2012-08-03
【電磁波は地震を引き起こすのか?】地球内部の加熱メカニズムとは3 ~電磁加熱(誘導加熱編)~
☆☆☆誘導加熱を追求する目的
現在、地震理論の最有力候補だと考えられる「熱移送説」。その中で“電磁波によって、地中内部の物質は加熱される可能性はあるのか?”について検証しています。
地球内部の加熱方法を考える上で、前回の「誘電加熱」のポイントをもう一度整理すると、
・誘電加熱では「分極現象の有無」と「誘電加熱できる物質は絶縁物質(誘電体)」であること。
・誘電加熱にはある程度高い周波数(数MHz~数GHz)が必要なこと。
・「誘電加熱」では、物質毎(あるいは分極の種類)に決まった固有の周波数に対応して、エネルギーを吸収し、限定的に加熱されること。
が上げられます。
したがって、地中内部で発生しているの電磁波が高周波(数MHz~数GHz)という条件付ですが、不導体の岩石は、誘電加熱で加熱される可能性があります。
ところが現在わかっている範囲では、地中内部の岩石やマグマは、導体である可能性が高いのです。
☆マグマは金属イオンが多く含むので、通電する可能性がある
地球の表面である地殻を構成する主要な元素は、O、Si、Al、Fe、Ca、Na、K、Mg、Ti(酸素、珪素、アルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、チタン)で、これだけでほぼ99%を占めると言われています。また、マントルは主に、O、Mg、Si、Feからなっていると考えられています。したがって、マグマを構成する元素もこれらの元素が主体であるといえます。
また、マグマはMg2+やFe2+,Fe3+などの金属イオンが大量多く含まれているので、地中内部にあるマグマは通電する可能性があります。
☆高圧力下では物質は全て金属化する
はじめから金属であるのものはともかくとして、半導体とかイオン結晶のような電気伝導のよくない物質が高圧下では原則として全て金属化するのである。(極限の科学 P125/伊達宗行)
地球内部は私達が想像を絶する程の高圧力下です。そこでは、あらゆる物質の結晶構造が変化し、「金属化する」というのが、物性物理の分野では一般的な認識です。
したがって、地球内部の大半の物質は金属化しており、導体である可能性が高いのです。
(※地球のどの部分までの圧力状態だと上記の現象が起こるのか?などは今後追求していきます)
そこで、今回は導体を対象にした「誘導加熱」の基礎理論を整理していきたいと思います。