2013-10-09
縄文に学ぶ自然の摂理 ~縄文時代の基礎知識3~日本海の湿潤性が、豊かな縄文時代の礎を築いた
縄文の基礎知識を振り返るシリーズ。
初回の縄文に学ぶ自然の摂理~縄文時代の基礎知識1「豊かな森と二つの道具」では、世界でも珍しい農耕を伴わない定住生活と「弓矢」と「土器」の二大発明についてご紹介。続く、縄文に学ぶ自然の摂理~縄文時代の基礎知識2「縄文の食、東と西」では、縄文人の食の多様性を東・西日本の比較を軸にみてきました。
そして今回は、「日本海の湿潤性が、豊かな縄文時代の礎を築いた」と題し、縄文時代の黎明期(氷河期末期)当時の気候状況について、「世界史のなかの縄文文化」(雄山閣・安田喜憲・平成16年改訂。以下「同書」という)を要約する形を取りながら、ヨーロッパと日本の比較を柱に紹介していきます。
「氷河期」と言われても、それは現代人にとって未知の世界です。そこで、まずは以下の気温グラフで、氷河期末期(約7万年前~1万年前)~現代に至るまでの気温の変化を大きく俯瞰してみましょう。
【氷河期末期~現代までの気温変化】
※元のグラフはこちらから紹介しました。
ここから見えてくるのは、激しい気候変動の歴史です。縄文時代(1万6500年前~3000年前)にも「縄文海進」「弥生海退」という言葉があるように、激しい気候変動がありましたが、それ以前の時代はもっと激しい変動に見舞われていたことがこのグラフから見て取れます。
そんな過酷な状況の中で、縄文の豊かな森に繋がる日本の森(植生)はどのように形成されてきたのでしょうか?時代を追って見ていきましょう。