2009-08-29

日本人の身体技法 part2 ~ナンバ歩きとは何か?~

「ナンバ歩き」に関して、ネットを検索してみると、トンデモ説扱いされているのが多く見られます。
「日本人は明治までナンバ歩きという左右の手足を同時に前に出すような歩き方をしていた。」という中途半端な誤解が、「そんな動き方をしていない、明治初期の映像を見てもそんな歩き方でない。」という誤解を生んでいたようです。
別に、ナンバは右手右足を同時に振っていたわけではない。
でも、過去の日本人が今とは異なる身体技法を持っていたのは確かなようです。
その残滓が武術や芸能に残っている。西洋的な身体の動かし方とは違いますよね。
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写真は
A’s Web さん
謡蹟めぐり 謡曲初心者の方のためのガイド さん からお借りしました
でも、武道家にも古典芸能家にも伝わっていない動きがあったようなのです。
ではまずその歩き方とはどんなものだったか?
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るいネット 本当のナンバ~常歩(なみあし) より

「本当のナンバ~常歩(なみあし)」  木寺英史 著
なんば歩き~明治以前にあった日本人の体の動かし方~は、「右手右足が同時に出る、半身毎に動かす」と言われてきたが、そんな動かし方ではロスが大きすぎる。とても一般的に使われた動きだとは思えない。
剣道の指導者である著者が自分の体を使って研究した結果が以下である。
江戸の浮世絵を見れば確かに右手右足が同時に前にある。しかし、これは同時に前に振り出したものとは固定できない。右足が出るとき、右手は元に戻る途中であるかもしれない。
実際は、体に左右2軸を持った歩き方である。
近代化された歩き方は中心軸を持ち、これを中心に右足を前に出せば、上半身は逆に回転させなければ前に進めない。だから捻る。
エネルギーロスの大きな歩き方である。
常歩は2軸を平行して前に進めるため、体幹を捻る必要がない。
このとき、手が足と同じ側かどうかは関係ない。両方ありうる。腕の振りは推進力と関係ない。
常歩は右足を前に出すとき、骨盤は左側が前に出る。(意識してできることではない。)そのために、股関節には外旋力が働く。体幹が柔らかく、十分ゆるんでいることが重要になる。
また、近代化された動きでは、足の親指の根元あたりを蹴って進む。しかし、それは体の重心より前の位置なので、ブレーキをかけながら進んでいることになる。これもロスが大きい。
常歩では、踵を踏み(残し)、つま先をあげて体重を前に移動する。
こうすると、ほとんど体重を持ち上げずに進むことができる。
実はこれらは、歩き始めの5歳児くらいまではみんなやっている歩行法。
いつの間にか「学習」して近代化された動きになっている。
練習すれば、常歩によって、エネルギーロスの少ないスムーズな動きが実現できる。

これが小さな子供の2軸歩行        大人のナンバ歩き
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写真は
ナンバ歩き常足2軸歩行高下駄一本歯で考える さん
上野敏文の「ナンバ歩き」講座 さん からお借りしました。
(↑なんば歩きが紹介されています。)
ナンバ歩きが有名になったのは古武術家の甲野善紀氏の活動が大きいかと思います。
現代に伝わる武道の身体の使い方に疑問を持ち、過去の剣豪や職人が持っていた超人的な身体能力がフィクションでは無く、本当に行われていたらしいことを自分の身体で研究し、示された方です。
甲野氏の指導を受けた、バスケットやラグビーの選手がめざましい活躍をしたり、陸上の末續選手がナンバを取り入れたりして注目を浴びました。
今では、多くの人がナンバ的動きを研究しています。
ナンバの基本、日本人古来の身体技法は「捻らない、反力を使わない」です。
前に進むのも、身体の位置を変えるのも、重力を使って倒れ込み、地面を後に蹴ったりしない。
左右に足を出すために、体幹を捻って軸を通すようなことはせず、左右に身体を分けて進める。
歩く、走るために腕を振る必要もない。

ある意味、非常に合理的な動きだと思うのです。
ただし、ヨーロッパ的な身体美意識とはかけ離れています。
膝は曲がるわ、顎はでるわ、軸は通らないわ、洋服を着て歩いてもちっとも美しくない。
美しさで言うなら、どうしても和装と日本的所作が必要になってきます。
しかし、ヨーロッパ的価値観とは全く異なる有力な身体技法がある、ということにとても可能性を感じるのです。
次は呼吸法について見てみましょう。

List    投稿者 hihi | 2009-08-29 | Posted in M01.身体の自然環境2 Comments » 

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コメント2件

 naganobu | 2010.03.25 22:36

既に、商業生産プラントが稼動しているとは、知りませんでした。これから楽しみな技術です!

 leonrosa | 2010.04.03 17:04

naganobuさん、コメント返しが遅くなりました。
シリーズ第3回の前・中・後の3篇を終えました。
藻から燃料生産では、実は、まだ商業生産プラントは実現していません。
唯一、藻類培養の商業プラントを稼動させているのが、DIC子会社のスピルリナ(藍藻類の一種)です。
これは、後編で扱いました。 

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