電磁波の生体への影響6 ~ 生命は電磁波を利用しながら進化してきた
このシリーズではこれまで電磁波のメカニズムを紹介してきましたが、今回から、いよいよ「人工電磁波が影響を与えた場から、人は何がどれほど影響を受けるのか?」のシリーズテーマの核心に入っていきます。
電磁波は私たち生命誕生のはるか以前から存在しており、我々生物は電磁波を含めた様々な情報をキャッチし、それらを記憶したり呼び戻すことで状況を判断し、避けたり利用したりしながら、変異や行動することで外圧に適応してきました。
しかし、科学技術の発展とともに人工の電磁波が急増し、外識機能、情報伝達機能(膜やホルモン物質、神経系)、統合機能(脳・神経系・免疫)など人体へ悪影響が出始め問題視されています。そこで、まずこれまでどのような影響が出ているのか、主に論文で報告されている症例を中心に紹介し現象事実を明らかにしていきます。
電磁波が生体への影響が論文で発表されたのは1966年。ソ連のアサノバ博士が「電力配電所で働く男性に、精力減退症状や神経・心臓に障害を持つ人が多い。」と公表。
その後、西側でも米国で1979年でワルトハイマーによって小児白血病が通常の3倍の発病率と論文発表がありました。
さらに、1980年代以降は電磁波が社会問題化される時代になり、電磁波の生体への影響が次々と論文などで発表されていきます。
スウェーデン、米国、カナダなどで疫学調査が盛んに行われ、主に白血病や癌などの免疫異常、生殖異常、神経系の異常が報告されています。
以下、症例別に年表にまとめてみました。
◆白血病・癌 |
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1984 | 米国 | レスター | 空港のレーダー照射を受けている周辺住民にはガン患者多数 |
1985 | 英国 | ミルハイム | アマチュア無線愛好家には白血病死亡者が多い |
1999 | カナダ | トロント大学 | 子供の白血病と電磁波 疫学調査:14歳までに白血病と診断されたトロント都市圏の201人の子供を対象に住宅内外の電磁波強度を測定し、健康な子供406人のデータと比較した。 電磁波被爆の大きい住宅に住む子供は、そうでない子供より白血病に罹る率が2~4.5倍高いとする疫学調査。とりわけ6歳未満の幼児の発病リスクが高く、生後2年間に住んだ家の電磁波強度がより強く関係していた。 |
2002 | スウェーデン | ハルデル | 「スウェーデンにおいて旧式のアナログ式ケータイを使用していたヒトは、そうでないヒトに比べて脳腫瘍ができる率が30%高かったことがわかった。旧式を10年以上使用した場合は80%高い危険率。ケータイ端末が接触する側の頭部に特に発症した」と。 |
米国 | ウィンスター | 人間のガン細胞に送電線や電気器具からでる60ヘルツ電磁波を当てると、 ガン細胞の増殖率を1600%もスピードアップさせ、ガンを悪化させることが 確認できた |
◆生殖異常 | |||
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カナダ | カナダ トロントスター新聞社で過去13ヶ月VDT※作業した妊婦7人中4人が1979年10月~12月に障害児を出産 ※VDTは画像表示装置、テレビ画面、パソコンモニター画面等 | ||
米国 | 米国 アトランタ市のマリエッタ防衛補給機関で過去1年間に妊娠したVDT作業女性15人中7人が流産、3人が障害児出産。各地でVDT作業女性の流産、障害児出産が相次いで報告される | ||
1983 | 米国 | フィリップス | 電磁波被爆した豚・ラットの三代目は奇形出産が2倍増 |
1983 | スウェーデン | ノードストローム | 高電圧変電所で働く男性の子供に先天性異常 |
1986 | 米国 | デクン・リー | 妊娠初期(3ヶ月)に電気毛布を使用した女性から生まれた子供に先天異常児が10倍にも激増している。 |
◆脳・神経・ホルモン異常 | |||
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1983 | 不明 | リマングローバー | 15ヘルツに変調した低周波磁界を照射すると、すい臓でのインシュリン生産が35%もダウンする。 |
1986 | 米・英・スウェーデン | ベッカー、ペリー、アスバーグ | 電磁波を浴びると脳の松果体からの神経ホルモン、セロトニン分泌が抑制され、セロトニン減少でウツ状態に陥り精神に異常をきたす。最悪の場合自殺に走る |
カナダ | デニス.ゴーブロウ | 電磁波は(脳の神経繊維)ニューロン内のカルシウム.イオンのチャンネルに影響を与えるかもしれない。(カナダ、) | |
米国 | ソーベル | 電磁波がアルツハイマー病のリスクを増大させている。 | |
1992 | 英国 | ウィルソン | 哺乳動物が微弱な電磁場に曝されるとメラトニン(免疫を司り、乳ガンを抑える機能を持つ重要なホルモン)の分泌障害が発生と報告 |
◆その他 | |||
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1988 | 米国 | バージ | 熱効果をもたらさない弱いマイクロ波照射でも、網膜に変化を与える。 |
ここまで様々な症例報告を紹介しましたが、電磁波がどのようにして生体に影響をおよぼすのか、その仕組みを解明していきます。
そこで、ここからは外識機能、情報伝達機能、統合機能など各機能と電磁波の関係を探ります。
外識機能に着目すると、私たち人類には五感だけでなく多様な外識機能を持っています。
例えば生体磁石など磁場をキャッチする機能や、皮膚には電磁波を捉える機能があるようです。
皮膚は可視光線以外の電磁波を「感じる」機能を備えているといえます。「気配」や「気」といった五感では説明できないものを捉える機能は、電磁波を感じることの出来る「皮膚」によって捉えられているのではないでしょうか。
・日焼けすると肌がひりひりと火傷を起こすように、皮膚が紫外線に反応することは知られている。不可視の光線を皮膚は識別している。
・人が色を識別できるのは、網膜にあるタンパク質「オプシン」の働きによる。どうやら、それが人の表皮にも存在している。
・皮膚のオプシンの遺伝子配列の一部が眼の網膜と一緒。光の明暗を感じるタンパク質である「ロドプシン」も表皮に存在する。
・皮膚は視覚とは違ったシステムで色を感じていると言える。皮膚が紫外線や赤外線を感じていながら、可視光を識別していないというほうがおかしい。
また、昼夜のリズムや月の満ち欠けなど日、月、年間の変化を把握する体内時計も月や太陽、宇宙からの電磁波を活用していると思われます。体内時計は生命維持に深く関わるメカニズムです。睡眠と覚醒の他にも血圧、体温、ホルモンの分泌などさまざまな生理現象に作用し、いわゆる生体リズムを調整しています。
さらに、細胞間で電磁波を利用して情報を交換し、細胞分裂や細胞の機能分化を統合している可能性もあります。
ドイツ生まれで英国で活躍した物理学者ハーバート・フレーリッヒ(1905-1991)は、1960年代後半、つぎのような仮説を提唱しました。
「細胞は、テラヘルツからミリの長さの波長帯で共鳴振動しており、その振動が生命活動に未知の重要な役割を果たしている」
細胞がふたつに分裂したり、細胞が皮膚や骨や心臓などに分化したりするうえで、“司令部”のような役目の存在はありません。
たとえば、人間は「おまえは皮膚になれ」とか「きみは骨になれ」といった命令をどこかから受けて細胞が皮膚や骨などの一部になっていくというようなからだのしくみをもっていません。細胞は、自分のまわりの細胞のたちの状況から、“空気を読んで”、皮膚になったり骨になったりしていくともいわれています。
細胞が分裂や分化をするからこそ、人には組織や器官ができて、人らしいかたちになるのです。こうした細胞の営みでは、細胞どうしの情報伝達がおこなわれていて、その情報伝達手段として、細胞どうしが微弱な電磁波を出しあっているのだとフレーリッヒは考えました。
このように微弱な電磁波を通じて細胞同士の情報を伝達し統合する機能が細胞内にありそうです。例えば、細胞膜やミトコンドリアなど細胞小器官では膜電位を用いて物質交換を行っています。膜電位が変化すると電磁波が生じ、それを情報として交信している可能性もあります。また、以下のように中心体がアンテナの機能を持ち、送受信の中核となっているとも考えられます。
中心体が統合機能の中核か
中心体が受信した電磁波の波長を変換し、微小管が導波管となって細胞液中の各小器官に伝えていると考えられます。その波束が収縮したものが膜電位であると考えれば、ペンローズ説が生物物理的に強化されます。中心体の細胞内運動と細胞分裂、アメーバの移動、イオンチャネルの開閉、脳波の生成と睡眠など、生命現象を広く説明できる説です。
全ての細胞に微小管は存在し、微小管を含めた中心体原基は細胞分裂を始め様々な統合機能を果たしていると考えられます。全ての細胞に電磁波を送受信可能なアンテナがあるならば光や音などの膨大な電磁波情報を数多くキャッチできるだけでなく、テレパシーなど他者との交信も可能となります。したがって、個体に限らず集団で情報を共有し、さらには意志を形成する共認機能の原器が中心体にあるのではないかと考えられます。
微小管は中空で弱伝導性を持ち、アンテナと同じ性質をもっている
このように、自然界の電磁波に適応しながら進化した生命にとって、例え微弱でも人工の電磁波が誤った情報を認識させたり、作用させるなど新たな脅威となることは容易に推測できます。
それぞれの機能に対して電磁波がどのように具体的な影響をおよぼしているか、
次回、いよいよ明らかにしていきます。
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