【自然災害の予知シリーズ】-コラム- 電気が流れるって何?電気的にみた地球
好評いただいている自然災害の予知シリーズも、今回でもう4本目。動物達の予知の事例を見ていくと、どうやら地震と電流とは密接な関係があり、どうやら動物達もそれを感じ取っているということが、わかってきました。
そこで今回は「電気が流れるって何?電気的にみた地球」と題しまして、そもそも電気が流れるとはどういうことなのか?そしてこの地球上は、電気的にどのようなことが起こっているかを見ていきたいと思います。
それでは続きを読む前に、応援クリックよろしく!
◆◆◆電気が流れるって何?
◆電気の流れとは、自由電子のながれ
「電気が流れるのは、電圧が生じるからだ」良く聞くことばです。中学の時には、電圧と電流の公式も習いました。また「電流とは電子の流れだ」とも習いました。
ではこの電圧ってなに?そして電子って?
電気の流れに関係している電子は、電子の中でも「自由電子」と呼ばれる電子です。自由電子が多く存在する物質を「導体」といい、導体は電気を流すことの出来る物質です。
金属の中の自由電子
では、自由電子はどのような状態になると動き、そして電気が流れるのでしょうか?
◆自由電子を動かす電圧(=電位差)
その秘密が「電圧」です。電圧とは電子の密度の差です。電圧と言うとなんとなく圧力のようなものを想像してしまうので、「電位差」なんて言い方をする場合もあります。
電子の密度が多いところと、電子の密度が低いところがあるとします。その間を導体で結ぶとどうなるでしょうか?電子の密度が高いところ(=電位が高いところ)から、電子の密度が低いところ(=電位の低いところ)に自由電子が動き始めて、両方が平衡状態になろうとします。
これが電気が流れるメカニズムです。
では、どうすれば電位差は生じるのでしょうか?
◆電位差を生み出すイオン
電気を流すための電位差を生み出すアイテムとして、私たちが想像しやすいものは「電池」です。では、電池とはどのようにして電位差を生み出しているのでしょうか?
電池の秘密を握るのが「イオン」です。イオンとは何でしょうか?
それを理解するためには、原子の構造を理解する必要があります。原子は原子核の周りに電子が飛び回っています。原子核の周りを飛び回っている電子は、原子核に電気的な引力(原子核は+、電子は-で+と-が引き寄せ合っている)で引き寄せられつつ、回転しながら遠心力で外向きにも力がかかっています。
この遠心力と、電気的な引力が常につりあっているかと言うと、あるときポンと電子が外に飛び出すことがあるのです。例えば水溶液中に溶け出した金属原子は、そのような状況になっています。
硫酸に亜鉛が溶け出すと、亜鉛は電子を一つもともといた亜鉛金属内に取り残してきます。電子を1つ失った亜鉛原子は水溶液に溶け出し亜鉛イオンとなり、電子を失った分プラスに荷電します。これをイオン化といいます。残された亜鉛金属ないには電子が溜まります。
また同様に硫酸に銅を浸すと、銅は溶けませんが、逆に硫酸中に溶けている水素イオンが銅イオンから電子を奪い、普通の水素となり空気中に出て行きます。このときに銅金属は電子を水素に取られてしまうので、電子が減ってしまいます。
この二つを見てみると、亜鉛は電子密度が高く、銅は電子密度が低い物質となっています。ではこの二つを導体で繋ぐとどうなるでしょう?
もうわかりますね。自由電子は密度の高いほうから、低いほうに流れるので、亜鉛から銅へ自由電子が流れて、電気が流れるのです。
これが電池の仕組みです。上記の仕組みは、一番単純なボルタ電池の仕組みでした。乾電池はこの水溶液を持ち運びやすいように、ペースト状にしたものです。
◆◆◆地球は電気的に何がおきている?
◆地面の中には、電流が流れている?
ではこれらの電気の基本を押さえた上で、この地球を見てみるとどうでしょうか?地面ではその内部は、水も流れているし岩盤には金属も溶け込んでいます。つまり至る所で、金属が上記のようにイオン化しているのです。イオン化すれば電位差が生まれます。
そして地面は、建物などでアースを取ることなどからもわかるように「導体」です。
つまり地面の中には、電流が流れていると考えられます。
事実地面の中では「地電流」と呼ばれる電流が、非常に微弱ではあるのですが、絶えず流れ続けています。
柿岡で計られた地電流
◆電離層では、大気がイオン化している
もう一つ地球を見たときに、電気的に気になるのが「電離層」です。電離層では大気が宇宙から降り注ぐ太陽光線や、エックス線、宇宙線などの影響で電離しています。そしてその状態を「プラズマ」といいます。
プラズマとは個体・液体・気体に続く第4の物質で、イオンと電子が分かれて自由に動き回っている状態です。そして自由電子が数多く存在するので、電気を流すことのできる「導体」なのです。
プラズマボール
つまり電離層も電気を流すことの出来る導体ということが出来ます。
◆地球は巨大なコンデンサー
一方大気はどうでしょうか?大気中を電気は流れることは出来ません。イオン化した原子は存在しますが、電気を流すことは出来ません。つまり不導体です。
では、この導体と導体に不導体が挟まれた構造って見たことありませんか?
ある程度電気を知っている人ならすぐに気付く構造です。それは「コンデンサー」です。コンデンサーは導体と導体の間に不導体があり、導体の表面に電気を帯電(電気を貯めること)することの出来るものです。
つまり地球はそのコンデンサーとまったく同じ構造をしているのです。コンデンサーであるということは、電気をその表面に貯めることができ、プラス極、マイナス極になるということです。そしてその間の大気には地面と電離層で作り出された「電場」が生まれているのです。
地球コンデンサーのイメージ
これが大きく電気的に見た地球です。
◆◆◆まとめ
・電気は電子の密度が高いところ(電位が高いところ)から低いところに流れる。
・電位の高低差は、イオンにより生み出される。
・地球を電気的に見ると、地中はイオン濃度の差によって生み出された電位差で電流が流れている(=地電流)
・電離層は大気がプラズマ化しており、プラズマは電流を流すので導体といえる。
・この構造は、コンデンサーと同じ。地球は地面と電離層という導体で、大気という不導体をサンドイッチしたコンデンサー。
・地表と電離層が帯電することで、大気には電場が形成される。
次回もお楽しみに!
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2011/10/976.html/trackback
コメント3件
嶋 | 2012.09.02 18:22
もっと研究が進み、過去化石の地磁気反転や他の超常現象の解明される日がくることを望みます。(研究者、先生方の努力に頭が下がります。)
sztk | 2012.09.05 20:15
>藤 治さん
コメントありがとうございました。
地磁気の減少や移動から、地磁気の成因がはっきり分かることを期待しています。地磁気の変化は社会にも大きな影響を及ぼしそうですしね。
>嶋さん
コメントありがとうございました。
地磁気研究は、いまや大気圏や太陽の研究が進むことが必須のようです。バラバラになっている知識を統合できる理論が求められていると感じます。
藤 治 | 2012.09.01 19:31
>地磁気は数百年あまり減少続けている。
1831~2001年(うる覚え)の間に、地球のポールシフト(極移動)が進行し、約1100km程度移動しているようです。
しかも1970年頃から移動スピードが40km/年とそれまでの4倍のスピードで移動しています。
地磁気の減少はその影響かもしれませんね。