気象操作の歴史を遡る4~「研究」に名を借りた気象操作技術の開発
(画像はコチラからお借りしました)
前回の記事では、お祈りや宗教儀式に始まり、その延長上のような森林を焼き払うことで雨を降らせる手法に至るまでの歴史を紹介するとともに、一点突破思考の問題点を挙げました。
その後、第一回のロシア編で紹介したようなヨウ化銀を使った降雨技術や、霧を部分的に晴れさせる技術など一気に実用化が進められます。
気象操作技術が、前回紹介したような牧歌的な手法からが実用化に向けて大発展を遂げた背景を調べていくと、そこにには「戦争」の存在が見えてきます。
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■実用化された気象操作技術
科学技術も戦争圧力によって生み出されたといわれるが、気象操作技術についても同様である。
第二次世界大戦が激化すると、イギリス軍にとって霧が最大の障害となった。爆撃予定が増えると同時に、事故率も跳ね上がり、着陸ができないことで失われる飛行時間が長引くにつれ、この霧問題は緊急を要するものとなった。
霧の多いイギリスで飛行機の発着を可能にしたのが、「ファイドー」と呼ばれる技術だ。飛行場の発着場の周囲で燃料を燃やし、空気の温度を上昇させることで、霧を消滅させると共に、夜間でも発着可能な明るさを確保することができた。
「気象を操作したいと願った人間の歴史」P234 ファイドーの実用化
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ドイツ軍が地上に釘付けになっていいるとき、イギリス軍と連合国軍の戦闘機は視界不良の状態でも離着陸できた。
一刻も早く実用化を、とチャーチルの要望に無事に答え、ファイドーはただちにイギリス空軍と連合国軍の航空兵を無事に帰還させるという任務を担い始めた。
任務を終えて霧深いイギリスに戻ってくる操縦士には、遠くからでも飛行場が輝き、霧のない明るく照らされた飛行場がお帰りと無羽化得てくれているのが見えた。
また、すっかりぼろぼろになった戦闘機と疲労困憊した兵士を地上へと運ぶ貴重な時間を節約できた。
ファイドーのお陰で、敵の戦闘機が視界不良のため飛び立てないときも、連合国軍は哨戒や空襲を実施し、無事帰還できた。
同様に、第一回で紹介したヨウ化銀による人工降雨技術もこの頃開発された。アメリカの電気メーカーであるGEは、ドライアイスを雪の結晶核として利用できることを発券し、空中から飛行機を使って、布し雪を降らせるという技術を開発し、実践している。
日本でもこの人工降雨技術は使われており、同様の方法だと言われています。
「気象を操作したいと願った人間の歴史」P259 GE、世界に公言
GEはこの実験について詳しく発表し、実用化の可能性が無限に広がりそうな科学的予測の勝利だと宣伝した。
「1946年11月14日、ニューヨーク州スケネクタディ-GEの科学者たちは、マサチューセッツ州西部のグレイロック山上空を飛行機でとび、3マイルにも及ぶ雲を使って実験を行った結果、雲を雪に変えることに成功した。」ラミングミュアはこの結果が実験室での実験・計算に基づいた予測に「完全に一致している」と言い切った。
気象操作技術は戦争圧力の中で実用化されてきたという事実が浮かび上がってくる。
そして、戦争においては、気象を読んで作戦を立てることが重要であるように、自然現象である気象を一時的なものであっても、意図的に操作できることは大きな”武器”となる。
この”武器”を持つことで戦争だけでなく、外交上も、政治上も有利に進めることができる。
■実戦、そして環境改変兵器禁止条約へ
歴史事実として、アメリカは気象改変装置を実戦でも使用している。
1966年から72年の間、南北ベトナム、ラオス、カンボジアを覆うジャングルで、アメリカ軍が秘密ウラに人工降雨を試みたのだ。目的は、北ベトナムが人員や軍需品の南ベトナムへの輸送に利用していたホーチミン・ルートの一部で「通行許容度」を減らすことだった。この実地実験の暗号名はポパイ計画だったが、作戦計画全体の総称は空軍パイロットの間では、「モータープール作戦」と呼ばれていた。
これらの計画は気象改変装置が戦争兵器として使用された最初の事例ではなかった。1950年朝鮮半島で、冷たい霧の消散に雲の種まきが使用されたと見られている。
これらの事実は当事の新聞社は暴露記事として報道していたが、アメリカ政府は公式の発表は控えていた。モータープール作戦は結局、ニクソン政権の末期に公表され、気象戦争のウォーターゲイト事件と呼ばれた。
この事件がきっかけとなり、気象操作に対する意見は賛否両論あったが、冷戦状態にあった旧ソ連はベトナムでの雲の種まきに関してアメリカが弱い立場にあると見て取り、ウォーターゲイト事件の危機に乗じて、一方的に気象改変の軍事利用問題に国連の注目を向けさせ、外交上の主導権を握った。
環境改変兵器禁止条約(ENMOD)は1977年にジュネーブで始まり、アメリカとソ連を含む34カ国が調印し、翌年に発効となった。同条約に日本は1982年6月4日に国会承認をはたし、批准した。こうして表向きには気象操作は禁止されるに至ったのだ。
■世界共認を欺くための「研究」に名を借りた技術開発
こうして環境改変兵器禁止条約(ENMOD)が発効することで、地球環境改変装置を使うことは出来なくなったわけだが、実は抜け道があったのだ。
ENMODの文言が協議されている中、環境保護論者たちはその中身が不十分であることを理由に批准しないよう求めていたのだ。
「気象を操作したいと願った人間の歴史」P321 ENMOD-環境改変兵器禁止条約
この文章は欠陥だらけだった。文言があいまいで、強制力に欠け、違反の認定基準が高すぎ、対象となるのは意図的になされた敵対的な環境改変のみだった。その上、条約はこの分野の研究開発を禁止していないし、適用されるのは批准或いは加盟した国だけだ。
つまり、研究という名目のもと気象兵器の開発は出来る道を残した。そして、ENMOD批准後も気象操作技術の開発を進めたと考えられる。それは、以下の米国防長官の発言からもよくわかる。
「気象を操作したいと願った人間の歴史」P325
1997年ウィリアム・S・コーエン米国防長官が発した警告だ。「エコ型のテロリズムでは「敵が」気候を改変したり、電磁波を使う遠隔操作によって地震を起こしたり、火山を噴火させたりできる・・・これは現実だ。だからこそ、われわれはもっと努力しなければならないし、そうすることがきわめて大切なのだ。」
るいネットより引用
近年、ジオエンジニアリングという新しい工学分野が研究され始めている。
ジオエンジニアリングとは、
ジオ(地球)とエンジニアリング(工学)を組み合わせた言葉で、地球工学(気象工学)と訳される新しいジャンルの工学分野だ。
目的は地球温暖化対策として人工的に地球を冷却したり、二酸化炭素を大気から除去したりすることを目的としている。
直訳だと地球工学になるが、具体的には気候を改変するので「気候工学」と呼ばれることもあり、地球温暖化対策で一躍有名になったIPCCも気候工学を一つのテーマとして取り扱っている。
近年ケムトレイルという消えない飛行機雲についての議論をネット上でよく目にするが、この目的は地球温暖化対策としてのエアロゾル散布とも考えられる。
また、宇宙気象という名目のもと電磁波を研究し、通信障害の研究も進められているといわれている。
このように、
世界共認を欺いて「気象操作技術」の研究・開発は進められていると考えられる。
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