太陽と地球 未知なる攻防・・・2.太陽から地球へ流れ続ける、一定のエネルギー
(画像はコチラからお借りしました)
前回の「太陽活動と共に揺らぐ地球環境」では【太陽・地球付近での太陽活動】と【太陽内部で起こっている核融合】について扱い、太陽内部で生成される物質を確認しました。
今回はそれらが太陽外部に出ると、どうなるのか追求して行きたいと思います。
はじめに定常的な活動についてです。前回の太陽活動の表より、今回注目するのは黄色の部分になります。
太陽内部の核融合により、ガンマ線(電磁波)、電子・陽子(物質)が作られていることが分かりました。
このことから今回は、「電磁波」と「物質」の2点から定常的な太陽活動を追求していきます。
☆☆☆太陽から出た電磁波は太陽光として地球に降り注ぐ
~前回から~
ガンマ線は周囲の原子核や電子と衝突・吸収・屈折・再放射などの相互作用を起こしながら次第に「穏やかな」電磁波に変換され、数十万年かけて太陽表面にまで達し、宇宙空間に放出されます。
太陽内部作られるガンマ線は、太陽表面に現れるまでにだんだんと波長が長くなっていきます。
この「電磁波」が太陽付近では「太陽放射」、地球付近では「太陽光」と呼ばれます。
☆☆太陽放射=太陽光
太陽から出た電磁波(=太陽放射)を地球で観測すると可視光線も含んだ波長分布を示します。これが太陽光と呼ばれるものです。
太陽放射時の組成は紫外線(~0.4μm)が約7%。可視光線(0.4μm~0.7μm)が約47%。赤外線(0.7μm~100μm)が約46%となっています。
具体的に地球の大気圏外での太陽光の構成と地球表面での太陽光の構成を見てみましょう。
「放射強度」は、光源から或る方向に向かって、単位立体角ステラジアン[sr]当りに放出されるエネルギー量[W]のことです。
このグラフより、地球の大気によって太陽光が減衰されていることが確認できます。
太陽内部で作られるγ線・X線(100nm以下の波長)も地球付近に極微量は到達しています。
γ線・X線は太陽内部で電子や陽子に阻害されてしまい、波長が伸びていきますが、一部はそのまま太陽外部に出て行くのです。
一般的に太陽光と呼ばれている、紫外線、可視光線、赤外線について注目すると、有害な紫外線(100~300nm)は成層圏のオゾン層で90%以上がカットされます。可視光線・赤外線は、大気圏中での反射・散乱・吸収などによって平均4割強が減衰し、地上に到達します。
また、核融合によって発生するニュートリノは、電子や陽子などに直進を阻害されないため、ほぼ全て外に放射されており、地球にも到達しています。
では次に核融合から出ている物質についてみてみましょう。
☆☆☆太陽から出た物質は太陽風として地球に降り注ぐ
核融合によって作られる電子・陽子は高いエネルギーを持つため、太陽の重力を振りきって太陽外に飛び出すものがあります。
それらが太陽付近では「コロナ」として、地球付近では「太陽風」として観測されます。
☆☆コロナ=太陽風
コロナとは、太陽の周りに見える自由電子の散乱光のことです。
密度の小さい電離ガスからできていて、非常な高温のため,水素やヘリウムは完全に電離し,すべての波長の光が電離した自由電子によって散乱されるため,太陽光自身と同じ白色となっています。
太陽表面から, その半径の数倍離れた所(=コロナ)では、太陽の重力を越えて, 外の空間に向かって高速度でプラズマが吹き出している。これが太陽風です。
太陽風は約100万度の高温で、電子と陽子が分離してイオン化したプラズマ粒子のガスで、地球付近に到達した状態では、太陽風は温度が約10万度、速度が秒速450万キロで、プラズマ粒子数が1センチ立方あたり5~10個となっています。プラズマとは、気体を構成する分子が部分的に、または完全に電離し、陽イオンと電子に別れて自由に運動している状態です。
太陽風の場合、水素原子核やヘリウム原子核、電子などからなっています。
太陽風中のイオンの主成分は H+ (プロトン)。次に多いのが He++ (アルファー粒子)で, そのプロトンに対する密度比は, およそ 0.05 。他に, He+, O6+, C3+ 等のイオンの存在します。
これらの物質が地球に降り注いでいるのです。
☆☆☆太陽から放出されるものは2つに大分される
今回の記事では太陽内部での核融合によって作られた物質が太陽外部に放出され、地球に到達する時点でどうなっているかを確認しました。
図にまとめると以下のようになります。
では、太陽内部の電磁波や物質はどのように太陽外部へ出て行っているのでしょう?
次回はそのメカニズムについて追求していきます。
お楽しみに☆
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