2011-11-14

【地震のメカニズム】4.プレートテクトニクスの成立過程・その3~多様なプレート境界と地震発生地帯の関係

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過去に日本で発生した巨大地震は、収束型プレート境界沿いの大陸側に集中していることがわかる。311東北大震災の影響もあり、近い将来茨城~千葉房総沖を震源といる巨大地震の発生を予測する研究者も少なくない。
画像はこちらからお借りしました。
【地震のメカニズム】シリーズの5回目です。
現在の地震予知と人工地震!? 
【地震のメカニズム】1.プロローグ
【地震のメカニズム】2.プレートテクトニクスの成立過程・その1~大陸移動説から海洋底拡大説まで~
【地震のメカニズム】3.プレートテクトニクスの成立過程・その2~プレートテクトニクス理論の登場
前回は、プレートテクトニクス理論の基本的な考え方についてまとめました。簡単にまとめると・・・
◎硬いプレート(=地殻と上部マントルを合わせたリソスフェア)が、下部の流動的な部分(下部マントル=アセノスフェア)の上に浮いており、アセノスフェアの対流(マントル対流)に応じてプレートが水平移動する。
それでは、複数のプレート同士の境界部分はどうなっているのでしょうか?
今回は、できるだけわかりやすくなるよう、多くの図版を用いてまとめてみました 😉
いつもクリックありがとうございます
尚、前々回~今回の記事は、主に「地球のダイナミズム」を参考にさせて頂いています。(特記なき限り、画像は「地球のダイナミズム」よりお借りしています。)

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プレート境界には3種類ある。
画像はこちらからお借りしました。
●プレート境界には3パターンある
プレートはマントル上部対流によりそれぞれ異なった方向に動いているので、その境界ではプレートが離れたり、衝突したり、すれちがったりしており、3種類に区分されています。
(1)発散型境界
(2)収束型境界
(3)すれちがい型境界
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図で、のラインは、新たなプレートが生成される「発散型境界」を示しており、のラインはプレート同士がぶつかり合う「収束型境界」を示しています。(矢印はプレートの移動方向)
世界の地震の約1割(回数)が発生していると言われている地震多発地帯の日本は、収束型境界の密集地に位置していることがわかります。
【ここが疑問】 :roll:  🙄  
・アフリカ大陸は発散型境界にはさまれているが、歪が蓄積しそう・・・あり得るのか?あるいはアフリカ大陸には未発見の収束型境界が存在しているのか?
●「発散型境界」は「中央海嶺」と「リフト帯」を生み出す
「発散型境界」は2つのプレートが離れていくところです。以下のように海に存在する場合と陸に存在する場合があります。
・海底にある「発散型境界」 = 中央海嶺
・陸上にある「発散型境界」 = リフト帯  
※地上のリフト帯は時間とともに広がっていき、最終的には2つの陸地を隔てる海が誕生、
リフト帯は中央海嶺とってきます。(下図参照)
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画像はこちらからお借りしました。
例えば、アフリカプレートとアラビアプレートが離れていく発散型境界に位置する紅海は、
徐々に拡大する大地溝帯に海水が入り込んで形成された最も新しい海とのことです。
◎中央海嶺で新たなプレートが生成され、その仕組みは以下です。
・2つのプレートが水平方向の張力を受けて離れていくところでは巨大な陥没地形が形成さる。
・中央海嶺では陥没の隙間を埋めるようにマントル物質が上昇し。マントル物質が深さ50kmくらいまで上昇すると、圧力の低下と海水による融点降下により容易に溶融してマグマとなる。
・深海では巨大な圧力がかかっているので、マグ マは爆発することなく静かに谷を満たしていく。
・この静かな噴火により、新しい海洋地殻が次々と形成され、毎年2cmほど水平方向に移動しても海洋地殻が途切れることはない。
◎陸上にある「発散型境界」の代表例がアフリカ東部を南北に走るアフリカ大地溝帯です。
・大地溝帯では、大地に巨大な谷が形成され,その両側は階段状の地形となっています。
谷の幅は35-100kmもあり、この谷がある時間をかけて段階的に陥没していったことを
示しています。
10416.png
●「収束型境界」は「海溝」と「巨大山脈」を生み出す
「収束型境界」はプレート同士が衝突しているところであり、「沈み込み型」「衝突型」に区分されます。
また、どのようなプレートが衝突しているかにより「大陸/海洋型」「海洋/海洋型」「大陸/大陸型」の3つのパターに分けられます。
「大陸/海洋型」「海洋/海洋型」
比重の大きい片方のプレートがもう片方の下に沈み込む。
「沈み込み型」となる。
海溝が形成される。
「大陸/大陸型」
大陸地殻は軽いためマントルに沈み込めない。 
「衝突型」となる。
互いに圧縮しあい境界部が折り曲げられる。
巨大山脈が形成される。
■「大陸/海洋型」
・・・海洋プレートは比重が大きいので大陸プレートの下に沈み込む。
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■「海洋/海洋型」
・・・海洋プレートの片方はマントルに沈み込み、海溝火山フロントが形成される。
10421.png
※沈み込むプレート岩石が含んでいる水の影響で、融点降下が発生するため、マントルに熱せられある一定深さになるとマグマが発生し、それが「火山フロント」を形成する。
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※日本列島、千島列島、フィリピン、インドネシア、アンデス山脈などがこの事例。
太平洋プレートがフィリピン・プレートの下に沈み込む部分では、伊豆諸島、
小笠原からマリアナ諸島にかけての海溝と火山列島が形成されている。
10423.png
■「大陸/大陸型」
・・・片方のプレートがもう片方の下に沈み込もうとするが、軽い大陸地殻はマントルに沈み込むことができず取り残される。
2つの大陸地殻は衝突し、境界部分は圧縮され巨大な褶曲山脈が形成される。
10422.png
※およそ6500万年前に始まったアフリカ大陸,アラビア楯状地とユーラシア大陸の衝突はヨーロッパアルプス、アナトリア高地、カフカス山脈、エルブルズ山脈、ザグロス山脈を形成し、1500万年前のインド亜大陸とユーラシア大陸の衝突によりヒンドゥークシ山脈、カラコルム山脈、ヒマラヤ山脈、コンロン山脈、チベット高原、横断山脈が形成された。
※ヒマラヤ山脈などを形成したインド亜大陸は2.5億年前に当時の南半球にあったアフリカ
大陸から分かれて北上し、赤道を越え て,1500万年前にアジア大陸と衝突。
インドは現在でも年に10cmずつアジア大陸に接近しており,ヒマラヤ山脈は少しずつ高くなってる。
※2008年5月の四川大地震は、このユーラシアプレートとインドプレートが衝突する収束型プレート境界から約1000km地点で発生している。
Image497.gifImage495.gif
画像はこちらからお借りしました。
※日本列島においても、太平洋プレートとフィリピンプレートの衝突による火山フロントにより
形成された島がフィリピンプレートにより運ばれ、日本列島に衝突。丹沢は250万年前に衝突
して山塊となり、70万年前には伊豆が衝突して伊豆半島が形成された。このとき,丹沢と
南アルプスが隆起した
と考えられている。
40minami.jpg
かつて南の海に位置していた丹沢山地・伊豆半島は、フィリピン海プレートにのって北上し、本州と衝突した。 その境界付近ではさまざまな地学現象が起きている。
いまなお衝突が続く様子を、地質学・地球物理学・古生物学などの専門家が探る。
画像はこちらからお借りしました。
【ここが疑問】 🙄   🙄
・参考図では片方の軽い大陸地殻がマントルに沈み込んでいるようにみえる?実際はどうなってる?
・インド亜大陸や伊豆半島は、このままいくと数億年後には消滅していまうのか?
●「すれちがい型」は地上や海嶺にて横ずれ断層を形成する 
すれ違う境界同士の間では、明瞭な横ずれ断層(トランスフォーム断層)が形成されます。
アメリカ西部のサンアンドレアス断層やトルコの北アナトリア断層などが有名で、非常に活発に活動しています。
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大西洋中央海嶺のトランスフォーム断層
画像はこちらからお借りしました。
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地上に現れたトランスフォーム断層である、サンアンドレアス断層   
画像はこちらからお借りしました。
                                                          
6.プレートテクトニクスと地震発生分布
最後に、プレートと地震発生地帯の分布について見てみましょう。
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上図中の赤点はM5以上,100kmより浅い地震の震源を表しています。黒いプレートの境界線との関係がよく分かります。
上下の図を比較すると、中央海嶺起源のものを除くと規模の大きな地震は、ほとんどがプレート収束帯にて発生していることがわかります。
【ここが疑問】 :roll:  🙄  
・樺太からロシア方向に伸びるユーラシアプレートと北米プレート境界(収束帯)では巨大地震がほとんど起こってないのはなぜ?
・インド北方のチベット高原周辺の巨大地震多発地帯は、インドプレートとユーラシアプレート境界からかなり離れているように見えるが、この地震発生メカニズムはどうなってる?
以上、プレートテクトニクスがどのような理論なのかを見てきました。
次回は、プレートテクトニクスを用いた地震理論がどのようなものなのかをまとめてみたいと思います。
尚、マントル対流の原動力として(更には、シリーズ後半で紹介する「熱移送説」の熱供給源として)最近研究が進んでいる「プリュームテクトニクス」については、次々回あたりに登場予定です

List    投稿者 kota | 2011-11-14 | Posted in D03.地震No Comments » 

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