地球環境の主役 植物の世界を理解する⑧ ~三畳紀高温期→超大陸の乾燥化と、種子植物の繁栄~
銀杏(いちょう) 生きた化石といわれる。種子植物の中でも古くからある種。
前回、植物が陸上に進出し、シダ植物の森が現れたところまで扱いました。リンクその世界は森と言っても現在のものとは随分違っていました。今回は、どのようにして現在のような種子植物の世界が生まれ、広がってきたのか、背景を含め書きたいと思います。
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●乾燥に耐える「花粉」「種子」という仕組み。
種子植物とそれ以前のシダ植物との違いは、色々とありますが、一番の違いはその名の通り種子を作るところにあり、加えて、受精の仕組みがシダ植物とは全く違い、大きな生存上の武器となっています。
リンクより引用
コケやシダでは,受精の際に精子が卵まで泳いでいくため,受精には雨などの水のある環境を必要とする。それに対して種子植物では,受精のために個体間を長距離移動するのは花粉であり,花粉は風に運ばれたり昆虫に運ばれたりするので,移動に水を必要としない。
めしべの柱頭にたどりついた花粉は,柱頭中で花粉管をのばしながら,子房にある胚のう内の卵へとに近づいていく。花粉管内の精子は,乾燥した環境である外界にさらされることなく卵へと運ばれるわけで,これは陸上という環境に適応したやり方である。
受精卵は胚となり,これが新しい個体へと発生するのだが,胚をサポートするシステムを種子植物はつくりだした。種子である。しっかりと皮につつまれて栄養の蓄えもある種子は,乾燥に耐え,乾期や冬などの都合の悪い時期を休眠することにより,成長に適した時期に発芽できるようになった。<
つまるところ、花粉による受精という仕組も、種子をいう仕組も「乾燥に耐える」ためにあるということのようですね。
●(乾燥に耐える)花粉や種子という仕組みが生まれた、当時の地球はどんな状況だったのか。
登場して間もない頃(デボン紀~石炭紀)の種子植物の化石
これらを見比べると、三畳紀(2.5億年前)に始まる高温期から種子植物(裸子植物と被子植物)は種類数を急激に増やしていることが分ります。
被子植物の起源と初期進化 高橋正道著 第3章より引用
>三畳紀に入ると地球は再び高温期になり、南半球では超モンスーン地帯ができあがり、内陸部は非常に乾燥していた。現在はアマゾンやコンゴといった熱帯多雨林地域にも砂漠が広がっていた、、、、、、<引用ここまで。
ここから見ると乾燥地帯やあまり湿潤でない地域がかなり広かったことが伺えます。この外圧状況は、シダ植物(受精に水が絶対不可欠)には非常に不利な状況だといえます。そこで、「乾燥に耐える種子、花粉」という仕組みを備えた種子植物が、とって代わり優位になっていったということですね。
●高温化したら乾燥化するのか?湿潤になるのでは?
高温期→乾燥→種子植物と繋がった気がしたのですが、よく考えると、高温化すればむしろ「湿潤」になるはずではないか?高温のほうが大気は多くの水蒸気を含むことが出来るはず。実際、現在の氷河期(現在は氷河期の中休みの間氷期)になる過程は乾燥地帯や草原地帯が広がる過程でした(つまり、高温→湿潤)。高温→乾燥か高温→湿潤なのか、どちらが正解かよく考えたのですが、どちらも正解なのだろうと思います。
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種子植物が繁栄し始めた三畳紀には、巨大な大陸が1つあるだけでした。広い「内陸部」は海洋の影響を受けにくく、高温期になると、乾燥あるいは、湿潤とはいえない状況になりやすい。一方現在のように大陸が分かれた配置では、海洋の影響を受けやすく、高温になれば湿潤になる地域が多いという違いがあるのだろうと思われます。だから、当時は三畳期の高温期→湿潤でなくなる(乾燥化)→種子植物の繁栄となります。
○極地に大陸があると地球気温は下がる。
ついでに、そもそもなぜ寒冷期⇔温暖期の変化がおこるのか?実は種子植物が繁栄する三畳紀に先行する氷河期と、現在(≒氷河期)は共通する点があり、ともに南極上に大陸が存在する時代でした。これは偶然ではなく、極地に大陸があるとその上に氷床が形成されどんどん地球は寒冷化していきます。また、大陸がないと暖かい海流が極近くまで達するため氷床は形成されにくく地球は温暖になります。
●果実、花をつけることでさらに広く繁殖
このようにして、(南極上にあった)超大陸が極地から北上→三畳期の高温期→内陸部が非湿潤化、それに対応して種子植物が繁栄してきました。その後も種子植物は、①花をつけるようになり、花粉を風まかせでなく昆虫に遠くへ運んでもらうようになり、また、②果実をつけるようになり、それを食べた動物が種子を遠くへ運ぶようにと、新たしい武器を手に入れ、より広く繁殖していくことになります。
★今回は、種子植物が繁殖した背景、外圧状況をどんどん追求してしまいましたが(ちょっと脱線気味?)、どうだったでしょう。面白かったですか。次回は、最後に少しふれた、種子植物の中でも、裸子植物から被子植物への進化について扱う予定です。
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