2013-08-29
【地震と水】第5回 : 【水が引き起こすズルズル地震「スロースリップ」の解明が巨大地震の予知につながる!?】
「水」をキーワードに地震発生のメカニズムに迫るシリーズ、第5回目です。
第1回~第4回の記事は・・・
【地震と水】~第1回:(プロローグ)水が地震を引き起こす!?~
【地震と水】~第2回:水と地震の関係(基礎編1)・地球の中にも水がある!~
【地震と水】~第3回:地震波分析・マントルトモグラフィーから反射法地震探査へ
【地震と水】~第4回: 海洋プレートからの「脱水」が地震発生メカニズム解明の鍵!?
などを扱ってきました。
今回からは、事例も交えつつ水がどうやって地震を引き起こしているのか?という原理に突っ込んでいきます。第5回はスロースリップです。
図1(画像はこちらからお借りしました)
■スロースリップの発見
地震と聞くと、震度3、震度5の地震のように、私たちが揺れを感じられるものを思い浮かべるのではないでしょうか。一方スロースリップと呼ばれる地震は、普通の地震より揺れの周期がずいぶんと長く、私たちが揺れを感じることはありません。そうした長周期の地震は、国土地理院のGPS網のような衛星による方法を用いて、位置の変化を測ってはじめて発見されました。
それまで安定していると思われていた地球は、実は絶えず動き続け、揺れ続けている不安定な存在だったのです。
これまでもスロースリップの存在は指摘されてきましたが、なぜスロースリップが起きるのか?といった発生原因やメカニズムについては謎のままでした。また、近年発見されたスロースリップは、いずれも巨大地震の震源域に隣接しているという共通の特徴があります。このことから、第5回目の今回の記事では、巨大地震とスロースリップにはどんな関係があるのか?を探っていきます。