2008-05-31

「ビタミンC」と書いてあれば「体にいい」と思っていませんか?~パート2

こんばんは。
前回、finalcutさんが、ビタミンCについて、エントリーされていました。
「ビタミンC」と書いてあれば「体にいい」と思っていませんか?
合成ビタミンCの光学異性体が、体に良くなさそうと言う内容、かなり衝撃的でした。
lemon4.jpg
しかし、その後、るいネットに狒狒さんが、ビタミンCには光学異性体は存在しない、と紹介されており、ビタミンCの光学異性体が危ないという内容を鵜呑みにすること自体について再考させられました。
2次引用ですが、狒狒さんのるいネット投稿を紹介させていただきます。
177398 ビタミンC光学異性体について
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=177398
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アスコルビン酸(AsA)の異性体は以下の4つです。
・L-xylo-AsA(ビタミンC)
・D-xylo-AsA
・L-arabo-AsA
・D-arabo-AsA(エリソルビン酸)
エリソルビン酸はアスコルビン酸と同程度の抗酸化性を示しますが、生理活性はアスコルビン酸の1/20程度です。
 生理活性とは、壊血病の予防やコラーゲンの生成と維持など、いわゆるビタミンCの働きのことです。
xyloとaraboは構造異性体で、C-5位につく水酸基の立体配置が異なります。 D,Lの違いが光学異性体です。
L-arabo-AsA、D-xylo-AsAは自然界には存在しないのでわざわざ合成して作る必要があります。
アスコルビン酸の異性体のうちL-xylo-AsAのみをビタミンCと呼びます。ゆえに、ビタミンCに異性体はありません。合成だろうと天然だろうと、ビタミンCといえば全く同じものなのです。
bun.hp.infoseek.co.jp/miscellanea/AsA.html
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ビタミンCの定義からも、光学異性体は、存在しないようですね。
ビタミンCについては、L-xylo-AsAのみを、人工合成可能な技術も確立さえれているようなので、その点からも、ビタミンCの光学異性体を使用する必然性はなさそうです。
では、なぜビタミンCの光学異性体が悪者として流布されているのでしょうか?
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その前にビタミン自体の定義について簡単に整理しておきます。
ビタミンとは、体内の代謝をはじめとする種々の生理現象に重要な役割を演じ、しかも体内で生合成されない為に外部から摂取しなければならない微量必須の有機化合物とされています。
(厳密には生合成可能なビタミンもあるが、それだけでは足りていない)
ちなみに、体に作用する、その他の代表的な物質として、ホルモン、ミネラルといったものもありますが、ビタミンとはどう違うのでしょうか?
ホルモンは、「極めて少ない量で体内の種々の生理現象に重要な役割を演じる微量必須の有機化合物である点」はビタミンと同じですが、「体内で合成可能な点」がビタミンと異なっています。
ミネラルは、「極めて少ない量で体内の種々の生理現象に重要な役割を演じる微量化合物であり、体内で合成できない」点は、ビタミンと同じですが、「無機物」である点が、異なっています。
ちなみにビタミンのA,B、C等のアルファベットは、発見された年順につけられているそうです。
人間の生理現象にはなくてはならないものにも関わらず、体内では生合成できず、摂取することでしか得ることのできないビタミン。
そのことが、ビタミン摂取が叫ばれる根底にあります。
しかし、ビタミンCの摂取は必要だとしても、光学異性体が良くないというのは、どこからきているのでしょうか?
 
 
光学異性体が、人間に悪影響を及ぼした事例として、サリドマイドがあります。
サリドマイド事件として少しご年配の方ならご存知だと思います。
サリドマイドは睡眠薬として売り出されました。妊婦期にこのサリドマイドを服用した女性から生まれる子供に異常が発生しました。つまり、奇形を生じていたのです。具体的 には生まれてきた子供の手や脚が極端に小さかったり、耳がなかったりしたのです。
当時、胎盤はあらゆる毒素や有害な化学物質から胎児を守ってくれるという考えが普通でした。そのため、サリドマイドは「安全な薬」だったはずでした。しかし、現実には胎盤は薬を通してしまい、そのために胎児に奇形を生じさせてしまったのです。
 サリドマイドの薬害
サリドマイドには光学異性体があります。サリドマイドを構成する成分は全く同じだが、その構造は異なっていました。それは、ちょうど鏡に映したときのような構造の違いです。例えば右手を鏡に映すと、鏡には左手の形が映ります。しかしこの右手と左手は同じ平面上では重ね合わせることはできません。
薬にはこの鏡写しの構造の違いにより片方では薬としての有効な効果が表れるが、もう片方の構造では副作用が表れるということはよくあります。構造が少しでも違えば、その化学物質は薬になるが副作用を起こす毒にもなります。
サリドマイドは片方には睡眠作用があり、もう片方には催奇形性がありました。つまりサリドマイドの半分は有効な薬であり、もう半分は胎児に奇形をもたらす効果があったのです。

http://kusuri-jouhou.com/iyaku-news/thalidomide.html(役に立つ薬の情報)
光学異性体であるだけで、これほどまでに、体に対して異なる影響がでるなんて怖いですね。
生物を構成する化学物質の大部分は立体的に不斉である。不斉とは図で赤く描いた炭素原子(不斉炭素)に由来し、左手と右手のように、あるいは鏡に映した自分のようによく似ているが決して重ね合わす事は出来ない。生物が認識するのは殆んどの場合その一方だけである。それは生物自身が不斉な化学物質から出来ているからである。
thalidomide3.gif
http://members.jcom.home.ne.jp/kisono/thalidomide/thalidomide.htm(なみへいの最新サイエンス)
とあるように、生物は、似たような形であっても、光学異性体を別の物質と認識するようですね。
ともかくサリドマイド事件で光学異性体の危険性が広く認知されたことでしょう。
また光学異性体が存在する例では、ビタミンEがあります。
ビタミンEでは、人工的に合成すると天然ビタミンEの光学異性体が一定の割合で生成、混合されてしまうようです。
天然のビタミンEには8種類の同族体があることを紹介しました。一般的に、ビタミンCなどは、天然も合成も一緒ですが、ビタミンEは少し違います。
ビタミンEは量産するためには合成することになりますが、合成のビタミンE(all-rac体)にはd(ディ)体と光学異性体といわれるl(エル)体が混合されています。一方、天然のビタミンEはd体(RRR-)のみで、成分の表示で見分けることができます。
dl–トコフェロールまたはall-rac–トコフェロール・・・合成
d–トコフェロールまたはRRR–トコフェロール・・・天然
また、生物活性は、合成品より天然品の方が高く、効力にも差があります。
生物活性:国際単位(IU)/mg
合成 酢酸dl–トコフェロール 1.00
dl–トコフェロール 1.10
天然(型) 酢酸d–トコフェロール 1.36
d–トコフェロール 1.49

http://www.eisai.co.jp/vita_e/kiso2.html(エーザイHP)
面白いのは、生物活性や効力が、光学異性体を含む合成品は、天然物に比べ低いところです。
 
 
このように、光学異性体は、生体に異なる(悪い)効果をもたらしたり、効果が低かったりと、あまり良い印象をもたれていないもののようですね。
光学異性体のこの部分を、ビタミンCにおいても、同様なものとして、取り上げ、危険性をことさら強調した、一部の健康ネタを商売にした人たちの話が、ネット上に流布していったというのが、ビタミンCの光学異性体に関する話の実体なのではないでしょうか。
「○○が危ない」、という話しは、危機意識を直撃するため、無条件に反応してしまいがちですが、こんな時ほど、より冷静に対象・事実関係を見ていく必要があるのかもしれません。

List    投稿者 yuyu | 2008-05-31 | Posted in N02.食品衛生規格・添加物って何?2 Comments » 

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コメント2件

 pokotan | 2008.10.06 18:51

こんばんは!近代、漢方が医学で取り残されてきた背景には、効果・効能の違いというよりも思想性や市場原理が大きく影響していた感が否めませんね。
しかも、
>西洋医学による資格を持った医師が診た場合の処方箋としてのみ適用が認められ
今だ漢方は西洋医学の支配下?ってのも気になります。これから、西洋医学と東洋医学はどのように統合されていくのでしょうか?医学の未来が気になります!

 kaz-tana | 2008.10.07 15:14

pokotanさん コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、漢方は圧倒的な歴史を持ちながら、明治以降の市場主義から取り残されてきた感は否めません。
ただ、西洋薬の副作用問題から起因する漢方回帰の風潮や、専門医の認定など、徐々に復権傾向にはありそうですね。
医学の未来としては、適材適所に西洋医学と東洋医学を治療法として併用していく、日本独自の形になるのではないか?と考えています。

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