2008-10-18

漢方って何だろう~漢方の特色 西洋医学との違いから~

 こんにちは。前回は、漢方の医療法においての位置の話でしたね。今回は漢方の特色を、西洋医学との違いの観点から述べてみたいと思います。
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伊東玄朴銅像
佐賀県神埼郡神崎町 玄朴旧宅
 もともと日本に漢方という言葉はありませんでした。江戸時代に入ってきたオランダ医学を蘭方といい、両者を区別するため、初めて漢方という言葉が出来たのです。
安政五年(1858年)にお玉が池種痘館を開き、同年蘭方医として初めて幕府奥医師になったのが伊東玄朴です。種痘館はその後変遷を経て、現在の東京大学医学部となりました。 
 
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【漢方が効く仕組みは何故わかりにくいのか】
最大の特色がそのまま最大の欠点?
 既に紹介されているように、漢方は数千年前から経験に基づいて効能がわかっているのですが、効き方の仕組み(医学用語で『作用機序』といいます。)がいまだ明らかでないのです。
解明されない理由はなんでしょうか。
 細川英吉教授(西洋医学の医師で漢方医でもある)は、「西洋薬は化学操作によって合成された純粋物質。音楽で言えばバイオリンやピアノのソロ。対して漢方薬は、分析不能なほど多種多様な物質が含まれている。音楽で言えばオーケストラ。」という言いかたで、漢方薬の特性を説明されています。
 言い換えれば、「漢方は多くの草木の成分を混合して使用しているため、どの成分が症状に効果を発揮しているのか、検証するのに膨大な手間がかかる。」ことによります。さらに、漢方薬は病因に直接働きかけるのではなく、まず免疫を活性化させることで、病気を治すという、いわば2段階作用となっていることも併せて、検証手間を膨大にしているともいえます。反面、漢方薬は多くの生薬の混合物であるため、単一の症状に効くだけでなく、一見まったく別の臓器の別の症状にも効果を発揮します。
 たとえば葛根湯と小青竜湯などのように、作用機序が西洋医学的にも解明されているものもあります。詳しくご覧になりたい方は下記へ。
医学処-医学の総合案内所http://venacava.seesaa.net/article/86758401.html
【西洋薬は扱いが簡単、漢方薬はなんだかややこしい】 
 
薬の使用法のちがいも明暗をわけた?
 西洋薬の使用法は口から飲む、注射を打つ、患部に塗るなど多様ではありますが、いずれも扱いは比較的簡単です。一方漢方薬は経口摂取が基本ですが、まず生薬を刻んで配合し、これを煎じて飲むということになります。また煎じたエキスは基本はその日のうちに飲まないと効き目が失われるとされます。さらに生薬は上手に保存しないと黴がはえたり腐ったり。つまり手っ取り早さを優先する世の中では敬遠されてきたのでしょう。もっとも昨今は顆粒剤が増え、その点では改善されてきました。
【漢方ではどんなふうに診断、治療を行うのか】
 
漢方の診断・治療は証を明らかにして治を決めること。
 最初は、漢方も西洋医学同様、「顔色を見る、会話をする、舌を見る、目の結膜を見る」という外見的な診断から始めます。これを漢方では、望診、問診、聞診といいます。続いて触診では(切診といいます)、先ず脈を診てから、胸、肺、心臓、腹部と見ていきます。特に漢方では脈を重要視しています。中国の大家はほとんど脈だけで診断するそうです。また腹部を切診するのは、日本の漢方だけの特徴です。
 いったん診察が終わると、診断と治療法を決めます。漢方の診断の大きな特徴は、西洋医学のように病名をつけることではなく、「どのような薬を与えるべき証(しょう)か」を判断することです。
 証とは、「身体内における病変の、外に現れたる徴候」で、陰陽、虚実、寒熱、表裏、(ここまでを八綱)半表半裏(十二綱)などをいい、患者に合った証を決めること、たとえば、「この患者は葛根湯の証である。」と決めることが診断なのです。
西洋医学が、気管支炎、肺炎というふうに、病理を基礎とした診断名をつけるのに対して、症状に加えて全身の状態や体質を併せて診断しているともいえましょう。
 前述の「証」の解説は、小太郎漢方製薬㈱のHPを参照ください。(同社は1957年に初めて漢方エキス剤を製造販売した会社です。) 
 
http://www.kotaro.co.jp/kampo/kouza/05.html 
 
【何故いま 漢方が見直されているか。】
広い守備範囲と免疫活性化の効果が期待されている
 西洋医学が、病名を特定して一点突破的に治療を行い、成果をあげてきたのに対して、漢方は、検査で異常が指摘されないにもかかわらず、疲れやすかったりダルかったりといった自覚症状があるものや、原因が特定できない慢性疾患、不定愁訴、更年期障害など、またはステロイドや抗がん剤などの西洋医学的な治療による副作用の緩和、体質の改善などにも使われています。
 対症療法に徹して成果を挙げて来た近代西洋医学が、いまだ捕らえきれていない範囲を含めて、経験則に裏付けられた漢方が広くカバーしているという構図といえるでしょう。同様に漢方に限らず、伝統医療であるインドのアーユルヴェーダ、イスラムのユナニ医学なども見直されつつあります。
また免疫活性化の効果として、日本医科大学附属病院東洋医学科部長の高橋秀実教授は次のように述べておられます。教授自身も大学院生のころ、原因不明の高熱に冒され、漢方治療で九死に一生を得た経験があるそうです。
以下引用
『1918年に流行した「スペインかぜ」では、世界では何千万人、日本でも30万人以上が亡くなったと言われています。不思議なのは、亡くなった人の多くは青壮年で、高齢者や子どもではありませんでした。壮健で頑丈な人たちがバッタバタと倒れていったのです。これは間違いなく、スペインかぜの原因であるインフルエンザウイルスに、体が過剰に反応したため壮健で頑丈だったがゆえに、反応が強く出てしまって、死を招いてしまったのです。
では、こうした反応を無理矢理、抑え込んでしまえばいいかといえば、そう単純ではありません。何事にも“程度”が大事なのです。そういう意味では、漢方薬は高熱のような重病にも、ちょっとした症状にも対応できる、つまり病気の内容によって生体の闘う力を調整する「免疫調整薬」なのです。』
引用終わり
引用元 kampo view お医者さんが語る漢方の魅力
http://www.kampo-view.com/oshiete/miryoku/takahashi/01.html
 西洋医学がいまだ治療法どころか診断も付けられない病状に、既に有効な治療手段を持っていること、対症療法だけではなく全身の免疫を活性化して病気を治す効果があるとみられること、が漢方が見直されてきている理由ではないでしょうか。
 この記事は以下を参考にさせていただきました。 
参考図書:「漢方の科学 漢方が効く本当の理由」細川英吉著 講談社ブルーバックス
参考サイト:「伝統医学って何?」富山健康パーク
http://www.toyama-pref-ihc.or.jp/mdcn/

List    投稿者 kz2022 | 2008-10-18 | Posted in N04.人工物質ってどうなん?2 Comments » 

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コメント2件

 hihi | 2009.05.09 21:39

なるほど、草は乾燥に対する適応態だったんですね。
木の形態よりも後に出てきた形態と理解していいんですか?

 kz2022 | 2009.05.16 19:28

乾燥し切った砂漠の夏を種子で乗り切る、すごい適応ですね。そういえば、同じようなすごし方の魚もいたような。麦と米の比較もおもしろかったです。次も期待しています。

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