日本人と大豆~その歴史的変遷から
先のmamayoさんのエントリー、「「豆」のない生活なんて考えられない。でも・・・」、興味深い内容でした。
http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2007/02/000104.html
最近でも、遺伝子組み換えの議論が行なわれていたりと、現代の私たちの食生活とは切っても切れない関係にあると思います。今後、日本における豆がどこへ向かおうとしているかを占う上でも、私たち日本人と豆(大豆)との関わりの歴史を、もう少し詳しく振り返って見ていく必要があると思います。
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■稲作と同時代に伝わってきた大豆
大豆の起源は、mamayoさんも指摘されているように、中国の東北部シベリア地域だといわれています。紀元前2800年ごろにはあったようです。日本への伝来は弥生時代まで遡ることができるます。中国全土に広がっていった大豆の栽培が、中国南方起源の稲作と出会うことで、稲作の輪作作物として定着し、朝鮮半島を経て、縄文末期頃から、稲作と共に日本に伝わってきたのではないでしょうか。この渡来人達が、日本に定着し、土着の縄文文化とは違った弥生文化を形成、いわゆる弥生時代へと時代は移っていきます。
http://kyouiku.mukogawa-u.ac.jp/mnakauye/sotsuron97/soybean/ma0400.htm
(大豆のお話HPより)
では、なぜ稲作にとって大豆が必要だったのか。これについても、mamayoさんも「根粒菌は空中窒素を地中に固定することで地力を高める働きがある」と指摘されているように、化学肥料の存在しなかった当時、稲作にとって、豆との輪作は、豆の根粒菌の働きを通じて水稲に窒素を供給するために、必要不可欠なことだったのだと思います。またこの農法は、自然の摂理に則った栽培方法だったともいえると思います。
伝来当時、煮豆や炒り豆が主だった豆の調理法も、奈良時代には、すでに日本食の基本と言える、豆腐や納豆や味噌が作られていたようです。同時代に記述された「古事記」においても、豆という字が多く登場していることから、米と同時に、大豆は当時から、日本の食生活に欠かせないものだったことが伺えます。
また、仏教の広がりと共に、肉食を禁じられた日本人にとって、大豆は重要な蛋白源の供給元としても需要なものだったようです。
日本人の味覚を構成する、主要な調味料である、味噌や醤油等が、米と大豆と塩から作られていることからも、現代の日本人にとって、食生活の基本となる必要不可欠な位置に大豆がいることがわかります。
このようにして、長きに渡り日本人の食生活の中心に位置していた、大豆ですが、やがて大きな転換期を迎えます。
■市場経済の発達と大豆自給率の低下
第一の転換期は、明治時代に入ってから戦後までに当たります。
明治時代になり需要増に伴い、明治30年半ばには46万トンの収穫高を増やしていた大豆は、日本の領土拡大に伴い、満州や朝鮮の輸移入大豆に価格競争で負けていく事になります。第二次世界大戦を迎えるころには32万トン程度までに国内収穫高を低下させていきます。
日本の大豆需要は年々増加の一途をたどり、戦前、戦後を通じて大豆の輸入は増勢を続けた。戦前は主として、満州からの輸入および朝鮮からの移入によってまかなわれた。当時の国内の大豆総消費量は110万t前後で、国産大豆が約35万t、75万tが輸移入によって供給されていた。丸大豆のほかに大豆粕も肥料および飼料用に相当量輸入されており、これらを合わせると年間で200万t近い総量になる。従って、総需要に占める国産大豆の比重は著しく低く、せいぜい17%程度だった。
http://www.toyoshinpo.co.jp/daizu/d0601_1.html
(大豆おばさんの知恵 HPより)
第二の転換期は、戦後にやってきます。
かつて、稲作の輪作作物としての位置にあった大豆ですが、戦後、収穫の増量を目指した稲作において、より手軽で収穫のあがる化学肥料が導入に伴い、輪作作物として大豆が作られなくなってきたのも見逃せない要素として挙げられます。
日本の稲作の単収は、1880年(明治)ころは200kg/10aだったのが、1930年(昭和初期)には300 kg/10aに、さらに1985年以降は500kg/10aと、わずか100年ほどで2倍以上の収量の伸びを得てきた(全国平均値)。稲作の増収を可能にしたのは、いったい何だったのだろうか。
増収要因の筆頭に上げられるのは、戦後日本で急速に普及が進んだ肥料と農薬使用量増加である。
http://www.h3.dion.ne.jp/~muhi/kuwasiku-kakousi.html
(無農薬栽培HPより)
さらに拍車をかけたのが、戦前の満州等からの輸移入に代わって、安価なアメリカからの輸入が増えていったことが挙げられます。
戦後は大豆製油工業の発展により、大豆粕や大豆油などの製品輸入はほとんど行われないで、原料大豆としての輸入に変わった。米国産大豆は主に搾油用の原料として輸入されたが、一方で中国からの大豆輸入も軌道に乗り、昭和42年頃には年間40万tにまで達した。中国産大豆はみそ、納豆、豆腐など伝統的な大豆食品用に国産大豆とともに用いられた。しかし、昭和40年代後半から中国産大豆の輸入は減少を続け、昭和51年に輸入量は年間20万t台になった。
国産大豆の生産減少、中国産大豆の輸入減少により、年間70t程度必要とされた食品用大豆は、その供給を米国に求めるようになった。米国産大豆を機械で精選して大豆以外の夾雑物を取り除き、さらに大豆の粒の大きさを選別によりそろえることで、国産大豆や中国産大豆に代わって食品用に使用するようになった。
http://www.toyoshinpo.co.jp/daizu/d0601_1.html
(大豆おばさんの知恵 HPより)
戦前すでに17%までとなっていた、大豆の自給率は、現代では、ついに5%程度までに落ち込んでしまったのです。
http://kyouiku.mukogawa-u.ac.jp/mnakauye/sotsuron97/soybean/ma0266.htm
(大豆のお話HPより)
戦後アメリカ文化の導入による食生活の変化という、目に見える部分だけでなく、実は、古来から日本人の食生活に欠かす事の出来なかった大豆までもが、現代では、私権大国アメリカによって握られているという実体が、明らかになったのではないかと思います。
すごく、危険な状態におかれているといえるのではないでしょうか。
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コメント5件
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