2009-01-10

食料の輸入が途絶えたらどうなる?part6 ~食料生産は共認原理に委ねよう~

食料の輸入が途絶えたらどうなる?part1で、
今後、もしも貿易の均衡状態が崩れたら、食料の60%を輸入に頼っている日本はどうなるのか?コメ以外の主要食材について考えてみようと提案しました。

1.ダイズが輸入されなくなったら?
2.コムギ、オオムギが輸入されなくなったら?
3.魚介類が輸入されなくなったら?
4.肉類が輸入されなくなったら?

%E4%B8%80%E6%B1%81%E4%B8%80%E8%8F%9C.jpg
画像は 「歌舞伎美人」さんより拝借しました。
part2~part5でそれぞれ細かく取り上げてきましたが、それぞれに問題を抱えています。
続きはポチッとの後で↓↓↓
      

 にほんブログ村 環境ブログへ

ここまでの記事の要点
1.ダイズが輸入されなくなったら?
ダイズの輸入が途絶えたら、日本人としての食生活が成り立たなくなります。さらにアメリカ等からの輸入品の多くは、遺伝子組替品であるというヤバイ状況に置かれています。
休耕田の利用、裏作の奨励など農地利用率を高めることと、大豆油の消費量を削減しさえすれば、なんとか大豆の自給が可能なレベルを視野にいれることができます。それでも昭和40年代あたりまで生活レベルを下げることになり、かなりハードルが高いです。
2.コムギ、オオムギが輸入されなくなったら?
現代人食生活の大きな変化が影響しています。パンや菓子などが増加し、めんも和食だけではなくパスタなど洋食が極端に増加しています。自給率が高かった昭和30年代のように、裏作を広く復活させることが必要ですが現代の消費動向ではとても追いつきません。
農地利用率を高めるとともに
1.食生活を米食主体の和食に回帰する。
2.企業や地域仲間同士で道具やノウハウを共有し合う共同作業による自家生産を実現することが必要です。
3.魚介類が輸入されなくなったら?
世界的に見ると魚介類の消費量が増加し、漁業資源の争奪戦が始まっています。日本では自給率が低下していますが、消費量も減少傾向にあるのが問題をややこしくしています。根本的な問題は「近海で取れる安い魚(雑魚)を買わなくなった(食べなくなった)」というところにありそうです。スーパーに並ぶきれいな切り身やエビ、カニなど、日常食卓にのぼるのは大半が輸入モノで国内産より安い。国内で取れる雑魚は売れないので店頭に並ばない。その結果自給率が下がる。漁業従事者を保護しつつ、流通コストを下げるシステムが求められますが、同時に日常の食材として近海の安い魚を復活させることが必要です。
4.肉類が輸入されなくなったら?
バブル前の80年代の消費量までダウンサイジングを実現すれば、過去のピーク生産量でまかなえそうです。(ただし飼料穀物は除く)
バブル以降は急激に消費量が増加していますが、そのうち30%は廃棄されています。
現代食生活の無駄を無くせば自給は可能な水準にあります。

食料自給は国民にとって何よりの安心基盤です。
「贅沢はダメ!」と叫ぶばかりでひとりひとりが耐え忍ぶというのは、解決策とはいえませんが、無駄を無くす努力は不可欠です。part2~part5で見てきたように、現在の食生活からある程度の『ダウンサイジング』をはかることは可能な水準です。なにしろ「食品ロス」は年間500~900万トンもあるのだそうです。(農水省推計:08/12/22毎日新聞より)
さいわいコメは自給できています。野菜も嗜好性の高いものではなく昔から食べている野菜に限れば不自由はしません。魚、肉も食べずに捨てている分を無駄にしなければ、たいしたことではありません。「もったいない」「食べ物を粗末にするな」と、子どものころ何度も聞かされた教えに素直に従えばいいだけなのかもです。
【参考HP】↓↓↓
レッツ・ダウンサイジング~簡単なんだよ生活レベルを下げるなんて
【企業が農業に参入するのは何で?】~第二弾 食料自給率という目先指標~
大豆、大麦、小麦はそう簡単にはいきません。
まず国内で増産すること自体は可能でしょうか?
これらを自給するには昭和40年代ぐらいの食生活に戻しても、四国ぐらいの農地(約167万ha)を確保しなければ無理なようです。これはさすがに無理?
でも少なくとも、現存農地の生産効率を高める努力は必要でしょう。
【参考HP】↓↓↓
農地利用率200%! 自給率回復の可能性を探る
日本の農地(田んぼや畑)について
一方で、畜産用飼料穀物については「エコフィード」「ホールクロップサイレージ」などの新たな取り組みが既に始まっています。
また海上輸送が安泰ならば、農産物の「海外備蓄」も考えられます。企業が途上国の広大な敷地で生産し、アメリカの穀物商社に対抗しうる流通網を築くことも可能です。
【参考HP】↓↓↓
食品ロスを資源として有効活用~エコフィード認証制度~
「稲発酵粗飼料」(稲ホールクロップサイレージ)で自給飼料の確保を
日本の食糧確保は、国内だけに拘る必要はない -ギアリンクスの試み-
さて、減少の一途をたどる農業人口を反転して上昇させることは可能なのでしょうか?
今後、2~3年は「賃下げ、倒産の時代」を迎えます。働きたくても働けない人がたくさんでてきます。見方を変えれば農業人口を反転上昇させる絶好のチャンスでもあります。
【参考HP】↓↓↓
2009年は、倒産・賃下げの年となる
非正規雇用社員のリストラは正規雇用社員にも及んでいく
食料生産を市場原理に委ねてしまった結果が、現代日本の食料事情であり、一次産業の衰退です。
いま一度、食料の自国消費分は自分たちで確保することが私たちの安心の源であるということを認識しなおしましょう。人々が安心して暮らせるよう農業漁業を活性化させるにはどうしたらいいか、みんなで考える場があればいいのです。
まずは「食料の自国消費分は自分たちで確保する」「守るべきものは守る」というひとびとの共認を醸成することが重要ですね。国策レベルの制度や機構改革は後からついてくるものです。
【参考HP】↓↓↓
自給の時代⇒まず必要なのは共同体 ~麦作に思いを寄せて~
『わら一本の革命』 ①科学技術の完全否定と誰でもやれる自然農法
『わら一本の革命』 ②汚染時代への回答
『わら一本の革命』 ③原点を忘れた日本の農政

List    投稿者 finalcut | 2009-01-10 | Posted in N01.「食への期待」その背後には?No Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2009/01/473.html/trackback


Comment



Comment