2022-10-18

磁力の発見の歴史(近代)⑨~ロバート・フックの構想した「世界の体系」を解き明かしたアイザック・ニュートン

〇ロバート・フックの重力と磁力の測定

「フックの法則:ばねの力はその伸びに比例している」は、単にばねについての一つの経験的法則を発見しただけのものではない。力が数学的関数によって表されるという思想のケプラーに次ぐ表明であり、その具体例のはじめての発見であった。フックが「実験哲学」を語りながらもベーコンを超えているのはまさにこの点で、力の強さを定量的に測定し、数学的な法則に捉えることを目指したことにある。

 

フックの重力と磁力の研究もこの方向に進められた。

 

フックの本来の狙いは地球の重力が本当に磁気的な起源のものなのか否かを探ることにあった。そして、その判別条件として重力の距離変化の測定が位置付けられていた。

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重力については、単に「距離と共に減少する」というような定性的な表現だけでなく、1680年1月6日のニュートンへの手紙では「私の仮定では、引力はつねに中心から距離の二乗に反比例しているというものであります。」と明確に定量的に特定している。しかし、ここまで方向を的確に指し示しながらそこから先に進むことができず、その遂行はニュートンに委ねられている。

 

フックが構想した「世界の体系」を込み入った円錐曲線の諸定理とデリゲートな極限操作を駆使して緻密で壮大な数学的体系に仕上げたのは、フックより7つ年下のアイザック・ニュートン(1643-1727)となる。

 

〇アイザック・ニュートン(1643-1727)

ニュートンは、距離の二乗に反比例し双方の質量に比例する「万有引力」がすべての物体間に働くことを示し、「フックが構想した「世界の体系」の秩序を解き明かした。この数学的関数で表される重力の導入が、17世紀素朴機械論の制約を打ち破り、数理科学としっての近代物理学を進水させる出発点となった。

 

【参考】山本義隆著 「磁力と重力の発見」~3.近代の始まり~

List    投稿者 kurahasi | 2022-10-18 | Posted in B.科学史No Comments » 

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