題が取り上げられていました。それは、「モンスター級の巨大黒点が太陽に出現した」というものでした。最近の太陽活動の「縮小」ぶりを見ている中では、「今回も大きな動きなく去って行く可能性のほうが高いのでは」と判断して、特にふれなかったのですが、実際、それからの数日、まったくといっていいほど目立った活動を起こさずに太陽黒点 1476はまた地球の裏側へ去ろうとしています。しかし、確かに私自身、「大きな動きはないだろう」と思っていたとはいえ、それでも、その想像以上の「静けさ」でした。たとえばMクラスくらいのフレア程度は発生させるだろうとは思っていたのですが、実際のこの太陽黒点1476の活動は、その予測よりはるかに低いものでした。
確かに太陽活動の11年周期説からみると後れた活性期にあることは確かですが、それでも非常に弱いということも他方の事実なのです。勿論、太陽のスーパーフレア説等も論議されているので太陽がいつ大きな変化を起こすかは予断を許しませんが、それでもこの冬の太陽の活動にのみ原因を求めるのは無理があるように思われます。
そこで考えられるのが人工気象操作です。たとえばIPCCは地球温暖化対策として「地球工学」を推進しようとしているといいます。次回は人工気象の可能性を探ってみましょう。
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T.miyake | 2013.05.21 22:37
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こういう話しはむかしからあって、音楽を聞かせると成長がはやまるそうでっせ。