地球環境の主役 植物の世界を理解する⑲~森への同化意識を継続させたアジア農耕部族~
これまで2回に渡って見てきたように、人類における農耕段階は
気候風土の違いによって、大きく2つの農耕生産様式に分けられます。
● 西アジア:乾燥地帯→麦作(+牧畜)
● 東アジア:モンスーン地帯→稲作(+漁労)
そして、この二つの農耕様式は人と森林との関係に大きな違いを生み出します。
今回はこの二つの農耕生産の違いが、どのように人と森の関わりに違いを
もたらしたのかをまとめてみました
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● 二つの農耕様式
農耕の初期段階をさぐっていくと、寒冷期に草の実への生産にシフトした人類は寒冷期を乗り切り、その後の寒冷の緩みから人口が拡大→人口増加どうする?という生産力拡大=集団課題に直面します。その生産力拡大における麦作・稲作、各々二つの農耕様式の違いを、あらためて比較・整理してみました
農耕とひとことに言っても、その農耕で作られる作物(≒気候風土・農耕様式)によって、自然や森に対する意識と対応方針が大きく異なっている事が分かります。
● 森を守る稲作・漁労民
稲作のためには水→川が必要です。その川を守るために森を守る必要があります。
森は川へ水を供給すると同時に、養分を川や海にも供給します。そして、その養分は土地を肥やし、(貴重な蛋白源である)魚を増やし、生態系を豊かにします。川は稲作にとっても漁労にとっても大切なものであり、その大切な川を生み出す森とは、まさに守るべき対象であり仲間だったのです。また、農地拡大の必要がある場合でも、稲作は湿地方向に拡大する為に森を侵食する必要がありませんでした。
● 森を切り開く麦作・牧畜民
稲作のそれに対して麦作は基本的に内陸で行われます。(そもそも、稲に対して温度と水が不充分な状態で成長する草なので、実りが少ない上に)さらに土地収奪型(水の少ない季候風土)の為、常に畑地を拡大しなければ生産力を維持できません。
麦作では稲作と異なり、同じ土地で続けて収穫(連作)することはできないのです。したがって生産力拡大の為には畑地を拡大し続ける必要があり、そしてその畑地拡大が、森を切り開く事になります。麦作・牧畜の民にとって森は畑地を広げる為には逆に不要なものであったのです。
中世ヨーロッパでは限られた畑地を活かす為、三圃制※をとっていましたが、それでも3年に一度しか同じ畑で麦は収穫はできませんでした。
※三圃制 1年目に麦 2年目にクローバー(根粒菌) 3年目に牧畜(家畜肥料)そして4年目に麦と、ローテーションを組み人為的に土地に養分を2年間補給することで同じ畑で麦作を行う方法。したがって収穫量を維持する為には3倍の土地が必要になります。
● 農耕様式による森(自然循環)に対する意識の違い
その違いは大きく
■ 稲作・漁猟は自然の循環系を維持する農耕様式
■ 麦作・牧畜は自然の循環系に大きく依存しない(出来ない)生産重視の農耕様式
といえるのではないかと思います
実際、畑作牧畜の民である漢民族(黄河流域の農耕部族)は、4000年間、木を植えたことがない。アングロサクソンは、300年間で自分たちが住んでいた地域の森を8割がた使い果たしてしまった。そんな話もあります。
この自然の循環系に対する農耕生産様式に基づく意識の違いが、その後の人類文明(宗教や価値意識)の発展に大きく関わっているであろうと思われます。さて、今後は引き続き、そのあたりを探って行きたいと思います 😀
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さんぽ☆ | 2010.01.30 3:22
共感回路がどのように形成されていったかが、イメージできました!
ありがとうございます☆
確かに、深い部分では、「同じことを感じている、本当は共に充たしあいたい」ってことが分かるだけで、ぐっと共認の深さは変わってきますね。
日常でこれをもっと意識していったら、充足度アップしていきそうです♪