2012-09-15

【地球のしくみ】14~鉱物によって構造化された水(構造水)こそが、生命誕生に不可欠な環境条件だった!

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(写真はコチラからお借りしました!)

生命誕生には海が必要。その中でも、特に海に溶け込んだ「鉱物」こそが生命誕生に不可欠な要素だといえます。
原始から一貫して、生命は「鉱物が溶け込んだ海」で誕生し、育まれてきたのです。
では海に溶け込んだ鉱物は、生命誕生にどのように関わっているのでしょうか?
【地球のしくみ】13~原始から一貫して、生命は「海=鉱物が溶け込んだ水中」で誕生し、育まれてきた

前回の記事で提起した上記の疑問に、今回は答えていきます。

生物は様々な鉱物を溶かし込んだ「原始の海」において、高エネルギー下で無機物⇒有機物へと化学進化し、「膜」の中でさらに海を濃縮・高分子化していくことで、生命誕生に繋がった
(【地球のしくみ】12 生物の起源~海を膜内部で濃縮・高分子化することで、生物は誕生した~)

したがって、物質がどんどん結合⇒高分子化していくプロセスにおいて「鉱物」はどのような働きをしたのか?が解明すべき疑問となります。
この追求にあたり、『ミネラル濃縮液と生命誕生』(池田一貴 著)を参考させていただきました。(本文中の図表はこの本からの引用です)
実は、生命誕生時の「鉱物」の働きに着目し実験を行った科学者がいます。まずはそちらを紹介しましょう。

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◆ ◆ ◆ 生体分子の生成には、鉱物の存在が重要なカギを握っている
◆ 生命誕生に「大陸(=岩石=鉱物)」の効果を初めて考えた川田博士の実験
1992年、その実験を行ったのは、物理学者の川田薫博士です。川田博士は、従来の生命誕生にまつわる実験には、欠陥があると考えてきました。
それまでの実験の成果としては、アミノ酸など簡単な生体分子の合成に留まっており、またアミノ酸と核酸塩基などの生体分子を「同時に」合成するには至っていませんでした。川田博士は、その原因を、「水・大気・太陽という3つの系しか考えられておらず、大陸(=岩石=鉱物)という系を見落としてきたから」だとします。
そこで川田博士は、「水・大気・太陽・大陸の4つの系の相互作用」という視点で生命誕生の実験を行いました。
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このような装置を使って、「原始の海(=希薄ミネラル溶液)に大気成分が混ざり合う中で、エネルギー(=紫外線)を加えたらどうなるか?」を調べたのです。
その結果、以下の画期的な結果が得られました!
①高温・高圧・放電といった特殊条件がなくても、アミノ酸、核酸成分、脂質、糖類、アルコール類、炭化水素といった、様々な生体分子が「同時に」生成された。(下表)
②ミネラル溶液の素になる岩石(鉱物)の種類を変えると、生成される物質の種類も変わった。
例えば、リン酸塩の多く含まれる玄武岩質の岩石を使うと、リン酸化合物であるATPやADPなどができやすい。
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「鉱物」という要素を考えてこなかった従来の実験結果と比べると、生体分子の生成に「鉱物」が如何に大きな影響を与えているかが分かります。
鉱物に含まれるリン酸などの物質が、生体分子の「材料」として直接使われるという影響もありますが、それ以上に、鉱物の働きによって生体分子が「容易に生成されるようになる」という効果が特に大きいと考えられます。
では、一体どのようにして鉱物は生体分子の生成に関わっているのでしょうか?
ここで、水中における鉱物の特性について、触れておきます。
◆ 鉱物は、水中に溶けても「鉱物としての構造を持っている」
通常、水に溶けている「ミネラル」というと、Ca(カルシウム)やNa(ナトリウム)などの原子がバラバラに存在しているように想像されます。
しかし川田博士は、鉱物は水中でも鉱物としての最小単位の構造を保ったまま存在していると考え、これを「鉱物の超微結晶」と表現しています。「鉱物の最小単位の構造」とは、SiO4四面体の基本構造のことです(【地球のしくみ】7 ~太陽系の中の岩石星である地球、そのカギを握るケイ素の秘密に迫る!!~もご参考に)。
確かに、陸上では結晶として存在している鉱物が、水中に溶けていくと一つ一つの原子に完全にバラバラになるとは考え難いです。(こういった考えから、当記事では、水中に溶けた鉱物もあえて「ミネラル」と呼ばず、「鉱物」と表現しています。)
川田博士は、そのような鉱物の構造を、電子顕微鏡で捉えました。それが、次の写真です。
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電子顕微鏡による観察によると、鉱物は以下のような3段階の階層構造になっているようです。
①鉱物の超微結晶が250個程度集まって、直径20Åの球状粒子となり水に分散(一次粒子)。※1Å(オングストローム)=0.1nm(ナノメートル)
②一次粒子は合体して、100~300Åの二次粒子を形成。(写真①右上の粒子)
③高濃度になると、二次粒子がさらに合体して1000Åの三次粒子になり、それが2~3個つながる。(写真②のイモムシ形の塊)
鉱物は、水中においてもその結晶構造を保ったまま、しかも段階的に大きな塊を築いて存在しているというのです。
ちなみに、このような3段階の階層構造は、「水」にも見られる構造です。しかも驚くべきことに、一次・二次・三次粒子の大きさが、鉱物と水とでほぼ同じ大きさなのです!
これは偶然というよりも、むしろ「鉱物と水の相互作用」という視点で捉える必要があります。両者は海において、相互不可分とでも言えるほど、密接な関係を築いているはずです。
「鉱物」と「水」はどのように相互作用し、生命誕生の舞台を造ったのでしょうか?

◆ ◆ ◆ 鉱物と水の相互作用:鉱物が水を「構造化」し、生体分子の生成反応を促進した
◆ 鉱物は、水の構造を形作る
先の疑問を解明する上で、改めて「水の特性」について押さえておく必要があります。
【地球のしくみ】11 水は水素結合によって様々なものを溶かす~生命誕生のカギを握る水の特性~の結論を要約すると、
水は【他の物質と結合しやすい構造】+【隙間だらけの構造】+【流動的に変化する構造】という3つの特徴によって、【様々な物質を包み込み、結合する=溶かし込む】
このような水の特性と、
【水中でも鉱物としての構造を保っている】という鉱物の特性とを併せると、次のような仮説が考えられます。
「水は、周囲の鉱物が持つ構造に沿って変化して(=相互作用して)、構造化される。」
言い換えれば、「鉱物は、水の構造を形作る」ということです。
そう考えれば、先ほどの「鉱物と水の階層構造の大きさが同じ」という偶然のような結果は、「鉱物が水を構造化する」ことによって起こった必然だったのです。
加えて、川田博士の実験結果
①「鉱物の働きによって生体分子が容易に生成される」
②「鉱物の種類によって、生成される生体分子の種類が異なる」
を考慮すると、「鉱物→水の構造に応じて特定の化学反応が促進され、特定の生体分子が生成される」という仮説が成り立ちます。
まとめると、「鉱物は構造を持つ→水と相互作用し、水の構造を形作る→水の構造に応じて包み込まれやすい物質が存在→その物質の化学反応が促進される→生体分子が合成される」というプロセスで、生命は作られていったのではないでしょうか?
◆ 鉱物の構造→水の構造化→生体分子の構造化
このプロセスにおけるキーワードは、「構造化」です。
海水は、鉱物との相互作用によって構造化されており、このように構造化された水のことを「構造水」といいます(反対に、構造化していない水を「自由水」といいます)。
次に構造水と生体分子の関係ですが、生物の体内では、細胞を始め細胞内のDNAや核などほぼ全ての生命器官は、この構造水の中で働いています。構造水の中になければ、DNA等の生体分子も立体構造を維持できません。また生体内の構造水は、鉱物だけでなく、タンパク質などの生体分子との相互作用によっても構造化されています。
したがって、
・構造を持つ鉱物があるから→水が構造化され、
・構造水の中で生成されるから→生体分子は立体構造を持てる(構造化される)
という関係になっているのです。
生体分子生成の流れを図にすると、以下のようなイメージです。
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※この図は当ブログで作成しました。

◆ ◆ ◆【結論】:「構造水」こそ、生命誕生・生命活動に不可欠な環境条件
以上の追求結果を、【地球のしくみ】12 生物の起源~海を膜内部で濃縮・高分子化することで、生物は誕生した~の結論と併せると、生命誕生のプロセスは以下の流れになります。
①生命誕生の舞台となった「原始の海」とは、水の高い溶解性で「大気」成分や様々な「鉱物」が溶け込んだ海だった。
②溶け込んだ鉱物によって水が構造化された。
③そこにエネルギーが加わり、構造水の隙間に入りやすい物質の化学反応が促進され、簡単な有機物(アミノ酸・脂肪など)が生成された。
④有機物から「膜」が生まれ、「膜の内部」でさらに海を濃縮(高濃度化)し、鉱物→水粒子の構造が大きくなる
大きな構造をもつ水の中で③と同様に化学反応が促進された結果、高分子化合物(タンパク質など)が生成され、生命は誕生した。
生命の素は、「鉱物」「水」「大気」「エネルギー」に加え、これらの相互作用によって生まれた「有機物」「膜」といった、4つ~6つの要素だといえるでしょう。
その中でも、「鉱物」と「水」の相互作用によってできた「構造水」が、生命誕生から生命活動に至るまで、不可欠な環境条件となっていることが分かりました。
これは、生命体という統合体=構造体を最基底で支えているのは、鉱物(とそれによって構造化された構造水)である、ともいえるかもしれません。
今回は、生物と「海」との関係について追求しましたが、生物にとっては「大気」も非常に重要な環境要素です。例えば、生物が陸上で生きていけるのは、「大気」が有害な電磁波を防ぐバリアとして働いているからです。
次回からは、地球全体を覆い、生物を守るバリアとしても働く、「大気」について追求していきます。

  投稿者 kayama | 2012-09-15 | Posted in D.地球のメカニズム, D01.地球史No Comments » 

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