【地球のしくみ】3.火山噴火(爆発)のメカニズム~地殻岩石に含まれる二酸化ケイ素が多いほど、大規模な爆発を起こしやすい~
地球内部で何が起こっているかを探るべく、追求している本シリーズ。前回までは、火山のできやすい地盤と、地震の起こりやすい地盤は、その地盤の固さに関係するところまで明らかにしました。
写真は桜島の噴火の様子です(ぶーちゃん写真工房よりお借りししました)
ここまでくると神々しいですね
今回は、火山の噴火、爆発のメカニズムについて追及していきたいと思います。
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◇マグマが地上に噴出すのはなんで?
◆ ◆ ◆ マグマだまりのマグマに含まれる火山ガスが気化し、圧力が高まり外に噴出する。
火山噴火は、上の図のような仕組みで起こると考えられています。マグマだまりの位置はよくわかっていませんが、地下にこのようなマグマのたまっている場所があり、上部の岩盤がやわらかい場合、噴火口へ至る火道と呼ばれるマグマの通り道ができると考えられています。
ここのマグマは、地球の周りからの圧力と、火山ガスの膨張で地上よりも非常に高圧の状況になっています。
よって圧力の低い地上側に、火道を通って押し上げられます。
このようにマグマが地上に噴出する現象を「噴火」と呼ぶのです。そして噴出の仕方にも、ドロドロとただ流れ出るだけのものと、爆発を伴い一気に噴出するものとがあるのです。
◇火山の噴火には、爆発を伴うものと、そうでないものがあるのは何で?
◆ ◆ ◆ マグマの粘り気が強いと、火山ガスが逃げ場を失い膨張し爆発する
マグマは地表付近で一気に圧力が下がります(気圧と同じになります)。そうするとマグマ中に溶けることのできる火山ガス(水蒸気が主、二酸化炭素も若干含まれる)の量が一気に減少するのです。それは炭酸飲料の蓋を開けたときと同じ状態です。(蓋がされていて、圧力が高い状態だと、炭酸ガスが溶けているが、蓋を開けた瞬間、圧力が下がりブクブクと泡状に気化する)
そして粘り気が強いとガスが蓋をされた形となり、うまく外に逃げられないので、膨張し爆発を起こします。粘り気が少ないと、ガスがうまく逃げるので、爆発しないということです。
◇では、マグマの粘り気はどのように決まるのでしょう?
◆ ◆ ◆ マグマの粘り気には、その土地の岩石に含まれる金属で決まる
マグマの粘り気は、その土地の地層の中に含まれる金属で決まります。
>溶岩の粘性は、その温度や成分によって著しく異なる。温度が高いほど粘性が小さく、冷えると固化する。また成分的にはマグマ中のケイ酸成分(二酸化ケイ素)の量が多いほど粘性は大きくなる。日本を含む太平洋周辺の火山の溶岩は二酸化ケイ素成分の少ないものから順に、玄武岩→安山岩→デイサイト→流紋岩 であり、後になるほど粘性が高い。
ハワイの火山のような玄武岩質溶岩は粘性が低く流動性が高いので、溶岩流が火口から10km以上流れることも多い。昭和新山は粘性が大きく流動性に乏しいデイサイト質溶岩であり、地上に出た溶岩は流出することなくその場に盛り上がって溶岩ドームを形成した。ごつごつした外観の溶岩ドームを形成した雲仙普賢岳の噴火も、デイサイト質溶岩である。
(ウィキペディアより)
(東濃地科学研究センターより)
ここからわかるように、粘り気に大きく影響するのは二酸化ケイ素という物質です。多いと粘り気が高くなり、少ないと低くなります。
ハワイのキラウエア火山は極度に粘性が低いのは、玄武岩質で二酸化ケイ素が少ないためです。また日本では、有珠山(北海道)や雲仙普賢岳(大分)などは安山岩質で粘度が高いのです。
◇それでは火山の爆発は、この火山ガスによるものだけなのでしょうか?
◆ ◆ ◆ マグマの上部の水が熱せられると、危険な水蒸気爆発を起こす
地表付近で閉じ込められている海水や地下水が、マグマによって温められて膨張すると、水蒸気爆発を起こします。これは火山ガスによる爆発よりも規模が大きく危険な噴火となります。
また上記の火道に直接水が触れると、その水が一気に水蒸気となり膨張し、マグマとともに噴出するマグマ水蒸気爆発を起こします。この噴火様式は、最も激しい爆発を引き起こします。
(産総研地質調査総合センターより)
日本で起こった死亡者を出した火山爆発のうち、水蒸気爆発を示したのが以下の図です。
ここからわかるように日本の水蒸気爆発のうち多くは海水によって起こります。
よって伊豆大島や三宅島といった火山でできた島。また北海道の有珠山のように海の近くにある火山は、特に注意が必要です。
また特にこの中でも、北海道の有珠山や秋田県の鳥海山は、マグマ水蒸気爆発を起こしています。
では水蒸気爆発なのかマグマ水蒸気爆発なのかは、何で決まるのでしょうか?
◆ ◆ ◆ 地盤の融点が低いと、マグマ水蒸気爆発を起こしやすい
下の表に、水蒸気爆発を起こした火山の岩石の二酸化ケイ素の濃度を示しました。
これからわかるように、有珠山や鳥海山の岩石は二酸化ケイ素の割合が非常に高いです。先ほど上述したように酸化ケイ素の割合が多いと、岩石の粘性は上がるといいましたが、マグマの温度は低くなります。
有珠山の岩石は他の火山に比べてマグマになる温度が低いので、マグマ化しやすく、上部にある水とマグマが直接触れる可能性が高いため、マグマ水蒸気爆発を起こしやすいといえるのではないでしょうか。
つまり二酸化ケイ素の濃度が高くなればなるほど、より爆発の規模は大きくなっていくのです。
◆ ◆ ◆ まとめ
・火山の爆発には以下の3種類があり、①<②<③の順番でその規模は大きくなる。
①火山ガスの膨張による爆発
②水蒸気爆発
③マグマ水蒸気爆発
・水蒸気爆発、マグマ水蒸気爆発は海の近くの火山で、海水が原因となり起こりやすい。
・火山の岩石中に含まれる二酸化ケイ素の濃度が、高くなればなるほど、爆発の規模は大きくなっていく。
それでは次回はいよいよ、爆発の原因ともなるマグマは、どうやってできるのかに迫って行きたいと思います。
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matuhasi | 2014.10.21 9:45
火山て、すごいことがわかった