日本人は何を食べてきたか 第三部 パート5 ~味噌~
さて、「日本人は何を食べてきたか?」、いよいよ最終回です。
今回は味噌です。
美味しそうでしょ。
写真は、ナスラックキッチンさんからお借りしました。
日本人なら、この香り、ご飯が欲しくなりますね。
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るいネットから
味噌ってすごい
日本の食事には無くてはならない味噌。
少し前まで、その塩分が目の敵にされていたけれど、最近はその栄養価の高さの方が評価され始めた。
今は、味噌といえば味噌汁だけど、昔は違ったらしい。
「やっぱり味噌はスゴイ」 さんより
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◆奈良時代から存在した調味料
味噌汁、田楽、味噌漬けなど、日本の食卓ではおなじみの味噌。昔話にも登場する味噌には、やはり古い歴史がある。
味噌は、中国や朝鮮半島から渡ってきた「醤(ひしお)」という調味料が発達したもの。小麦や米、豆などの穀類を、塩と共に発酵させたものが「穀醤」、魚を使えば「魚醤」、肉なら「肉醤」となる。漁醤はタイ料理などによく使われるナムプラー、秋田地方のしょっつるなどが知られるが、日本で主に発達したのは穀醤である。奈良時代にはさまざまな醤が作られ、鎌倉時代には、すでに現代の味噌に近いものが発達していたらしい。
寒い地方の味噌は塩味が強く、暖かい地方は甘いなど、味噌は郷土色の強い食品である。昔、農村では、味噌は各家庭で作るものだった。製法が代々伝えられ、嫁が味噌を作れるようになったときに世帯を譲るということもあったらしい。「手前味噌」という言葉は、味噌が家庭で作られることを前提に生まれた言葉といえる。
◆昔の人も知っていた味噌の健康効果
昔から日本の暮らしに深く根付いてきた味噌。現在のように調味料として使われることが主体になった歴史は、実は浅い。昔はむしろおかずとして食べる「なめ味噌」として発達した。「金山寺味噌」「鯛味噌」「鰹味噌」といった名物味噌は、なめ味噌の一種である。
東北地方では、山に行くときにご飯と味噌だけを持って山仕事をしていた暮らしぶりが伝えられている。ほかにも、日常食はご飯のおかずが味噌であったという地方がいくつもある。肉食が禁じられ、魚もめったに手に入らなかった時代、庶民にとって味噌は貴重なたんぱく源だった。そして、「味噌の医者殺し」といわれるように、病気を防ぎ、健康を保つ薬としても重宝されていたのである。
◆大豆+微生物=栄養価アップ+a!
味噌には、米味噌、麦味噌、豆味噌などさまざまな種類があるが、いずれも大豆を使う点では共通している。まず、この主材料である大豆そのものが、良質なたんぱく質や脂質、糖分、ビタミン、ミネラルなど栄養豊富な食品である。そこに発酵という微生物のはたらきが加わることによって、栄養分は消化吸収しやすい組成に分解されるとともに、栄養価もさらに高まる。牛乳よりもヨーグルトやチーズのほうが栄養価が高いのと同じだ。発酵とは、多種多様な微生物が、多量の栄養成分を生産し、食品の中に蓄積する工程とも言える。
たんぱく質 コレステロールの低下、血管の弾力保持
ビタミンB12 造血作用、神経疲労防止
ビタミンE 老化防止
酵素 消化を助ける
イソフラボン 酸化防止、肩こり解消
コリン 老化防止、脂肪肝防止
レシチン コレステロール低下、ボケ防止
◆それだけじゃない味噌パワー
さらに驚かされるのは、味噌が日々の健康維持に有効なだけではないことだ。現代人を悩ませるがん、高血圧、脳卒中、糖尿病、脂肪肝、ボケなどの予防効果、コレステロール抑制など、生活習慣病予防にも強い味方となる成分が豊富に含まれていることが、さまざまな研究の結果わかってきている。
味噌の抗がん作用に関する研究
味噌には、発酵によって「脂肪酸エチル」という物質ができている。これは、がんを引き起こす変異原の力を抑える作用があると言われている。また、酵母、乳酸菌、麹菌には、変異原性物質を除去する効果が期待できる。1981年には、がん学会で、味噌汁を飲む回数が多い人ほど、胃がん死亡率が低くなるという調査結果が報告されているほか、ラットを使った動物実験でも、がん発生率が減少することが確かめられている。
味噌はその栄養素のメリットや調味料としての美味しさだけではありません。
食の様式として大きな役割があります。そう、味噌汁です。
るいネットから
献立文化の優秀さ、味噌汁の偉大さ
味噌はスゴイ。米を主食とする日本人にとって、蛋白源である大豆を発酵させて栄養を補う上に、ご飯を食べる調味料となる。
その味噌から作った味噌汁というのがまたスゴイ発明だと思う。
ヨーロッパや中華のスープはあくまでスープという食べ物。
主食を食べるためのものではありません。
一汁一菜とか三菜とかいう定食的食事の様式を生み出したのは偉大な知恵です。
その様式に従えば、誰でも栄養のバランスが取れて、美味しく食べれる「献立」を考えることが出来る。
その文化が無いから、欧米人はバランスの取れた食事というものを自分で考える事が出来ない。出来るのは全て伝統食でコースを組んだ時だけだ。
(ウソだと思うなら、各国の学校給食の写真を探してみるといい。ヒドイから。)
日本人なら、世界中の料理を組み込んでも、美味しくてバランスの取れた食事を組み立てられる。
(だいたい、酢豚とオムレツとパスタとカレーと味噌汁を作れるような主婦が普通にいるのは日本だけだけど。)
その中で、大事なのが味噌汁だ。
味噌だけでも米食を補強する上に、汁という形にして米を大量に食べるのを助ける。おかずが無ければ、この汁だけで米を食える。
その上、味噌汁の具の野菜が米・大豆に不足する栄養価を補強する。
味噌汁の具は元の素材感を残して加熱する。
欧州のスープのように素材の旨味を全て湯の中に搾り出して液体そのものを味わうものではない。
むしろ、具の素材を生かすため、料理法としてはサラダに近い。
野菜類を美味しくいただく料理法として、米を食べる補助食品として、優れた献立文化の一部として、味噌汁はえらい。
以下が欧米の給食写真
フランス アメリカ
ひどいでしょ。これが美食の国フランスの給食かよ。
これが米食圏の国になると随分変わります。
中国 韓国
ね、だいぶ違うでしょ。
写真はアメーバニュースさんからお借りしました
あいつら、ホント、ステーキと付け合わせのポテトだけ食ってることがありますからね。
献立文化と調理文化が貧弱だと、母親から伝えられるべき伝統が途切れたとたんに悲惨なことになるのですね。
社会そのものがそれを支えていないのがアメリカですね。普通のアパートではまともに調理できないそうです。
日本の献立文化の一つの結実が弁当ですね。米と何種類ものおかずが少しずつ入って、バランス良く栄養を取れる。
最近、「BENTO」が欧米で流行りだしたようです。→Mr.Bento
「献立」を考える時に、米と共にみそ汁の位置は無くてはならないものだと思うのです。
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長い間、「日本人は何を食べてきたか?」にお付き合い頂きありがとうございました。
第一部で日本食の歴史を
第二部でごはんを
第三部でおかずを扱ってきました
第二部以降、米、漬け物、梅干し、のり、野菜と扱ってきました。
これらは和食の基本(ご飯とそれを食べるためのおかず)となる部分ですが、自給しようと思えば目処が立つ作物です。
これらと、後は魚介類の自給さえ目処が立てば可能性が見えるでしょう。
しかし、今回の味噌だけはそうはいきません。
味噌の原料である大豆だけは現状ではかなり難しいのです。
→食料の輸入が途絶えたらどうなる?part2 ~大豆編~
ここから、今後の日本の食と農を考えるときに大豆が非常に重要となることが判ります。
大豆は日本食を考える上で、味噌だけでなく、醤油、豆腐の原料であり欠かすことが出来ません。
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日本食の歴史で見てきたように、今日の和食が確立されたのはさほど古くはありません。近世、江戸時代です。
その上、明治以降の西洋料理の流入で新しい日本食を生み出しています。
他の多くの日本文化と同じで、古代から海外からの流入と国内での醸成を繰り返して日本食は成立しています。
しかし、変わらない部分は米・ご飯を中心に発達していることです。
国民全員が米をお腹いっぱい食べれた訳では無いのですが、ずっと米を希求して食事の中心に据えてきました。
それは栄養の面からも、生産性からも、社会統合の意味からも、おそらく正解だったのです。
そして、ご飯を美味しく食べるために日本の料理は発展してきた、これは実感からもそう言えます。
日本人なら、食事に米でなくとも麺類やパン類などの炭水化物が無いとお腹が落ち着かない感覚が判るでしょう。
また、肉類ばかり食べると野菜が欲しくなり、色とりどりの素材に食欲が湧くような感覚が身に付いています。
これらは、健康的な食事を取る上で、日本食の文化によって身に付く優位性だと思います。
これからも、日本食は新たな食文化を取り入れて、どんどん変化して行くでしょう。
しかし、最強の主食:米を中心に据えることと、これに様々な素材を組み合わせる献立を作ることは変わらないでしょう。
変化し続けることと、変わらないことで、世界で最も美味しくて、身体に最適な食事を提供してくれるはずです。
長い歴史の中で美しい日本食を生み出してきたご先祖様に感謝ですね。
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「日本人は何を食べてきたか」
第一部
part1 プロローグ
part2 縄文・弥生・古墳時代
part3 奈良・平安時代
part4 鎌倉・室町時代
part5 安土桃山・江戸時代
part6 明治・大正・昭和
第二部
part1 主食とは何か?
part2 ごはんの優秀さ
part3 米本位制経済と米食の関係
part4 米を希求してきた理由
第三部
part1 漬物
part2 梅干
part3 海苔
part4 野菜
part5 味噌 ~本投稿
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