【気象シリーズ】宇宙気候から気象変動を考える7~太陽の可視光による気温変動説
(画像はコチラからお借りしました)
前回の記事で紹介したとおり、地球の気温は二酸化炭素より太陽活動との連動性の方が大きいことがわかりました。これまでも当ブログで扱ってきたように、気温をはじめとする地球気候は太陽による影響によって変動すると考える方が、自然の摂理に則しているのです。
今回の記事では、太陽活動の変化がどのようにして、地球の気温変化を生み出しているのかを追求します。当ブログでは、過去に太陽活動による気象の変動を、宇宙線による雲形成で説明するスベンスマルク説を紹介してきましたが、これ以外にも可視光線説や紫外線説も存在しています。
そこで、今回は可視光線による気温変動を紹介します。
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■地球の熱収支
地球に入ってくる全てのエネルギーと地球から出ていく全てのエネルギーは、地球のエネルギー収支という1つの物理的なシステムと考えることができる。地球が得るエネルギーの合計と放出するエネルギーの合計は等しく、均衡が保たれている。
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得るエネルギー
・太陽放射(全体の99.97%、約174ペタワット、放射照度では約340 W/m2)
・地熱エネルギー(0.025%、約44テラワット、約0.08 W/m2)
・潮汐によるエネルギー(0.002%、約3テラワット、約0.0059 W/m2)
・化石燃料の燃焼によるエネルギー(約0.007%、約13テラワット、約0.025 W/m2)
失うエネルギー
・地球に注がれたエネルギーの30%は反射される。
・残りの70%は全て吸収される。
Wikipediaより引用
熱収支は一般的には上記のように言われている。
地球が得るエネルギーのうち99.9%は太陽放射によるエネルギーであるため、この比率を見ても太陽の影響が大きいことがよく分かります。
■可視光線による気温変動
太陽活動が活発になると太陽の明るさが増して、地球が温暖化し、逆に太陽活動が不活発になると、地球が寒冷化するという説。
太陽の明るさは、極大期と極小期で変動しており、黒点数が増える極大期では明るく、黒点数が少ない極小期では暗くなる。
かつては太陽の明るさは変化しないと考えられていた。しかし1978年以降人工衛星の観察で太陽の明るさは変化することが確認されている。
黒点が増えると同じく太陽磁力線の塊である、「白斑」(明るい輝点)も同時に現れる、黒点の暗さを白斑の明るさが凌ぐため、トータルで見ると太陽は明るくなる。
太陽の明るさは「太陽放射量」という量で表される。太陽から地球大気に届く全波長にわたる電磁波の放射エネルギーは一平方メートル1360.8±0.5ワットで電子レンジを一台動かせるくらいのエネルギー量である(注:太陽光を全てエネルギーに変換できればという仮定に基づく、実際は10%くらいしか電力に変えられない)。
では太陽放射量は極大期と極小期でどれくらい違うのか。これまでの観測結果ではその変動幅は0.1%、それによって地球の気温は0.12度ほど変化すると考えられている。ただし、それはこれまでの人工衛星の観測結果によるものであって、人工衛星の無かったマウンダー極小期の頃太陽活動がどれくらい落ち込んでいたかは判らない。もし今の1%太陽放射量が落ち込んでいれば、地球の気温は1度は下がることになり、そうするとイギリスのテムズ川の凍結も説明がつく。
太陽活動の変化と地球の気温の連関の3つの可能性①より引用
太陽放射量の変動幅である0.1%の影響力はどの程度なのだろうか?0.1%という数字を見ると大勢に影響はないと考えてしまいがちですが、エネルギーに換算すると無視できない熱量となる。太陽からの放射エネルギー174ペタワットの0.1%とすると、174テラワットとなります。これは、一般的に原発1基約1ギガワットの発電量ですので、その20万倍というとてつもないエネルギーとなるのです。が変動していることになり、単純に無視してしまうにはあまりにも大きな熱量となるのです。
また、地球の平均気温は絶対温度にすると300K程度であり、仮に0.1%変動するなら0.3度となります。変動のオーダーとしては上記の数字とも整合します。
太陽放射の変動によって、地球の平均気温は平均0.1~0.3度の気温変動を引き起こす可能性があるのです。このように太陽放射からの変動による気温変化は、最も理解しやすい説であり、科学的な観点においても可能性はあるといえるのではないでしょうか?ただ、平均0.1~0.3度の微小な気温変化が気象にどの程度影響を与えているかは継続追求の必要があると考えています。
次回は、紫外線説について紹介したいと思います。
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