日本人は何を食べてきたのか part2 縄文・弥生・古墳時代
これから、日本の食の歴史を順を追って見ていきたいと思います。
最初は、縄文時代と、弥生・古墳時代です。
■縄文時代(約6000年前から前1200年頃まで。なお年代区分は出典のまま)
『日本食生活史』によれば縄文時代、日本人は、 「弓矢によって狩猟をなし、銛・釣り針をもって漁撈をなし、貝を捕食し、食用植物を採取する採取経済の段階に終始した。住居は主に台地上に竪穴住居。集落を形成し、食料の採取には集団的な共同作業が行われていた。」とあります。
簡潔ですがなんとなくイメージが湧いてきますね。
縄文カレンダー
http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/enlight/umihoshi/learning/2_0800.html
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縄文時代の食生活は、その代表的遺構である貝塚からそのあらましがわかるとされています。
陸棲動物では鹿、猪を主に熊や狐などを、水棲動物では鯛、鱸(すずき)を主に平目や河豚、時には鯨や海豚などを、貝では赤貝、猿頬(さるぼう)蛤、浅蜊外を挙げています。
(ところで猿頬って余り聞きませんね。どんな貝でしょう?興味がある方は以下へ。)
http://bigai.world.coocan.jp/pic_book/data03/b0144.html
下の図は縄文時代の遺跡から想像した当時の食べ物の例です。
三内丸山遺跡公式ホームページより
当時の調理法は火で焼く、あぶる、煮るなどの火食です。
興味深いのは、 「当時は海水から塩を取った遺跡・遺物は皆無で食塩は使わなかったと思われる。」と書かれていることです。筆者は「彼らは動物の臓器等を多く食べていたのであえて塩分は不要だったのではないか。」と想像しています。
また、 「一方で関東の貝塚から辛味がある巻貝のレイシが、青森県の遺跡から山椒を入れた土器が発見されたことから、刺激性の辛いものが使用されたらしい。」とも書いています。
■弥生・古墳時代(紀元前後~7世紀)
弥生・古墳時代の概要については、 「弥生時代には水稲と金属器の輸入、弥生式土器の登場で画期的な変化がおとずれた。人々は農耕に適した低湿地の周辺に居住した。さらに3世紀頃になると、強大な大和朝廷による日本の統一が出来上がってきた。」とあります。
この時期の食における最大の出来事は、なんといっても稲作の始まりと広がりです。
水稲は前3世紀頃に九州で、前1世紀頃に近畿へ、そして3世紀には関東に広まりました。
以降現代に至るまで、米は日本人の主食として位置付けられたばかりでなく、 「日本人の諸習慣や社会組織の根底を作り、米食民族として運命付けられることになった」のでした。
米の調理方法については、 「穂につけたまま倉に入れた籾は、必要に応じて穂から離した。籾は竪臼に入れて竪杵でついて脱穀した。米の調理は精白することはなく玄米のまま粥にしてすすったのではないかと想像されている。古墳時代になると強飯(こわめし)が一般化した。」としています。
当時の食事のイメージ イラストは弥生ミュージアムより借用
倉があるということは、安定供給できるようになった米をストックするようになったということですね。
弥生・古墳時代は、米を常食とすることで主食・副食という概念が形成された時代であるとともに、ストックによる貧富の差が生じ、拡大した時代でもあります。
ところで、主食副食という概念は世界共通のものなのでしょうか。
これには諸説があるようですが、その地域で比較的大量に安定的に栽培でき、かつ総合栄養食としてバランスがよいものが、主食の地位にあるようです。
米や芋が代表的ですね。
ちなみに小麦から作るパンは、総合栄養食という点ではバランスが悪く、そのためにおもにパンを食べる国では主食・副食という概念は薄いようです。
http://karusyoku.com/kuraberu/kuraberu2.html
また下の図は、国別の最大作付け面積の作物で色分けしたもので、必ずしも主食作物を示しているわけではないのですが、概要はわかりますね。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0430.html
食という観点での縄文時代から弥生・古墳時代への変化は、採取による雑食の時代から、安定栽培できる米を主食に固定した主食副食分離の時代への変化と言えるようです。
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コメント8件
匿名 | 2009.10.05 20:40
なるほど、遺伝子組替え食品の問題の本質は、それを食することが危険ではないかと言う話しではなく、生態系が脅かされる事。確かにそうだと理解しました。
リンクで紹介されている遺伝子組み換え作物の象徴である、除草剤ラウンドアップは、日本の農家でも既に一般的用いられているとのこと。サロンで教えてもらい、遠い世界の話ではないと、びっくりしました。調べてみると、遺伝子組替え植物自体も、すでに私達の周りの自然環境に入り込みつつあり、いつの間にやら自生域を拡大してきているようです。
主に港湾地域での、遺伝子組み換えナタネの自生域の広がりについてのレポートを見つけました。リンク
匿名希望 | 2009.10.06 17:17
>生物の適応性の高い部分のみを集めて作った生物ですから、より適応度が高いのは当然ですね。
近代思想に基づいた科学は、徹底的な要素還元主義です。
遺伝子のうち、都合のよい部分(要素)だけを取り出し、全体性をもった自然生命に無理やり加えている。
現在は、単一機能のみを追加させているが、早晩、多数の機能を追加するようになります。
それは、もはや自然の種とは、似て非なるもの、フランケンシュタインの怪物だと思います。
egisi | 2009.10.07 21:21
みなさま、コメントありがとうございます!。
リンクのご紹介にあるよう、もっとこの事実をたくさんの人と共有して行きたいですね。
今後も、応援よろしくお願いします!。
w | 2014.04.24 21:45
小6です!宿題の家庭学習に使わせてもらいました!
ありがと! | 2014.04.24 21:46
ありがとうございます。
怪盗x | 2014.05.30 20:03
宿題に使わせていただきました
renren | 2014.08.08 16:24
自由研究にとっても役立ちました
天然水 | 2009.10.05 19:00
永い時間をかけて調和している自然の摂理を、人間が都合のいいように変化させることによって生じる危険性を感じますね。
予測不可能な生命体を作り出す。とても違和感があります。
もし、人の手に負えない問題に発展した場合、いったい責任は誰が背負うのでしょう?目先の利益と都合のいい安全性の謳い文句に騙されないようにしなくてはいけませんね。