2013-05-22
気候シリーズ:コラム~暗い太陽のパラドックスと秩序化システムを持つ地球(後編)
前回「かつて太陽が暗かった時代、理論的には地球はひとたび凍結したら二度とそこから抜け出せないという理論的仮説」と「全球凍結の時代と凍らない海があったが時代が繰り返されているという地質学的事実」の間には矛盾があり、これを「暗い太陽のパラドックス」と呼ぶということをお話しました。では、この矛盾を解決する案はあるでしょうか?この暗い太陽のパラドックスという難問にチャレンジしたのが古地磁気学者ジョー・カーシュビングでした。ではカーシュビングの仮説に最新の学説を重ねて「暗い太陽のパラドックス」の謎を解いてみましょう。
●地球の炭素循環の仕組み
ここで、改めて、地球の炭素循環についてみてみましょう。まず地下のマントル活動の影響によるCO2が地殻プレートがぶつかる大陸周辺の火山帯及び海洋火山帯(中央海嶺)から放出されています。これがCO2の発生源です。地球誕生当初は火山活動も盛んでしたからCO2はたくさん、地球表面に放出されました。現在これを大気から取り除いているのが陸地の光合成植物ですが、それ以外にCO2を固定化する役割を果たした生物として注目すべきは、貝や珊瑚そしてプランクトンのうち石灰質の殻をつくる種類の生物たち、そして海で初期光合成をはじめた藻等類です。そして彼ら石灰質(CaCO3)を作り出す貝や珊瑚、プランクトンの死骸が石炭のもとになり、藻類の死骸が石油になったといわれています。逆に言えば、CO2が多かった時代、それをもとに光合成や石灰質の殻をつくる動植物が海洋で繁殖し、地球大気の組成は変わっていったのです。
なお大気中のCO2が海洋に吸収されるプロセスを仲立ちしているのは、雨と岩石です。大気のCO2を含んだ雨が岩石と化学反応を起こすことで、岩石中のカルシウムCaやマグネシウムMqと結合して、海に運び込まれれるのです。これを化学風化といいます。
この炭素循環に滞りがあると、温暖化したり寒冷化したりすることになります。
しかし、地球の大気組成も歴史上、全く同じだったわけではありません。ですから、かつての大気組成と炭素循環を組み合わせて、「暗い太陽のパダドックス」を解いていく必要があります。