『水資源』の危機!!どうする?-①:プロローグ
(画像は、ブログ「Tapestry」さんより引用させて頂きました)
地球温暖化問題以来、「地球の水が枯渇する」という話まで耳にするようになってきた
枯渇するかはともかく、世界では12億人とも言われる人々が、不衛生な水しか飲めない生活を強いられているという。
「水」は言うまでも無く生命の源です。
そんな水が、まともに飲めない人がいる一方、世界中で使用量が増大し汚染され続けている。
そしてそればかりでなく、水を営利目的の『資源』として確保しようとする多国籍企業も登場している。
今、世界の水をめぐる状況はどうなっているのだろうか?
そこで、今世界が置かれている「水の問題」の本質に迫り、その原因構造から新たな可能性の基盤を追求します。
内容は、次の目次に沿ってシリーズでアップしていきますので、乞うご期待
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プロローグ.
1.水資源とは?
2.水資源の危機とは?
1)世界の水消費量の急増 ・・・自然の摂理を超えた水の過剰消費
2)水資源(淡水)の汚染 ・・・河川・湖そして地下水の汚染
3)水資源(淡水)の減少 ・・・淡水の保水機能の低下
4)このままだと、今後どうなる?
①食糧問題に直結している
②産業全般に影響している
③水ストレス→国際的水資源の争奪
3.水資源危機の原因は?
1)豊かな生活(利便性・快適性)⇒市場拡大第一
2)市場第一の国際資本(グローバル企業)の戦略
4.どうする? (可能性の基盤は?)
1)市場原理に可能性はあるのか?
・・・市場に社会を統合する力は無い ⇒市場縮小の状況が可能性の基盤
2)「水資源の危機」は、『脱市場』の契機となりうるか?
3)市場至上主義の国際資本戦略にどのように対抗するか?
4)マスコミの世論支配からの脱却
5.(全体)図解
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では、今回はプロローグをアップします 😀
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■地球温暖化問題以来言われている、地球の水が枯渇する、とはどういうことなのだろうか?
太陽からのエネルギーと他の星との重力関係に規定されている地球の水(分)が無くなっていくとは、極端に言えば、地球の水がすべて水蒸気になるほど温度が上がるとか、地球が金星になるようなもので、気温が数℃上がるからといって、水が枯渇するということはありえない。
そして、地球の水量は約14億km3で先史以来変わらず有限であるが、これは地球の水循環システムのなかで存在しており、化石燃料のようにエントロピーになって使い果たすようなものではない(増えもしないが減りもしない)。
そして、人間が生活や農業・工業生産で主に利用する淡水も、海水から塩分を除かれて蒸発し陸地に雨(淡水)として降らす水循環システムの一部として存在している。
ただし、淡水量は、地球の水全体の2.5%にすぎず、このうち大部分は南極・北極地域などの氷として存在し、地下水を含めて河川や湖や沼にある淡水は0.8%である。
さらにこの0.8%のほとんどが地下水であるため、利用しやすい河川や湖にある量は、地球上の0.01%、およそ0.001億km3にすぎない。
地球上に存在する水を風呂桶一杯の水と仮定すると、人間が容易に利用できる水は、わずか一滴にすぎない。(第三回世界水フォーラム事務局監修『世界の水と日本』より)
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■地球温暖化が原因ではなく、『今、「水資源の危機」が世界的な問題になろうとしている』
淡水は34000km3の雨水によるほか再生できない。この雨水が「流出水」となって河川や地下水から海に帰っていく。だから水循環システムのなかで利用できる淡水とは、全体の0.0024%の水なのである。
あと利用するとすれば、歴史のなかで雨が地表に注ぎ地面に滲みこんで地下水として蓄えられている水である。
しかしこの地下水は、多くは帯水層の地下貯水池にあり閉じた系として存在しているため、井戸として汲み上げれば、補給を行わない限り渇水する水なのである。
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■水資源は「地域性」・「偏在性」を突き抜けて、世界に影響を与えるようになっている
「水資源の危機」の問題は、利用する河川や湖そして地下水として保水する貯水量(水資源)の問題で、それは本来、地球的・世界的な問題ではなく、水の循環システムのなかでの「地域的」・「偏在的」・「季節的」な問題である。
しかし、戦後~現在のように、エネルギー・食糧・工業品などを各国が分業をおこなうような市場のグローバル化にともない海外に依存を強める中では、水資源も地域的・偏在的な問題だけではなく、世界に影響を与えるようになっている。
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■自然の摂理を超えた水使用量と水汚染だけでなく、水を営利目的の資源として確保しようとする多国籍企業も登場しだしている
そして、その水資源が、国際市場の拡大に伴う工業生産~近代農業の拡大により、環境破壊や急激な都市化によって汚染されるとともに、自然の摂理を超えた水を消費して減少し続けている。
現在においても、世界人口の2割に当たる12億人が不衛生な水しか飲めない生活を強いられているとされるが、最近の国連の報告書によれば、「2025年までに世界人口の半分に当たる35億人以上が水不足に直面する」おそれがあるという。
そしてそれだけではなく、水資源の危機を見越した国際金融資本をバックにした多国籍企業が、国際機関(世界銀行、IMF、WTO)と共謀し、世界中の水を営利目的に利用できる「水」事業の民営化(私企業化)の体制作りを進めようとしている。
その布石として、2000年以降「世界水フォーラム」などを国際企画し、マスコミを通じて水資源の危機を必要以上に煽り、水事業民営化の必要をプロパガンダしている。
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■日本も水資源問題を抱えている
潤沢な清水をもつ地理的要因とその自然と深く同化してきた日本人は、河川・湖や海と触れる関わりや汚染されていること、また最近では水道水は身体に悪いとかミネラルウオーターは安全で健康と美容に良いといったことには関心が向いても、水を資源そして市場の商品として見るということの意識は薄い。
しかし、水が潤沢だと思い込んでいる日本も水資源問題を抱えている。
世界の水をめぐる状況が深刻化しているなかで、日本は食糧の6割を輸入しており、それは海外から穀物やそれを食べる牛や鶏などの食肉を生産するための水を、間接水の形で大量に輸入している事になる。
今後、世界の水状況がさらに厳しくなっていけば、そのことが世界から非難を浴びることにもなりかねない。
また、水を営利目的の資源として確保しようとする多国籍企業も登場し、日本でも2003年に地方自治法と水道法が改正されて私企業の参入の道が開かれたので、多国籍企業も参入の名乗りを上げている。
水資源が豊かだと思い込んでいる日本も他人事では済まなくなる恐れが高くなっているのだ。
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では、次回から本編に入っていきます。
応援よろしくお願いします :wink: by あさおか
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コメント2件
ホイホイ | 2008.12.13 21:19
外国でも水がそんな風に管理されているとは驚きでした!!
きちんと役割として認められているだけでなく、その役割を担った人に対する感謝の念が感じられますよね。
chang | 2008.12.11 20:49
人間の生み出した技術は素晴らしいのと同時に、自然の則を越えずに(循環システムを崩さずに)それを利用して行くには、使う側の協働性、共同体性、課題の共有が、とても大切なのですね。とすれば、それを市場原理のビジネスに委ねるようなことは、危険極まりないということになりますね。