【地球のしくみ】12 生物の起源~海を膜内部で濃縮・高分子化することで、生物は誕生した~
前回は地球にしかない「水」の特性である「何でも溶かし込む力」に焦点をあて、そのメカニズムを解明しました。
今回はその「水」の中で誕生した「生物」について2回に渡って扱っていきたいと思います。
生物は「水」=「海」の中で誕生しました。
それでは、生物の誕生した「海」とは一体何なのでしょうか?
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◆ ◆ ◆ 様々な鉱物を溶かし込んだ「原始の海」
原始の海は現代の海とは大きく異なります。火山ガスに含まれる塩酸ガスや硫酸ガスが溶け込んだ「強酸性」の海でした。
この海の性質は岩石中にあったナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、リンといった鉱物を多く溶かし込みました。
やがて鉱物を溶かし込むことで、海は少しずつ中和していきます。
☆つまり生物が誕生した「海」とは、様々な鉱物を溶かし込んだ「原始の海」です。
ではその「原始の海」でどのように生物は生まれたのでしょうか?
◆ ◆ ◆ 生物の材料は、「原始の海」に高エネルギーが与えられることでつくられる
生物の材料は「有機物」です。ひとことで「有機物」といっても様々なものがあります。
アミノ酸とそれが高分子化してできるたんぱく質、脂質、糖といった物質です。これらは生物の体を形作るには欠かせない材料です。
これらはどのようにして作られたのでしょうか?
そのキーワードが「高エネルギー」です。
例えば東北大の実験では、アミノ酸や脂肪酸は、窒素ガスで満たした金属筒に水と炭素、鉄などを封入し、超高速でプラスチック製弾丸を衝突させて筒の内部を瞬間的に約6万気圧に上げると生成されることが確認されています。
これはさしずめ、海の表面に隕石が衝突したときと近い状況を再現した実験です。
さらにアミノ酸の一種であるグリシンに水を加えて、熱を加えると5個結合した高分子化しタンパク質なることが確認されています。
原始の海が誕生したのは43億ほど年前。太陽は今より25%も暗く・月との距離は現在の二分の一。大気温度300℃~400℃、地殻温度650℃、海温度150℃、大気気圧が10気圧。現在の海のイメージとは全く異なる驚愕天地の自然環境の中にありました。
熱湯の海には、暴風雨の雲の合間から絶え間なくイナズマが閃き落雷し、オゾン層がまだ存在しないため、強烈な紫外線が直射し、宇宙線が降り注ぎます。酸素大気がないので、隕石は途中で流れ星になって燃え尽きることなく、海に直撃します。~水の物性・特徴を探る。その8 水の水素結合の力による二重脂質膜球体の生成(生命の原型~
これからもわかるように、当時の地球環境は、現在よりもはるかに高エネルギー状態にありました。
☆つまり様々な鉱物の溶け込んだ「原始の海」に、雷放電、隕石の衝突、海底火山の噴火によって「高エネルギー」が加えられることで「生物の材料」である有機物が作られたのです。
ではそのような「生物の材料」が、どのようにして「生物」になっていったのでしょうか?
◆ ◆ ◆ 海から膜の中に場を移し、さらに材料を高分子化していった
生命を形作っている物質は、タンパク質ひとつとっても非常に高分子で複雑な結合を取っています。このようなタンパク質を「酵素」と呼びます。
またRNAやDNAの元となる核酸も、アミノ酸と糖によって作られる高分子物質です。
ではこれらの物質は、どのようにして創られたのでしょうか?
その鍵を握るのが、「膜」です。
では、「膜」とは一体何なのでしょうか?
◆「膜」とは、外部と内部の境界となり、生物を形作るもととなるもの
生物の大きな特徴は、外部世界と内部を「膜」で隔てているということが上げられます。
この「膜」で外界と境界を形成することで、生物というものが始めて成立するのです。
そしてこの「膜」とはいったい何なのでしょう?
「膜」の材料はリン脂質と呼ばれるものです。
「原始の海」に多く溶け込んでいたリン酸と、隕石の衝突によって生成された有機物の脂肪酸が結合して創られた物質です。
リン脂質の大きな特徴は、1つの分子が親水性と疎水性を併せ持つことにあります。親水性の頭部は水とイオン結合するため、水に溶け込もうとしますが、一方疎水性の尻尾は水とくっつかないため、水と向き合おうとはしません。
ではどうなるかというと尻尾同士が水と向き合わない形で、下図のような2重構造をとります。
そしてこのような形態をとろうとするため、リン脂質はどんどんと集合し、膜を形成していくのです。
さらにリン脂質の膜は、疎水性の尻尾が水に触れ合わない形になろうとするため、自然と球形の袋になります。その様子を示したのが以下の図です。
そしてこのようなリン脂質の袋は、原始の海の中に大量に生まれたと考えられます。
ではそのようにして大量に生まれたリン脂質の膜が、どのようにして生物になっていったのかを見てみましょう。
◆ リン脂質の膜に、タンパク質が突き刺さる事で、膜内部に有機物を取込む穴になった
大量に生まれた膜の中に、リン脂質の膜に蛋白質が突き刺さった形状の膜が登場します。
タンパク質は、高分子のためリン脂質の膜の厚みに比べて十分大きいため、このような物質が形成されと考えられます。
そして膜にタンパク質が突き刺さることで、膜には小さな「穴」が開きます。
これにより水、金属イオンといった大きさの小さい分子しか透過出来なかったリン脂質の膜を、アミノ酸や糖といった比較的大きな有機物が透過できるようになったのです。
そうやって外部から膜内部に有機物を取込む膜が形成されます。
◆ 膜の中で、有機物は高分子化していく
このような膜が形成され、外部から有機物を取込むと、膜内部では外部の海に比べて、圧倒的に有機物同士が出会える可能性はあがります。
そうやって膜の中で出会った有機物は、結合し更なる高分子となるのです。
そして一度高分子となったら、大きくなるので袋の中から出る事はできなくなります。また、外部から取込んだ有機物と結合し・・・と繰り返しどんどんと高分子で複雑な物質がつくられていったのだと考えられます。
そのイメージをまとめたのが以下の図です。
↑クリックで拡大します
そしてその中には、塩基と糖そしてリン酸が高分子化してできる核酸もありました。この核酸がさらに高分子化したものがRNAであり、それが2重構造をとったものがDNAです。
このように、海である程度高分子化されたアミノ酸(たんぱく質)や糖といった物質を、膜内部に取込み、さらに凝縮し高分子化し、酵素、核酸、DNA、RNAといったより複雑な物質が生まれ、生物になっていったのだといえます。
つまり、生物とは「海」を膜内部でさらに濃縮・高分子化することで、誕生したのだと考えられます。
膜タンパク、DNA、RNAについてもっと詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください ⇒ 生命の起源と進化に学ぶ-2-生命の誕生(リンク)
◆ ◆ ◆ まとめ
・生命誕生の舞台となった「原始の海」とは、水の高い溶解性で様々な鉱物が溶け込んだ海だった。
・様々な鉱物を溶かし込んだ「原始の海」に高エネルギーが加わることで、生物の材料である「有機物」が作られた。
・有機物から「膜」が生まれ、「膜の内部」で「海」をさらに濃縮し、生物は誕生した。
では次回は、そのように海の中で誕生した生物が、どのようにして陸上に進出して行ったのかを見ていきたいと思います。
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コメント2件
匿名 | 2013.10.01 16:41
突然のコメント失礼致します。
現在電磁波などを使った組織的な集団の犯罪が密かにしかも大規模に行われています。
この犯罪は平然と日常の中に溶け込んでいます。
私はその被害に遭っています。
被害を受けていない一般の方は、電磁波犯罪、集団ストーカーと聞いても何の事か分からないと思います。
この卑劣な犯罪の存在に早く気づいて下さい。
この犯罪の怖いところは、最初は犯罪に遭っていることすら分からず、また気づいてもそれがあたかも自分の錯覚や精神的におかしくなったのかとも思えてしまう所にあります。
私の他にも全国に、いや世界中に同じ被害に遭っている方が大勢います。
インターネットでこの犯罪について調べてみてください。
皆様も気付かずに被害を受けているかもしれません。
どなたかこの犯罪を解決して被害をなくして頂けないでしょうか、お願い致します。
被害者の方のコメントを一部引用させて頂きました。
加 治 | 2013.09.25 9:31
手作りの図は、温かみがあって良いですね。
・電磁波とは、電子が動いたときに起きる「エネルギーの波」である
ただ、下記の2点は修正した方が良いと思います。
○電子だけでなく、陽子が動いた時も電磁波が発生されることから考えて、「電荷」が動いた時と考えた方が良いと思います。
○また、「電荷」が「等速度」運動で動いている時は、電磁波は発生せず、「電荷」が「加速度」運動した時に発生します。よって「運動」→「加速度」運動した時の方が良いと思います。