2009-08-01
地球環境の主役 植物の世界を理解する21 農耕・牧畜から都市国家に転化した古代ギリシア~力の正当化が自然信仰を凌駕する
アテネの現在、中央がパルテノン神殿
前回のシュメールに続いて古代ギリシアを扱います。
ギリシア人は、紀元前2000年ごろ北方のマケドニア方面から南下を始め、前800年頃都市国家を形成しました。もとは農耕部族でしたが、海岸地帯に進出して都市国家を形成、アテネは海洋都市となり交易に従事。一方スパルタは農耕にとどまりました。
プラトン「クリティアス」のなげき、都市国家の自然破壊
ギリシア・ローマの自然に関する思想より引用します。(プラトンはギリシアの最強都市アテネのほぼ最盛期に生きた哲学者。)
、、森林破壊と土壌浸食の影響をもっともいきいきと描写しているのはプラトンの『クリティアス』である。
『昔に比べれば、今残っているものなど病人の骸骨のようなものだ。肥沃で柔らかな土は失われてしまい、後にはむき出しの大地の骨格だけが残っている。
今ではハチのエサ以外に何もない山でもそれほど遠くない昔には木が生えていたのだ。そこには植林された多くの高い木があり、家畜達の無限の牧場となっていたのである。
その上、かつて大地はゼウスのお恵み下さる毎年の雨で潤っていた。その雨は今のようにむき出しに土地から海に流れ込んで再びゼウスの元に帰ることはなかった。土壌は深く、その黒い土は水を十分に蓄えた。そして、土はあらゆる場所に豊かな泉や小川の水をもたらした。だが、今ではかつて泉のあった場所には神殿が残っているにすぎない』
この文章からプラトンの時代にすでにかなりの土壌侵食が進行していたことがわかる。
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