【世界最大級の「植物工場」、宮城に新設】科学を身近に☆NewStream
旬の話題から自然の摂理が学べる!科学を身近に☆NewStreamです。
今週の科学ニュースを紹介します。
宮城県で、世界最大級のLED照明を使った屋内レタス農場がオープンしました。クリーンルームの無農薬栽培で、既存の農法と比べて面積効率は100倍、成長速度は2.5倍、水の使用は1%なのだそうです。
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以下「WIRED.JP」より引用
日本で新たに開設された屋内農場は、植物の成長に最適化された波長のLEDを備えている。
この農場(植物工場)をつくったのは株式会社みらい。嶋村茂治社長は植物生理学者でもある。
宮城県でオープンしたこの農場は、ソニーの半導体工場だった建物の中にある。面積が約2,300平方メートルと、LED照明による屋内農場としては世界最大級で、すでに1日あたり約10,000株のレタスを生産している。
LED照明により、植物の昼と夜のサイクルを、最も効率のよい生産ができるよう調整できる(植物は昼に光合成して、夜に呼吸する)。この屋内農場では、レタスの成長スピードは2.5倍になり、生産物の廃棄も、従来の農場の収穫の約50%から約10%に減少した。しかし、この屋内農場でいちばん感動的なのは、厳格な環境制御と水を循環して利用する方式により、水の使用量が屋外農場のわずか1%で済むところだ。
LED照明はGeneral Electric(GE)社製。GE社は2011年に、コンセプトを持って嶋村氏に接触した。2012年3月に試験が始まり、2013年に最終設計が決まった。この間、薄型化、均質化、および建物内の多湿条件における耐久性の強化のため、照明の設計の見直しが行われた。
※同社サイトによれば、みらいの設立は2004年。すでに13都道府県25カ所以上に導入実績があり、南極昭和基地にも技術提供中。1~500坪まで自由に設計でき、既存の建物をそのまま利用可能。10段分の場合、露地栽培と比較して、面積効率が50倍の生産性という(宮城県にオープンした工場は15段で、面積効率は100倍という)。クリーンルームで無農薬栽培され、レタス以外にも、各種の葉菜を栽培できる。
【ポイント】
やはり特筆すべきは、その生産効率の高さ。成長スピードは2.5倍、廃棄も50%→10%にまで減少し、水の使用量もわずか1%。なにより多段構造とすることで、面積効率は50倍~100倍。この面積効率の高さにより、都市近郊に工場を設置することで、流通コストを大幅に減らすことも可能になるように思われます。
では手放しに工場野菜はいいことばかりなのでしょうか?そのあたりは「るいネット」にも様々な投稿があがっているので紹介します。
> 野菜工場は水耕栽培で、無農薬というが、実際には化学肥料しか使わない。水耕用肥料は硝酸態チッソをそのまま投入しており、堆肥などのような微生物によるアミノ酸化緩衝作用がない。したがって植物体内にストレートに硝酸態チッソとして蓄積されることになり、それを食べれば、唾液によってニトロソアミンという強力な発ガン物質に変異する。
野菜工場の野菜は発ガン野菜だ! 水耕栽培肥料では硝酸態チッソが蓄積される(るいネット)
この投稿によると、野菜工場で使用される「水耕栽培肥料は、発がん性が非常に高い」とのこと。しかし一方で、こんな見解もあります。
>窒素成分をはじめから硝酸態窒素として含んだ化学肥料を用いた場合のほうが、(あくまで一時的に)より多くの硝酸態窒素を植物体内に取り込ませる事は起こりえます。しかし、それがそのまま収穫時の植物内に硝酸態窒素が残存した状態になるということにはなりません。なぜなら十分に光合成が行われる条件下であれば、光合成によって生成された有機物と硝酸が化合し、窒素同化が進むからです。実際に、植物体内に残存している硝酸態窒素の量は「収穫前の日が晴れていたかどうか」といったレベルのことにも左右されます。
(中略)
>日本で「硝酸態窒素がたっぷり残存した青々とした野菜」が市場を席巻していることのより根深い問題は、「おいしさ」や「安全」といった本質的な価値とは関係なく単に「見栄えの良さ」だけで農産物の価値が測られているということでしょう。
硝酸態窒素の植物体への残存について(るいネット)
つまり植物に残留する硝酸態窒素の量は、収穫前に光合成がきちんと行われて、十分体内の窒素を消費できたかによるということ。さらに現代の消費者意識の問題として、「青々した野菜が、新鮮に見える」というのがありますが、実はそれは「硝酸態窒素がたっぷり残存した青々とした野菜」だという事実。
野菜工場であれ、通常の農業であれそこで作られる野菜の安全性に関して、絶えず私たち自身、事実をおさえながら「本当に必要なものは何か?」を考え続ける必要がありそうです。
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