【地球のしくみ】9~太陽系で唯一!地球に海が存在するのは、なんで?~
みなさん、こんにちは!
前回シリーズ、“岩石星”であるとともに、“水の星”でもある地球にしか存在しえない「粘土」では、
>岩石は水の力により分解(水和)され粘土となり、そして粘土は水を含むことによりその特性を発揮し、水を失うことで元の岩石に戻っていく
>つまり粘土とは水が無ければ存在しえないのです。太陽系において唯一水が存在する星が地球です。
>粘土とは、地球にしか存在しえない物質なのです。
ということがわかりました。
とすれば、なぜ地球にだけ水が存在するのだろう?
地球の水って、どうやってできたんだろう?
なんで、地球には海があるの?
歴史を遡って、追求していきます!
宇宙の最初は、水素のみであったとされています。
そこから、どのように太陽や地球、そして、水(H2O)が誕生したのでしょうか?
(画像は、こちらからお借りしました)
◆ ◆ ◆ 太陽系は、どのように誕生したのか?
◆ 超新星爆発→原始太陽系星雲の誕生
2000億の恒星が集団となり直径約10万光年、円盤状に渦をまくようにゆっくりと回転している銀河の中心部から約2.8万光年離れた空間で小さな出来事が起こりました。およそ46億年前に太陽の数倍の質量をもった巨大な恒星が超新星爆発を引き起こし、星を構成する物質(酸素などの重い原子や金属なども)を周囲に撒き散らします。
爆発は高速の衝撃波(エネルギー)となって周辺の空間を伝播し、周囲にあった星間物質(大部分は水素、ヘリウムからなるガス、それより重い元素は小さなちり状の固体)の密度に小さな違いを生じさせました。星間物質の一部では、ガスとちりが吹き寄せられて密度が増加します。密度の増加した部分では、分子同士が近接し、同種の物質は電気的な力によって群をつくったり、一部はくっついたりと収縮を開始します。この収縮を開始した星間雲の一部が原始太陽系星雲となり、ゆっくりと回転を始めます。
ケプラーの超新星 (SN 1604) の超新星残骸。
※スピッツァー宇宙望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡およびチャンドラX線天文台による画像の合成画像。
◆ 原始太陽と微惑星の誕生
原始太陽系星雲はその中心に向かって加速度的にらせん状に収縮を速め、物質の大半は中心部に集まります。中心部はその巨大な重力により圧縮され、内部は高温・高圧の状態になります。そして、臨界点に達すると核融合が始まり明るく輝くようになり、原始太陽が誕生します。
周囲の原始太陽系星雲は回転を速め、星間物質は回転面に集まるようになり、円盤のような形になります。物質の空間密度がある値を超えると周囲の物質が重力によりまとまり、直径10kmほどの固まりとなります。これが微惑星です。
原始太陽系星雲:日本惑星協会
◆ ◆ ◆ 地球のどこでどのように大量の水→海が生まれたのか?
◆ 微惑星同士が衝突→成長し、地球が原子太陽系円盤ガス(=水素)を引きつける質量(=重力)を持つようになる
微惑星の衝突と合体の繰り返しが惑星成長過程です。初期の成長過程として、衝突合体して質量を増した微惑星が、残っている小さな微惑星を集めて「暴走的成長」で進行します。
結果的に、惑星成長初期では、(局所的には)暴走的成長を始めた一つの大きな天体と多数の小さな微惑星が存在する状態が達成されます。
原始地球も微惑星を取り込んで、成長を続けていきます。
太陽に近いところでは太陽風により軽いガスは吹き飛ばされ、固体の表面をもつ小さな惑星となり、遠いところではガスを主体とした巨大な惑星となりました。地球は太陽から1.5億kmと近い位置にあるので固体の惑星になりました。誕生直後の地球は微惑星を引きつけ、さらに成長を続けます。
原始地球に降り注ぐ微惑星
>微惑星の衝突・合体によって原始惑星が大きくなってくると、水素とヘリウムを主体とする原始太陽系円盤ガスを重力的に捕獲し始める。
原始惑星が月サイズ程度(~10^20kg)になると、惑星の重力エネルギーが円盤ガスの熱エネルギーよりも大きくなり、円盤ガスは大気として束縛されるようになる。
>水は水素と酸素からなる化合物であるので、この水素に富む大気に酸素が供給されれば、惑星上で水が生成する。
( http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=-2163より引用)
地球は成長し、原始太陽系円盤ガス=水素を引きつけることができる具体的質量を持つようになりました。
これで、地球に水素が存在することができるようになりました。
では、どこでどように酸素と結びつき、大量の水(H2O)ができるのでしょうか?
◆ 炭素や鉄、ケイ素etcに含まれていた酸素が、熱(=マグマオーシャン)によって還元する
微惑星のもっている巨大な運動エネルギーは衝突の瞬間に大爆発とともに熱に変わります。
そのため地球の表面は溶け、マグマ・オーシャンとなります。
地球の原材料となった微惑星には現在の地球に存在するすべての物質が含まれていました。鉄やニッケルのような重い物質は中心部に沈み、重力エネルギーの解放により高温の核を形成しました。一方、岩石のように軽い物質は表面に残りました。
ドロドロのマグマオーシャン
では、酸素は地球のどこにあったのでしょうか?
>水素は、ヘリウムとともに、宇宙の最初につくられ、どこにでもある元素ですが、酸素は、重い恒星内部の核融合により作られます。そして、重い星が終末を迎えて、白色矮星になったり、超新星爆発で吹き飛んでしまったときに、周囲の宇宙空間に放出されたものです。
>低温の宇宙空間で、そのような酸素原子があると、紫外線などのエネルギーを得て、酸素は水素や炭素と化合物を作り、水もあるでしょうが、ホルムアルデヒドや、メチルアルコールなどの単純な有機化合物もつくられます。酸素とともに、窒素や炭素も作られていて、特に炭素は量が多いので、酸素の結びつく対象になりやすいと考えられます。そうしてできた有機物は、星間物質と呼ばれるガスやチリの一部になります。
>酸素原子は反応性が高いので、その他にも、マグネシウムや珪素、鉄など、さまざまな元素と結びつき、酸化物を作ったことでしょう。(中略)
>例えば有機物を作っていたような酸素は、結びつきが弱く、およそ1000度以上の高温では分解して、二酸化炭素と水になってしまいます。したがって、マグマ・オーシャンの時代の初期地球では、豊富な有機物、あるいは複雑な酸素を含んだ化合物があったとしても、高温で分解され、二酸化炭素と水蒸気からなる大気が、厚く表面を覆っていただろうと考えられます。
(こちらから、引用)
酸素の供給源は、地表に含まれる酸化物である。例えばFeOによって酸素分圧(正確にはフガシティー)が決まる系では、H2O/H2~1(質量比)が達成される。
したがって、惑星上で十分な量の水が生成するために必要な条件は、
(1)十分な量の円盤ガスが獲得されることと
(2)地表に流動性の高いマグマオーシャンが形成される(地表面温度が岩石の融点である約1500Kを超える)ことである。
前者は十分な水素を、後者は十分な酸素を供給するために必要な条件である。
(こちらから、引用)
他の物質と結びつきやすい性質を持つ酸素が、酸化物(炭素や鉄やケイ素などと結びついた状態)として地球に存在し、それが高温の熱=マグマ・オーシャンによって分解し、酸素が還元して、重力によって引きつけられた大気中の水素と結びつき、水(H2O)ができたと考えられます。
しかし、原始地球は高温であったため、水は水蒸気の状態で存在しています。
それがどのように、液体の水=海になったのでしょうか?
◆ 40億年前、地表温度が下がって海(=液体の水)が誕生した時間とともに微惑星の衝突も減り地表温度も徐々に下がり出します。地表のマグマは固化し薄い岩石の皮膜を形成します。原始大気の表層では冷やされた雲が雨になります。しかし、雨はまだ熱い地表付近で熱せられ再び水蒸気に戻ります。地表の温度がさらに下がると、ついに原始大気中の水蒸気の大部分が雨に変わります。
地球史上で最大の豪雨だったことでしょう。こうして海が誕生しました。
原始の海
◆ ◆ ◆ 地球に液体の水が存在するのは、なんで?
◆ 液体の水が存在しうるのは、地球がハビタブルゾーンに存在しているから
地球は、水が液体で存在する唯一の太陽系の惑星と言われています。
地球だけで液体の水が存在するのは、なぜなのでしょうか?
太陽から地球までの距離が、地球が凍り付いてしまうほど遠くはなく、かつ、地球が暑くなり過ぎるほど近くないことが大きいのです。
例えば、太陽に近い水星、金星では、太陽熱のために表面温度が200 以上で、水はすべて水蒸気になっています。
一方、地球のすぐ外側の火星では表面温度が 50 といった低温のために水は完全に氷結しています。
(画像は、こちらからお借りしました。)
【太陽系惑星と表面温度】(こちらより、引用)
水星 金星 地球 火星 木星 土星 天王星 海王星
330 200 15 -50 -130 -150 -190 -200 (℃)
水が液体で存在できる範囲のことをハビタブルゾーン(「生命居住可能領域」と訳される)と言いますが、太陽系のハビタブルゾーンは、地球の軌道の少し内側(太陽寄り)から火星の軌道くらいまでの、ドーナツ状の円盤の範囲だと言われています。
(こちらから引用)
それでは、他の惑星には水はないのでしょうか?
あるとすれば、どのように存在しているのでしょうか?
木星・金星・火星を調べてみました。
◇ 巨大ガス惑星・木星 ~雨が降っても途中で蒸発する
木星は、鉄やニッケルからなる中心核、その外側に膨大な厚さと質量の主に水素・ヘリウムからなる外層と呼ばれる層の二層構造になっています。
木星はその起源において、気体状態であった太陽系空間内の水やアンモニアを微小天体として取り込んでいるので、大気に水=水蒸気を含んでいます。
大気は表面のおよそ数百キロメートルの範囲であり、上から「アンモニア」「水硫化アンモニウム」「水の雲」です。水の雲は基本的には地球の雲と同じなので、雨が降っている可能性もありますが、大気の下層ほど温度が高いので雨が降っている途中で蒸発してしまうと考えられています。表面温度の低い木星ですが、内部は高温だそうです。
◇ 岩石惑星・金星 ~太陽に近いので蒸発→紫外線によって分解された
誕生当時、金星にも地球と同じくらいの水は存在していましたが、太陽からの距離が近かったため海が形成されることはありませんでした。上空の水蒸気は太陽からの紫外線により水素と酸素に分解され、軽い水素は重力では引きとめられず宇宙空間に逃げていきました。現在の金星の表面には水はなく、二酸化炭素を主成分とする90気圧の濃密な大気による温室効果のためか温度は約470℃となっています。
地球と同じ岩石惑星でも、太陽からのわずかな距離の差が水の惑星と灼熱の惑星の分岐点となったわけです。
→木星・金星は、温度の高さから水は液体では存在しえません。
◇ 岩石惑星・火星 ~気圧が低いので蒸発→紫外線によって分解された
火星は半径が地球の約半分の小さな惑星です。表面での重力は、地球の4割、大気圧も地球のそれの1%以下しかありません。大気圧が低いと、液体の水は全て蒸発してしまいます。水蒸気は、惑星の大気上空で,太陽の紫外線を受け分子や原子に分解され、そのエネルギーで惑星の重力圏外に散逸してしまいます。
こうして、水の材料である水素がますます惑星から失われていきます。
同じ岩石惑星でも、水素を散逸させないためにはある程度の重力=質量が必要なのです。
◆ ◆ ◆ まとめ
・地球に水が誕生し得た条件
①軽い原子である水素を引きつけることができる質量をもてたこと
②高熱であるマグマ・オーシャンによって、酸素を還元することができたこと
しかし、これは氷の存在する他の岩石星やガス星でも同様です。
地球は、水が“液体”で存在できる唯一の惑星です。
・地球で液体の水が存在し得る条件
①水が液体で存在することができる温度帯(ハビタブルゾーン)に存在すること
②水素を散逸させない質量=重力があること
“水が液体で存在しえた”ということが、他の惑星とは違う進化を遂げた、大きな可能性なのです。
粘土のできる条件においても重要なのは、水の“水和”という性質であり、固体の氷ではなく、“液体の水”という点がポイントでした。
また、生物の誕生においても、液体の水は、欠かせません。
液体の水は、他の状態ではない能力を持っているのかも知れません。
次回は、今回少しだけ扱いましたが、巨大ガス惑星=木星型惑星の成り立ちについて調べます。
※ 参考
徒然なるままに 「太陽系と地球の誕生」
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