【ノーベル賞受賞者が学術雑誌をボイコットする理由】科学を身近に☆NewStream
旬の話題から自然の摂理が学べる!科学を身近に☆NewStreamです。
今週の科学ニュースを紹介します。
今回のニュースはノーベル賞受賞した科学者が学術雑誌をボイコットしているとの話題です。
そもそも科学者というのは、飯を食べる為には、莫大な研究費が必要で、その為には学術雑誌へ掲載されるといった名声も必要なことから、科学者の職業自体に「構造的な欠陥」を持ち合わせていることは否めません。
しかし、このような志をもった科学者が多くいること、そして彼ら自身で声を上げているということは、可能性として捉えていけるのではないでしょうか。
以下、WIRED(リンク)より引用
■ノーベル賞受賞者が学術雑誌をボイコットする理由
「科学は危機に晒されている。閉鎖的なカーストの手に握られ、独立性があるとはいいがたく、もはや信頼できない」こう語っているのは、細胞内分子輸送を制御するメカニズムの発見によりノーベル医学生理学賞を受賞したばかりのアメリカ人生物学者、ランディ・シェックマンだ。
反カーストの新しいシンボルとして、シェックマンは以前から議論されているある問題について、激しい非難の声を投げかけている。主要な国際学術雑誌である『Nature』『Cell』『Science』は、独裁者にたとえられている。
写真はランディ・シェックマン彼らは科学的重要性よりも、研究のメディア的なアピールを基準にして出版を行う。研究者の側もその権威のため、掲載してもらうために、何でもする(自分たちの研究結果の改変さえする)傾向があるという。
シェックマンの見解によると、こうした雑誌は政府や機関の選択に影響を与えて、ひとりの研究者やひとつの研究の運命を変えることができる。しかし彼の研究室(カリフォルニア大学バークリー校にある)は、こうした雑誌をボイコットするだろう。彼は『ガーディアン』紙にそう語った。今後はどのような種類の論文も提出するのをやめる。雑誌側は自分たちの威信を濫用して科学的プロセスをねじ曲げていて、科学のために打ち砕かれなければならない圧政となっている。少なくとも彼はこのように考えている。シェックマンが強調したように、自分の研究がこうした雑誌に掲載されるのを見たいという誘惑は、研究結果を改変して、より魅力的で「流行」に合ったものにするように研究者たちを追いやっている。こうしたことにより、トレンディではないけれど科学の進歩のために決定的となる発見が犠牲となるかもしれない。
シェックマンは編集者をも攻撃する。彼らは科学者ではないので、研究の内的価値よりもスクープを優先して考えるというのだ。まずお金で、研究はそのあとなのだ。
彼によると、こうした雑誌に掲載される栄誉のために、中国科学アカデミーのような機関が、専門性にかかわらず論文が掲載されるという大仕事に成功した研究者に3万ドルも支払っている。そしてこうした報奨金が、給料の半分にもなる人もいる。
シェックマンは科学コミュニティのすべてのメンバーに、このつくり上げられた秩序を拒否して、むしろオープンアクセスを支持するように誘っている(彼が何年も前からeLifeのサイトに対して行っているように)。「ウォール街が莫大な給料を払う文化をやめなければならないのと同じように、科学は贅沢雑誌の圧政に従うのをやめなくてはなりません」。
「わたしたちは140年以上、科学的重要性を基準にして出版すべき研究を選択してきました」と、『Nature』の編集長、フィリップ・キャンベルは答えた。「わたしたちが著者や批評家から受ける支持が、わたしたちが必要としている唯一の裏付けです。このことは、ある種のメディア的な成功をもたらすことがあります。しかしわたしたちの編集者たちは、これを仕事の目的とは考えていません」。
~引用終わり~
「近代科学そのものへの不完全さ」についてはこれまで、当ブログでも追求しています。
参考
・『科学はどこで道を誤ったのか?』(1)プロローグ~「科学技術は万能」という幻想を打ち砕いた福島原発災害~
・『科学はどこで道を誤ったのか』(14)最終回 ~共同体を悉く解体された古代ギリシャの自分発の“思弁的な自然哲学体系”が、科学が道を誤った源~
上記を踏まえても、科学者だけで社会問題への解決には至らないでしょう。
その為にも素人(他に仕事を持っている)による追求が必要なのだと思います。。。
素人が創る科学の世界~プロローグ『科学的認識はすべて仮説、その神格化が創造の壁』
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