【「オキシトシン」でコミュニケーション障害改善】科学を身近に☆NewStream
旬の話題から自然の摂理が学べる!科学を身近に☆NewStreamです。
今週の科学ニュースを紹介します。
脳内ホルモンとして今まで良く聞くのが、アドレナリン、ドーパミン、エンドルフィンでした。最近、注目されるのが、オキシトシンです。
オキシトシンは「幸福ホルモン」とか「愛情ホルモン」とか言われ、精神的安定を得る上で非常に重要な物質だと言われています。
今回は、そのオキシトシンを直接人体に使ったら、良い結果が出た、という日本での研究成果です。
記事はガラパイアさんから。画像もガラパイアさんからお借りしました。
自閉症スペクトラム障害には、重度の知的障害を伴った人から、高い知的機能を持ちながら対人関係がうまく取れない人(アスペルガー症候群)までが含まれる。
東京大学大学院の山末英典准教授や渡部喬光特任助教(当時)などのチームは、自閉症スペクトラム障害の成年男性40人を対象とした、二重盲検による臨床試験を東京大学医学部附属病院で行った。二重盲検は、“思い込み”などによる「偽薬(プラセボ)効果」や観察者の先入観をなくすために、臨床試験を行う医師にも患者にも偽薬か実薬かを知らせないで行う厳密な試験方法だ。
患者にはオキシトシンをスプレーで1回、血液中への浸透が早い鼻から投与し、人が話す様子を撮影したビデオ映像を見てもらった。映像の人は笑顔で嫌な言葉を話し、嫌な表情で好意的な言葉を話すなど、表情と言葉をちぐはぐにしたが、心理テストの結果、オキシトシンを投与した患者は、言葉の内容よりも、表情や声色を活用して相手の友好性を判断する回数が増えて、対人コミュニケーションの障害が有意に改善された。これまで低下していた脳の内側前頭前野の活動も回復したという。
オキシトシンは脳下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種で、子宮の平滑筋収縮による分娩促進や乳腺の筋線維収縮による乳汁の分泌促進などの作用が知られる。このホルモンは分娩後の母性行動や雌雄ペアの安定性、良好な子育てにも関係することが動物実験で確かめられ、近年はヒトでも他者への信頼性や愛情の形成などに関与していることが報告されている。
また最近では、オキシトシンの血中濃度が自閉症の患者や虐待を経験した母親などで低いことが報告され、オキシトシンの投与による自閉症などの症状改善や治療薬の開発などが期待されている。
やはり、オキシトシンは人間の安定的精神状況に大きな影響があるようです。しかし、オキシトシンを直接投与しなければならない状況は悲しいものがあります。
本来は、成長する過程で、たっぷり愛情を注がれ、オキシトシンをしっかり分泌する人生が必要なんですね。おかあさん、おとうさん、赤ちゃんにしっかりオキシトシンを分泌させてあげましょう。
※参考
スキンシップの秘密!!「オキシトシン」が愛情を深め記憶力を増すとの調査結果
人を育むことの幸福ーオキシトシンと人材育成
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