2010-12-15

豊かさ期待とは何か?4 ~私権意識の衰弱構造~

前回までは、私権意識の成立構造について紹介していきました。
今回は、私権意識が衰弱していく過程について、見て行きたいと思います。
 
私権が衰弱していく過程は、大きく4段階あります。
 
1.’70年 豊かさの実現
2.’90年 バブル崩壊
3.’02年 私権観念の挫折
4.’08年 私権観念の消滅
 
 
その変化の起点は、’70年頃、私権意識の原動力となっていた貧困が消滅し、豊かさが実現したことでした。
 
 
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<日本万国博覧会(EXPO’70)>
 
fukafuka’s photo blog より
 
上記、私権衰弱の時代変遷を見ていく上で、下記の投稿と年表、図解を参考にしています。一緒に、ご閲覧願います。
 
「’67~’10までの社会現象」年表
  
「私権意識の衰弱構造」図解
  
9/23なんでや劇場 (3)~私権意識の衰弱構造 (るいネット)
 
 
では、時代を追って、見ていくことにしましょう。
 
 
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■’70年 豊かさの実現
 

●’70年豊かさの実現→物的欠乏と自我が衰弱→(社会を統合してきた)私権収束力の衰弱→豊かさ期待の衰弱→収束不全(目標が無くなるor見失う)。
生物集団であれ人間社会であれ何かに収束することによって統合される(生物は秩序化存在である)が、収束先を見失うと本能次元からの秩序収束が生起する。人類の場合は共認によって秩序形成されているから必然的に共認収束する(みんな、どうなん?どうする?)。私権収束力<共認収束力となり、共認権力であるマスコミが第一権力にのし上がる。しかし、新しい共認収束の答えはマスコミにはない(偽者の第一権力である)。


 
 
豊かさを実現し、「一億層中流化」、「マイホームパパ」という言葉が流行したこの時代、私権追求に変わる収束先がなかった大衆は、一方では「学歴」や「偏差値」などの学歴身分に収束し、また他方、遊び=解脱へと収束していきます。
 
 
 

○私権は衰弱しているのに、学歴身分は強くなっているのは何故か?
大多数の学生の意識は「良い仕事に就くために良い大学」という辺りにある。「良い仕事」の中身は、何らかの社会的期待に応える仕事ということであり、この意識は私権欠乏には包摂されない。無自覚ではあるが、社会の期待に応えたいという意識が学生の潜在意識下で強く働いていることは間違いない。


 
 
潜在的なレベルではありますが、私権追求に変わって、社会の期待に応えたいという欠乏が生起してきたからであり、社会的期待に応える為に、いい大学へという流れが顕著になってきたことが伺えます。また、家庭において、子供に学費を投資するだけの金銭的な余裕が生またれてきたことも、学歴志向を下支えしているといえるでしょう。
 
 
 

○性権力が肥大したのは何故か?
私権時代は男の私有権力と女の性権力がせめぎ合っていたが、’70年私権収束力の衰弱によって私有権力が衰弱した結果、力関係が性権力>私有権力となった。こうして一旦’80年代は性権力が肥大したが、一転して’90年頃私権がトコトンまで衰弱すると自我・私権発で形成された男の性欲が衰弱し始め、’97年頃からセックスレスが蔓延してゆく。


 
 
性権力とは、女が己の性を武器にして、男達を否応なく従わせる権力のことです。
‘80年代初頭の「女子大生ブーム」や「愛人バンク」「金妻」等に表されるように、女達の性を武器にした社会現象が広がっていきます。その頂点が、「アッシー君・ミツグ君」に象徴されるバブル期であったと言っていいでしょう。
 
バブル時代、車やブランド品に代表されるように、華やかな商品がもてはやされ、また日本全国にリゾートの乱開発が行なわれましたが、その背景には、権力者となった女性をいかに振り向かせるか、という動機があったからといえるでしょう。そしてそれらをとことんまで煽ったのが、マスコミといってもいいでしょう。(ex.トレンディードラマやCM等)
 
  
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<お立ち台>
 
 

’70~’80年代は一見、自我が強大化したように見えるが、豊かさの実現によって生存闘争⇒物的欠乏という根っ子を失った相対自我が肥大化したに過ぎない。単なる相対自我は、根無し草に過ぎないので極めて貧弱であり、来るべき共認圧力によって封鎖される運命にある。


 
 
’70~’80年代は、豊かさの実現によって物的欠乏が衰弱、生きていく上で本当に必要なものをほぼ手に入れた後の時代であり、消費の実態は、性や遊び=解脱を媒介にすることで、とことんまで消費を肥大化=過剰消費させていったところにあります。
 
しかしこのような狂乱な時代が長く続くはずもなく、やがてバブル崩壊という形で、終焉を向かえていくことになります。
 
 
 
■’90年 バブル崩壊
 

●’90年バブル崩壊で私権観念が錯乱し、私権収束力は衰退し、豊かさ期待は消滅してゆく。収束不全が強大化しセックスレスが蔓延する一方で、共認収束は半顕在化し、人々は私権追求から離れて別の世界(本源世界)に向かい始める。
また、私権空間における大衆の要求圧力も衰弱したことで、私権空間の空洞化が進む。この空洞化した偽ニッチ空間でやりたい放題の暴走を重ねているのが特権階級である。
かくして、新しい世界に向かい始めた大衆と、衰亡してゆく私権空間に閉じこもる特権階級の世界はどんどん離れていくことになる。これが、特権階級と大衆の世界の断層の拡大である。そして、この衰亡空間の行き着く先は消滅しかない。


 
 
人々がバブルの狂乱のおかしさに気づき、その傷後を癒すかのように、「自然」や「癒し」を求めたり、「ボランティア」の参加や「地べたでウォッチ」、「ポケベルやPHS」、「プリクラ」等つながりツールの登場に象徴されるように、人とのつながりに向かっていくようになります。
 
このようにして、人々が私権空間から興味関心が離れていき、監視圧力が働かず私権空間が無圧力化する一方で、残存する私権制度に守られる形で、私権空間にしがみつき閉じこもったままの特権階級によるやりたい放題の暴走がエスカレートしていくようになっていきます。
 
 
 

かくして、新しい世界に向かい始めた大衆と、衰亡してゆく私権空間に閉じこもる特権階級の世界はどんどん離れていくことになる。これが、特権階級と大衆の世界の断層の拡大である。そして、この衰亡空間の行き着く先は消滅しかない。


 
 
市場に固執する金貸しの手下と化し、その指示にしたがい盲従しているだけの特権階級(学者・官僚・法曹・マスコミ)は、自身の頭では何の状況判断もできず、とことん無能化していきます。
 
そのため特権階級は、暴走度合いを強めるばかりで、彼らからは根本的な改善策が何も提示されず、社会はますます閉塞の度合いを増していくばかりとなります。
 
  
 
 
■’02年 私権観念の挫折と’08年 私権観念の消滅
 

●’02年、株式三番底で私権観念は挫折し、収束不全が顕在化し、本源収束の潮流が生起し始めた。
次いで、’08年世界バブルの崩壊で私権観念は消滅し、私権収束力<本源収束力となり、本源(充足の実現)期待が生起し始めた。


 
 
マスコミの扇動による「小泉フィーバー」や「マスコミの偏向・捏造報道」への違和感の高まりから「マスコミ不信」の拡がりや、「検察の暴走」による検察への不信の高まり、「サブプライム問題」や「リーマンショック」など金融システムのおかしさの露呈とその崩壊に端を発した私権観念の消滅、それに代わる本源収束の潮流の高まりと、大衆の意識潮流は急速に変化していきます。
 
「テレビ離れ」、「若者の仕事収束やマジ話」、さらには「遊びの終焉」など、その急速な変化の具体的な現象といえるでしょう。
 
 
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<リーマンショックを報道する各社新聞>
  
  
そして、’08年世界バブルの崩壊を目の当たりにした大衆の意識から、私権観念が消滅し、ついに私権収束力<本源収束力となります。
 
このことは、社会の統合力(制覇力)が私権収束力から本源収束力に変わった、つまり共同体の時代に移り変わったことを意味しており、’10年度の類グループの好調がそれを実証しているといえるでしょう。
 
 
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<類グループ劇場会議>
  
 
以上、私権の衰弱過程について見てきました。次回は、大衆の意識に生起してきた、本源期待(充足の実現)にスポットを当ててみていきます。
お楽しみに!!
 
 
「’67~’10までの社会現象」年表
  
「私権意識の衰弱構造」図解
  
9/23なんでや劇場 (3)~私権意識の衰弱構造 (るいネット) 
 
 

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