2012-08-17

「遺伝子組換え赤ちゃん」の衝撃 ⇒「生きとし生けるものは適応態の塗り重ね」に反する!

 こんなニュースがありました。
「遺伝子組換え技術によって、不妊治療が行われ、3人の遺伝子を持つ赤ちゃんが生まれた!」
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画像は 明日もママ頑張るよ さんからお借りしました。
いったい何が起こったのでしょうか?

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◆◆◆科学者の暴走?
るいネット科学者の暴走 「ついに遺伝子組み換え赤ちゃんが生まれてしまいました!」 より

 世界で初めて遺伝子組み換え人間が創造されたとの発表が昨夜行われました。
 アメリカで数多くの実験を重ねた結果、30人の健康的な遺伝子組み換え赤ちゃんが生まれたことに対し、倫理上の激しい議論が巻き起こりました。30人の赤ちゃんのうち、2人を検査したところ、3人の親の遺伝子が含まれていたことが分りました。また、ニュージャージー州セントバーナバスにあるInstitute for Reproductive Medicine and Science (再生医療・科学インスティチュート)での実験プログラムにより、過去3年間に15人の赤ちゃんが誕生しています。これらの赤ちゃんは、不妊症に悩む女性から生まれてきました。他の女性ドナーの遺伝子を受胎する前に卵子に注入することで妊娠することができました。
2歳の幼児の遺伝子パターンを検査したところ、2人の女性と1人の男性のDNAが受け継がれていました。これらの子供たちには、余分な遺伝子が受け継がれ、それが子供たちの生殖細胞系列に組み込まれたということは、将来、子供たちが親になったときに、彼等の子供たちにそれらが受け継がれるということになります。
~中略~
 コヘン教授と彼の研究チームの調査結果では、不妊女性は、卵子の細胞のほんの一部(ミトコンドリア)が正常でないために不妊となってしまっているとのことです。研究チームは、他の女性ドナーから卵子を取り出し、細い注射針で卵子内部に存在する正常なミトコンドリアを吸い上げ、不妊治療を行っている女性の卵子に注入したのです。ミトコンドリアには遺伝子が含まれるため、この治療法により生まれた赤ちゃんは、両方の女性のDNAを受け継ぐことになります。このような遺伝子は、母系の生殖細胞系列で受け継がれていきます。
~後略~

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画像は 岡山県HP さんからお借りしました。
家畜の卵子分割の画像です。

 簡単に言うと、ミトコンドリアに異常があり、不妊だった女性の卵子に、健康な他の女性のミトコンドリア(遺伝子含む)を挿入し、受精卵としたということのようですね。
 日本人の感覚からすると、何か異常です。違和感大ありです。いったい、それはどこからきているのでしょう?
◆◆◆違和感の出所
 一つには、「自分のこどもが欲しい」という個人の欲望(?)のために、こどもの将来に何が起こるか解らない未知の技術を使用すること。
 そして、その「何が起こるか解らないこと」は、こどもの世代で起こるとは限らず、孫の世代か、ひ孫の世代かもしれないということ。つまり、年月が経つにつれ、拡散してしまう可能性が大きいこと。
 その「何が起こるか解らないこと」と私たちに思わせるものの正体は何か?
 少し、長いですが実現論の第一部「前史」イ.可能性への収束=統合から引用します。
 より

 生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している。例えば本能も、その様な外圧適応態として形成され、積み重ねられてきたものである。また全ての存在は、本能をはじめ無数の構成要素を持っているが、それら全ては外部世界に適応しようとして先端可能性へと収束する、その可能性への収束によって統合されている。また、外部世界が変化して適応できなくなってくると、新たな可能性(DNA塩基の組み換えの可能性)へと収束し、新たな可能性(例えば、新たな配列)の実現によって進化してゆく。従って、歴史的に形成されてきた存在は(=進化を重ねてきた存在は)、生物集団であれ人間集団であれ、全て始原実現体の上に次々と新実現体が積み重ねられた、進化積層体(or 塗り重ね構造体)である。つまり万物は、それ以前に実現された無数の実現体によって構成されており、それらを状況に応じたその時々の可能性への収束によって統合している、多面的な外圧適応態である。  
 もちろん人類も、単細胞の時代から今日まで外圧適応態として必要であった全てのDNA配列=諸機能or 諸本能は、今も現在形において(しかも最基底部から上部へと段階的に塗り重ねられて)その全てが作動しているのであって、単細胞や動物たちの摂理を人間とは無関係な摂理と見なす様な価値観は、人類の傲慢であり、かつ大きな誤りである。

 そう、全ての生物は塗り重ね構造体であり、今、私たちがあるのは、祖先たち、進化過程の生物たちが必死で適応してきた結果であり、その道のりが遺伝子に書き込まれているのです。
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画像はJT生命誌研究館 さんからお借りしました。
新しい進化系統図です。橋本律子さん画 美しいですね。

◆◆◆過去の塗り重ねを無視すること=人類の傲慢
 卵子のDNAは卵子で、精子のDNAは精子で、ある塗り重ねの上に整合しています。面々と続く塗り重ねを持って、適応してきた歴史が組み込まれています。こどもが誕生するというのは、その適応態同士の組み合わせで、さらなる適応をしようとするものです。
 今回のように、卵子に異なる親の遺伝子を組み込むということは、その塗り重ねられた遺伝子の一部を、違う祖先を持つ、違う塗り重ねに変えてしまうことになります。特に卵子は「安定」をその役目としており、本来は精子の役目である「変移」を卵子に持ち込むことは、危険極まりないとも感じます。(実現論第一部ロ 
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=2 )
 生命は、我々が把握しきれない、膨大な事象の統合体です。全体が複雑に影響し合い、
整合しています。ある部分を取り出して、同じ部分に当てはめたからと言って、問題無いと言えるような単純なものではありません。
 これらの行為を違和感無く推し進める背後には、どうも、欧米人(アングロサクソン?)の要素還元的な思考に原因の一部があるように思えます。その思想は近代科学を発展させてきたとも言えますが、それはたかだか2~300年の歴史でしかありません。その上、既に行き詰まっているのは皆さんもご存じの通りです。
それに対し、生物史で38億年、人類史でも500万年の適応結果が生命、遺伝子の塗り重ねなのです。その塗り重ねの一部を剥ぎ取り、継ぎ足して、良い結果が生まれると考える、=それこそ、人類の傲慢です。
 これが、「何が起こるか解らないこと」と思わせる違和感を説明する考え方だと思われます。
 良く言われる、遺伝子組換え作物に対する根本的違和感もこのことで説明出来るのでは無いでしょうか?例えば、モンサントなどアメリカ農業系メジャーが遺伝子組換え食物を使って世界の農業を支配しようとする、その思考にも繋がっているように思えます。求める性能になるからといって、平気で異なる種の遺伝子を挿入し、遺伝子組換え作物を作り出して、それを武器に世界を支配していく思考は、それこそ神をも恐れぬ所業です。
 やはり、人間という種の根幹部分を弄ってでも、ある一部の人の希望を叶えようとしてしまうことは、あってはならないことのように思えます。何より、そのこどもたち、その子孫たちのことが心配です。どのような影響が出てくるのか、まだ人類には言い当てられない領域だと思えるのです。
 DNAが単純な化学式の組み合わせで説明出来たからと言って、生物のDNAはバラバラに分解して把握できるような単なる記号では無いはずです。我々が見ているのは、塗り重ねの一番表層でしかないかも知れないのです。もっともっと深い層と思いも寄らない繋がりがあり、それをもって全体が統合されているかもしれないのです。

List    投稿者 hihi | 2012-08-17 | Posted in B01.科学はどこで道を誤ったのか?No Comments » 

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