【運動前のストレッチは有害!?】科学を身近に☆NewStream
旬の話題から自然の摂理が学べる!科学を身近に☆NewStreamです。
今週の科学ニュースを紹介します。
皆さん、「運動する前には、ストレッチをするもの」と、当たり前のように思っていませんか?
実は、10年前から「運動前のストレッチは有害である」可能性が指摘されているのです!
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スポーツ科学の分野は急速に進歩していますが、一般レベルには最新情報が幅広く浸透していないのが実状です。そんな中で、われわれ日本人10人中8~9人が、運動前にストレッチするのは当たり前だと思っています。
あなたもそうではありませんか?
スタティックストレッチング
・ 前屈みで両手を地面に付ける
・ 壁に両手を突いて、じわじわ脚の裏を伸ばす
・ そのポーズで限界まで静止する
我々がストレッチと呼んでいるのは、このようなスタティックストレッチング(Static Stretching)のことで、Staticとは「静的」を意味します。
私たちは、こんなストレッチを何十年もの間やってきました。
運動前に静的ストレッチすることにより、運動対象となる筋肉群や腱の引き伸ばし、柔軟性、筋群間の協調性が高められ、運動パフォーマンスが向上するものだと、誰もがそう固く信じていました。
ところが、10年程前から、運動前の静的ストレッチは神経系をこわばらせ、ジャンプ、スプリント、テニスやゴルフのスィングなど運動パフォーマンスに悪作用することが、多くの研究者から報告されました。当然のことながら、静的ストレッチを止める有名選手やコーチが続出しました。
米国スポーツ医学団体ACSMは、2010年に運動競技前の静的ストレッチについての新しいガイドラインを出し、次いでThe European College of Sport Sciencesは、「静的ストレッチは運動パフォーマンスを損ねる」という公式見解を発表しました。
きっと皆さんの多くは、こんな事実があったことすら知らなかったのではないですか?
このような流れの中で、静的ストレッチの科学的な再評価の研究が活発に行われ現在に至っています。それでは、最近の静的ストレッチに関する主要な研究論文を紹介します。
英国のNorthampton大学とオーストラリアのEdith Cowan大学の研究チームによる共同研究結果が、“Effect of acute static stretch on maximal muscle performance: a systematic review” というタイトル記事でMedicine & Science in Sports & Exerciseに掲載されました(2011年6月8日)
その内容骨子は、『静的ストレッチに関する4559件の報告の中から、組み入れ基準に適合する106件の報告を選択してシステマティックレビューを行った結果、静的ストレッチを続けて60秒以上するとマイナス効果が起きる。60秒未満であれば最大限の筋肉パフォーマンスは損なわれない』というものです。
同様の研究がカナダのニューファウンドランド記念大学により行われ、「A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance」というタイトルで同誌に取り上げられています(2011年3月4日):静止ポーズを短くするか、或いは少しでも辛いと感じたら止めるべしと言う内容です。
その他の賛否両論の論文が多々ありますが、肯定論文に共通している点は、短い静的ストレッチがメリットをもたらすとは言っておらず、パフォーマンスを損なわないということであり、それならば何故やる必要があるのだろうかと素朴な疑問が出てきます。
【ポイント】
60秒以上の静的ストレッチは、運動パフォーマンスを損ねる。
運動前には、ウォームアップとしての軽い運動が良いようです。
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