漢方って何だろう ~医療法における漢方の位置付け~
yuyuさんのエントリー[ 漢方って何だろう~漢方の歴史(1) 中国編~ 、~漢方の歴史(2) 日本編~ ]にあるように、漢方の古い歴史(中国から日本へ、そして日本独自のものへ)が脈々と引き継がれて、今日に至っています。 😀
そこで、今日の医療体系のあらゆる局面で主流である西洋医療に比べて、漢方はどういう位置付けになっているのか? 🙄 を調べてみました。
生薬を煎じて・・・・
ところで、漢方薬 の一部ですが 保険適用されているって知ってましたか? 😮
漢方の歴史は長いが、かつて日本の医療法体系の中では、西洋医療・西洋薬に比べて取り残されてきました。しかし、昨今やっと西洋医療を基軸とした法体系の上に追加・改定され、復権傾向にあるようなのです。 🙄
続きの前にぽちっと お願いします。
種々の生薬
■1.医療法における保険の適用
以下Helhte クリニックより引用
西洋医学に徐々におされつつも、依然として漢方は日本医学の中心だった。ところが明治のはじめ(1884年)、医師免許 規則が制定され、「医師免許は西洋医学を修めたものだけに与えられる」ことが決まって以来、漢方は医学界からほとんど 姿を消すことになる。
と漢方は不遇の時代 🙁 を迎えますが、徐々に脚光をあびるようになり、やっと1976(昭和51)に保険薬として認可され、適用が可能となりました。 😀
しかも、保険適用とする際に漢方は特例として臨床試験を経ずに過去からの経験側として認可されたという経緯があります。
ただし保険適用には条件があり、西洋医学による資格を持った医師が診た場合の処方箋としてのみ適用が認められ、薬局で薬剤師の処方によるもの等は適用外となっています。
以下 漢方薬と健康保険より引用
漢方薬と健康保険について
漢方治療は、昭和51年に、厚生省が漢方薬の健康保険治療の適用を承認するようになって以来、見直しが行われ、広く普及するようになってきました。しかし、すべての漢方薬に健康保険がきくわけではありません。現在のところ処方数は、147種と限られており、しかも保険診療が認められるのは、これらの漢方薬に対して、医師の処方箋がある場合に限ってです。しかし、過去の治験例からみると、この147種類に限らず、もっとずっと多くの処方が用いられており、その効果も現れています。
以下 広がりゆく医療の地平 漢方医学 より引用
現在の漢方の制度上での位置付け,法的根拠
尚,保健薬を含む薬の認可は通常,申請→臨床試験(1相~3相 )→認可 のプロセスを必ず経ることになっている。適応症,用法,用量などの細かい点がこの段階で決定される。しかし,現在の認可漢方薬は,全て特例として臨床試験を経ずに経験則として認可された。江戸時代より長い伝統があり,正確に文献も残されており,複数の医師により効果が認められており,評価を得ているという理由付けである。
■2.医療法における漢方医の扱い
まず医学部では以前と異なり、最近では漢方のカリキュラムが組み込まれています。そして、平成14年厚生労働省の告示改正で、幾つかの条件を満たせば専門医の広告が可能となり、平成17年には漢方専門医も認められました。
以下 漢方専門医について より引用
漢方専門医
西洋医学による治療を行っている大学病院や公立の病院でも漢方薬による治療を併用して取り入れているところはありますが、本格的に漢方治療を受けたい場合には、やはり漢方の専門医にかかるほうがよいでしょう。
漢方専門医というのは、医師免許をとったうえでさらに漢方の勉強もした人たちのことをさします。
■3.学会での位置付け
学会としては日本医学会分科会加盟の(社)日本東洋医学会で東洋医学について様々な事業が行われ、専門医認定制度も設けています。 🙂
以下(社)日本東洋医学会より引用
専門医認定制度
1989年(平成元年)より制度が発足し、学会認定医制協議会加盟の制度として運用されております。制度運用の主な点は次の通りです。
研修年限:わが国の医師免許証を有し、日本専門医認定機構の定める基本領域に属する学会
の認定医あるいは専門医を有し、3年以上継続して本会会員で所定の単位数(7単
位)を取得し、本学会が定める研修施設で3年以上東洋医学の臨床に修練を積んだ
者。
認定方法:50症例の一覧及び、そのうち10症例の臨床報告を提出し、毎年1回の認定試験
(筆記試験、口頭試問)に合格すること。
更新年限:5年毎に更新
専門医数:2,439名
これまで現状の医療体系における漢方の状況をみてきましたが、今後の日本医療の期待と課題としては、西洋医療と東洋医療の共存・併用がどれだけ進化するかということではないでしょうか? 😀
以下 広がりゆく医療の地平 漢方医学 より引用
【現在行われている漢方を取り入れた治療の実際】
1.医師の処方
何らかの形で治療に漢方薬を取り入れている医師は,全体の8割に上るという。特に婦人科で多い(98%)。但し,漢方理論に基づき証を診た上で処方する場合の他に,西洋医学的診断・治療の手段として生薬やエキス剤を使用することも多々ある。
【今後の発展】
最大の課題は,西洋医学との共存・併用であろう。
現行制度では「漢方科」の標榜ができないため,医療機関の情報は患者間の口コミで伝わる部分が大きく,患者の客観的判断材料が乏しい。漢方科を独立させる必要はないかもしれないが,現在の西洋医学の中で漢方を用いるにせよ,処方の論理に基づいて確実な治療を行い,制度面でも漢方を堂々と名乗り,患者が選択できるようにすると良いのではないだろうか。
また,長い伝統に裏付けられて信用ある漢方とは言え,西洋薬との併用の歴史はないに等しい。注意深い観察を行いながら,必要な場面では使い分けをしていく必要がある。ステロイドからの離脱に漢方薬が有効である,イレウス(腸閉塞 )手術後に大建中湯が有効であるといった,併用による新たな治療法の可能性も期待できる。
まだまだ歴史が浅いとは云え、日本が西洋医学と東洋医学を併用した医療体系となっていることは興味深いと思います。
現在、漢方は西洋医療を基軸とした法体系の上に、追加・改定されている状況すが、明らかに復権傾向にあります。 😀
具体的には、 ①外科的な疾患・癌の治療などは西洋医学
②慢性の内科的な疾患などは漢方などの東洋医学
と、それぞれの症例に適合しやすい治療法を選別していけることなど、
これからの西洋医学と東洋医学の共存・併用には大きな期待が感じられると思います。 😀
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コメント6件
小さなエコ日記 | 2009.05.02 19:33
はじめまして。江戸時代は、家庭から出るゴミを使って、いろいろ再利用してごみの排出量が少なく、町はきれいだった、ということを以前テレビで見たことがあります。インデックスされた力作を読もうと思ったのですが、押すとメールアドレスが出てきてしまうのですが、どうやったら読むことができるのでしょうか?お差し支えなければ教えていただきたいと思います。
匿名 | 2009.05.09 23:50
>ピーターパンさん
ありがとうございます。今までの蓄積をもとにこれから追及していきたいと思います!
>小さなエコ日記さん
返信遅れてすみません><;
どうやらリンクが間違っていたようです。。。><;
修正しましたので是非ご覧になっていただけたらと思います!
江戸社会の成り立ちを明らかにすることにより、現代に活かすこと可能性を今後追求していきたいと思っております。
小さなエコ日記 | 2009.05.18 20:57
こんにちは!ふたたびコメントします。今半分くらい読みました。すごく楽しく、また興味深いのです!ところでお願いがあるのですが、読み終わったら、こちらの記事を私のブログに紹介したいと思いと思っています。お差し支えなければよろしくお願いします。
なちゅま
tutinori | 2009.05.20 19:24
>すごく楽しく、また興味深いのです!
jこの言葉非常に嬉しいです☆
実現可能性を模索するうえで「江戸社会」の解明というのは非常に参考になると思うのです!
是非、紹介してください!ブログメンバーも喜びます^^
一緒に追求できる仲間が増えると良いですね☆
小さなエコ日記 | 2009.05.26 21:38
こんばんは。快諾していただいてありがとうございました!早速昨日ブログに更新しました♪もっともっと紹介したかったのですが、とりあえず力不足と言うことで(スミマセン)。またこれからもお邪魔しますね。貴重な情報本当にありがとうございました。ポチ
ピーターパン | 2009.04.28 19:24
力作ですね~♪
インデックスって、構造的にみれるから、スゴク便利!
また、初心者でもそのまま読みすすめれば、着実に理解できるので、いいですねー(*’-‘*)。