「がん」を考える1~がんの原因は「食の欧米化」・「化学物質」・「健康診断(放射線)」
1980年以降ずっと、日本人の死因の1位である「がん」。今や、3人に1人ががんで死亡しています。
有効な特効薬なども特に発見されておらず、「がんになったら最後」という印象もあるため、がんに対する潜在的な怖さを誰もが抱いていると思います。
そこで本シリーズでは、自然の摂理に照らし合わせて、「がん」とはそもそもどのような問題かを追求し、予防や回復などの可能性を発掘していきます。
まずは状況を把握すべく、がんに関する統計データなどの事実データを読み解き、問題点を抽出していきます。
◆ ◆ ◆ がんに関する基礎データ
◆がんは増えているのか?
リンクより
このデータをみると、
・がんによる死亡者数、全死亡者におけるがん患者の割合は、ともに増加
していることがわかります。ただし、95年以降の全死亡者におけるがん患者の割合は、横ばいです。
がんによる死亡者数は増加の一途ですが、そこには高齢化の影響が大きいです。そこで、高齢化の影響を除いた年齢調整データを見てみます。
リンクより
※年齢調整罹患率とは、もし人口構成が基準人口と同じだったら実現されたであろう罹患率のことで、日本では基準人口として、昭和60年(1985年)モデル人口が用いられます。計算式は、年齢調整罹患率={[基準人口(昭和60年モデル人口)観察集団の各年齢(年齢階級)の罹患率×基準人口集団のその年齢(年齢階級)の人口]の各年齢(年齢階級)}の総和/基準人口集団の総人口(通例人口10万人当たりで表示)。
このデータをみると、
・罹患率は全体的に増加傾向。
・男性は女性より多く、かつ罹患率・死亡率ともに増加傾向。
・ただし近年(’95年以降)は疾患率・死亡率共に減少or横ばいの傾向。
となっています。
では、部位別にみると、どのがんが減って、どのがんが増えているのでしょう?
◆部位別のがん死亡率・罹患率の変化
リンクより
このデータをみると、
・胃がんが大きく減少する一方、腸がんが増加している
・肺がんも’95年頃までは増加、その後は減少傾向。
ことが分かります。
また、年齢調整データで増加しているがんは、「早期化」の傾向も強いと思われます。その詳細をリンクより抜粋します。
このように、1980年と2006年を比べると
・腸がん・生殖系がんは「早期化」し、増加している。特に乳がん・前立腺がん・子宮がんなどの生殖系のがんは、著しく早期化or増加している
ことが分かります。
◆他国との比較
今までは日本国内の話でしたが、外国と比べるとどうでしょうか?
このデータを見ると、
・日本より欧米の方がんによる死亡率が高い。
・世界各国、やはり女性より男性の方が死亡率は高い。
ことが分かります。
以上、がんに関する状況認識として、全体or部位別の罹患率・死亡率の推移を見てきました。
次に、がんの原因を読み解ける事実データを紹介します。①食事、②化学物質、③放射線の3つの観点から、がん発症との相関関係を把握していきます。
◆ ◆ ◆ がんの原因①「食の欧米化」
◆ 肉食が腸癌増加の原因か
1950年代~食の欧米化(肉食、乳製品)が進むに連れて、日本人の腸がんが増加しています。
上のデータは、欧米人が腸がんにかかりやすいことを示しており、食の欧米化が腸がん増加をもたらしたといえるのではないでしょうか?
このことは、国立がんセンターも述べています。
肉を多く食べる日本人は大腸がんになるリスクが高いことが、約8万人を対象にした約10年におよぶ国立がん研究センターの追跡調査でわかった。
岩手や長野、茨城、沖縄など9県在住の45~74歳の男女約8万人を対象に、1995年から2006年まで追跡調査した。このうち大腸がんになった1145人(結腸がん788人、直腸がん357人)について肉類の摂取量との関連を調べたところ、摂取量と結腸がんに関係がみられた。
男性は、肉類全体の摂取量が最も多いグループ(1日当たり約100グラム以上)のリスクが、最も少ないグループ(同約35グラム未満)の1・44倍だった。女性でも、赤肉(牛と豚肉)の摂取量最大のグループ(同約80グラム以上)が、最少グループ(同約25グラム未満)の1・48倍に上った。
リンクより
◆ 牛乳の摂取が前立腺がん発症をもたらす
加えて、こんなデータもあります。リンク
牛乳の消費量と、前立腺がんの発生率も相関関係があるというのです。
日本人の前立腺がんの早期化・増加は、牛乳の消費量増加が原因となっているのではないでしょうか?
以上から、「食の欧米化(肉食・乳製品)」はがんの原因だといえます。
◆ ◆ ◆ がんの原因②「化学物質」
◆ インク洗浄液の化学物質で胆管がんリスクが2900倍!?
今年の9月に、こんなニュースがあったのをご存知でしょうか。
「胆管がん死亡率2900倍!発症原因の化学物質は?」リンク
大阪市のオフセット校正印刷会社「SANYO-CYP(サンヨー・シーワィピー)」が話題となっています。同社では、インクの洗浄作業に携わっていた従業員らが相次いで胆管がんを発症して死亡した問題がありました。今回、産業医科大学の熊谷信二准教授(写真の方)らのグループが調査結果をまとめて発表しました。その結果が驚愕の数字となっています。この職場での胆管がんによる死亡率は、平均的な日本人男性の『2900倍』になる、と。
問題となっているのは、印刷機に付いたインキを頻繁に洗う多用の洗浄剤です。洗浄剤は、動物実験で肝臓にがんを発生させることが分かっている化学物質を含んでいるようです。
と、特定の化学物質が特定のがんの原因となることが示されています。
◆ アメリカの「化学物質ががんの原因」とするレポート
また、アメリカでは「化学物質ががんの原因」とするレポートが発表されたそうです。リンクより引用
ガンの原因は、遺伝でも体質でもなく、「環境汚染のせい」! これは多くの人が持つ直感だと思いますが、最近、これは「仮説」ではなく、事実であることを示す報告がぞくぞく出ています。
つい先日,米のNGOのサイトで、アメリカの「大統領ガン諮問委員会」が、「化学物質の脅威」を強調した200ページの報告書を出したことを知りました。リンク
「化学物質」もがんの原因と見て間違いないでしょう。
◆ ◆ ◆ がんの原因③「放射線」
◆ 健康診断が、がんを招く
参考:リンク
上記は、2004年2月10日の読売新聞の記事です。「国内でがんにかかる人の3.2%は、医療機関での放射線診断による被曝が原因の発がんと推定されることが、英・オックスフォード大グループが行った初の国際的な研究で明らかになった。」という、英国の医学誌「ランセット」からの紹介記事となっています。
がんと健康診断との相関関係は、どの程度のものなのでしょうか?
このデータを見ると、
・X線受診者数推移と、その28年後の肺がん・乳がん死亡者数の推移とは相関している
といえます。
これが事実なら、なんと健康診断はがんの「早期発見」でなく「早期発症」を招いていた、ということになります。
◆ 健康診断の「X線被曝」と「誤診」でがんになる
信じ難いことですが、有り得る話です。以下は、「新がん革命」(安保徹・船瀬俊介・キ ジュンソン著)(ヒカルランド)という書籍の紹介記事です。
(以下引用)
まず、「検診でガンにされる」とは、どういうことかというと、次の2点が挙げられます。
第1に、「チェコ・リポート」で明確になった、X線被曝によるガンの発生です。胸部X線撮影という弱い瞬間被曝でも発ガンするのです。それよりも桁違いに大きな被曝をさせるCTスキャンとなると、被害は実に甚大で、日本人のガン患者10人に1人はCTによる発ガンであると言う医師もいらっしゃるほどです。
第2に、誤診です。放置しておいても問題のない良性のものと死に至る悪性のものとの区別がつかないのです。」
リンク より
上記のように、「X線被曝」と「誤診」によって、健康診断ががんの原因となりうるのです。
また、放射線という意味では、3.11原発事故による放射性物質の広がりは、やはり今後のがん増加に繋がる懸念事項の一つとして受け止める必要があります。
◆ ◆ ◆ がんとは何なのか?
今回は、がんの罹患率と死亡率の推移、がんとその原因として考えられるものとの相関性を、統計データなどの事実データからみてきました。その結果、がんの原因としては①食の欧米化、②化学物質、③放射線の少なくとも3つが考えられることが分かりました。
そして、それぞれがどのように影響してがんになるのか、共通のメカニズムは何か等を掴むことが、がんの予防or回復の可能性発掘に有効だと思われます。つまり「がんとは何か」を根本から追求する必要があり、今後このシリーズで解明していく予定です。
その前に、次回は、がんに関する状況認識として、現在の「がん治療の実態」を把握します。がんの3大療法といえば「摘出手術」「放射線治療」「抗がん剤」。これらの効果はどうなのか?
次回は「がん治療の実態」を明らかにします。
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