「くすり」って、なんだろう?【中間まとめ】 ・・・「くすり」市場は超巨大マーケット
「くすり」って、なんだろう?・・・Part1で
医薬史上の大きな出来事として、
1.モルヒネの発見 (1817年発表)
2.合成薬(アスピリン)の開発 (1899年商品化)
3.抗生物質(ペニシリン)の発見 (1928年)
4.ステロイドの登場 (1934年抽出、1948年薬剤利用)
これらの偉業のたびに医療のあり方が変化し、医薬業界は飛躍的発展をしてきた。
【参考:「薬を知りたい-創薬プロジェクトの現場から-」中島祥吉著】
医療の世界でこれらは大事件だったようです。
さて、これら4種の「くすり」はいったいナニモノなのでしょう?
をとりあげて、4回の記事で上記4種の薬がナニモノか、見てきました。
goquさん、「抗生物質」についての記事ありがとうございます。
飛び入り参加大歓迎ですのでこれからもヨロシクです。
今回は4種のくすりが社会にどのような影響を及ぼしたかを短くまとめておきます。
その上で「日本人はくすりをどれぐらい消費しているのか?」を見てみたいと思います。
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ここまでの記事の要点(社会への影響)
モルヒネ
自然由来(植物など)の抽出物から薬効物質だけを精製して、単なる物質として存在する姿に変えた、まさしく現代の薬剤第1号ですね。ここから人工医薬品の開発研究がスタートします。しかしモルヒネの副作用は周知の事実で、現代では末期がんなどで治療をほぼあきらめた段階で投与されます。
アスピリン
既知の物質に他の物質を合成して、疾患、人体反応に適応した新薬を開発できることを明らかにしました。その意味でバイエル社の功績は偉大です。頭痛薬で知られるアスピリンは第一次大戦後の禁酒法や大恐慌など社会不安が高まる中で服用する人が激増しました。同時に医薬開発競争に拍車がかかり、医薬品市場が爆発的に拡大します。「くすり漬けの現代人」を生み出す契機となりました。
ペニシリン
大流行する感染症に苦しめられてきた人々を救ったのが、ペニシリンです。アオカビから単離・精製した物質を投与すると病原菌(微生物)の代謝・成長をブロックして感染症の進行を止めることができました。こういう働きをする抗生物質が次々に開発され、現代の人口増、高寿命化の一因になっています。抗生物質(○○マイシンなど)の需要は戦時下に拡大します。ファイザー社による大量生産は第二次大戦の真っ最中に実現しました。また、耐性菌とのイタチゴッコという新たな課題に直面しています。
ステロイド
「奇跡の薬」といわれたステロイド。非常事態に対応した過剰な免疫反応、すなわちアレルギー反応を抑制して炎症をストップさせる。副腎皮質ホルモンを患部に直接投与することで疾患は劇的に回復します。疾患に苦しむ患者は処方を期待し、医者も少し前までは安易に処方していました。が、長期にわたる使用で逆に炎症を悪化させたり、他の器官に悪影響を及ぼしてさらに強いステロイドに頼り、抜けられなくなって苦しむ人が続出しているのが現代の問題です。
これら4種のくすりはそれぞれ時代の要請に応えた、世界中の人々を病気の苦しみから救う偉大な成果だったことは認めて差し支えないと思います。
しかし、副作用のない「万全の薬」というのは存在しません。人体にとって「薬は原則的に毒」なのです。
特定の目的には効果を発揮しますが、健常な生体にとっては不必要どころか、本来は体内に侵入されると困るもの、それが「くすり」です。
そして
現代社会における「くすりの大量消費」は、過去の偉大な業績を生み出した英知を持つ人類の、別の一面を見るようです。
モルヒネの発見以来、世界中で主流となっている西洋医学(=対症療法)と市場の要請により、薬の開発競争に莫大な費用が投入され続けており、それを支える天文学的な消費量で巨大なマーケットを形成しています。北米、ヨーロッパだけでなく日本の市場もスゴイです。北米についで世界第2位の市場規模だそうです。
参考:るいネット「医薬品市場は世界的に巨大化している」
グラフは日本製薬工業協会さんのHPから拝借しました。
また、興味あるデータがあります。私たちに身近な一般用医薬品の中で目立って需要が伸びているのは最近話題の「メタボ対策」と「花粉症対策」の薬品市場です。
データは「株式会社富士経済」さんのHPから拝借しました。
とくに「メタボリック症候群」という言葉は1999年のWHO発表で始めて使われ、2005年にアメリカや日本でさまざまな診断基準が登場し、2006年に日本では流行語大賞に選ばれました。短期間に大衆の認知度が高くなって飛躍的に市場が拡大しています。
まさに「薬を売るために新しい病気が作り出されている」感があります。
くすりは特定の症状を抑制したり、緩和したりする人工物質であって、それ以上に身体に良い作用をもたらすことはない。決して人々に健康をもたらしてくれるモノではありません。
病気を治すのは薬ではなく、生きている体そのものががんばらなければ病気には勝てないことを、私たちはあらためて意識する必要があるのではないでしょうか。
どうしていいかわからない患者のために答えを模索するのが医者の仕事ですよね。
病院で診察を受けていつも感じるのは、「薬を処方するのが医者の仕事」と当の医者自身が思い込んでいるのではないか?ということ。薬を飲んで治るなら医者は要らない。
そして患者の方も「薬を飲めば治る」と思い込んでいます。市販薬では効き目が弱いから病院に行き、薬をもらって安心します。
医者も患者も市場のシナリオにノセられて、相乗作用で薬を大量に消費する巨大マーケットが出来上がっている。
この現状はやっぱりなんかおかしい、健全な社会ではないと思いませんか?
だとしたら、私たちはどのように病気、くすりと向き合っていけばよいのでしょうか。
そこで、
西洋医学がわが国に導入されて近代医薬品が日常生活に浸透する前は、日本人は漢方や和方といった東洋系の医療法、くすりに頼っていました。
東洋医学が自然の摂理にかなったものかどうなのか、まだ断定できませんがヒントが隠れているかもしれません。
漢方、和方がどのように人々の生活とかかわって来たか、このあとのシリーズ後半で追及してみようと思います。
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コメント2件
匿名 | 2009.09.12 20:36
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popo | 2009.02.28 22:14
こんばんは!
この時代になって、より主食と副食の形態がハッキリしてきた主な理由は、
採取から栽培・水稲に主な食生産が移行したからって感じの理解でよろしいですか?