2013-01-10

【時代認識】6~この行き詰った社会をどう再生するか~

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ここまで5回にわたってお送りしてきた年末年始特別企画~最新の「時代認識」を追求するシリーズ~の最終回です。
《ここまでの記事》
【次代認識】1~いま、社会の基底部で何が起きているのか
【次代認識】2~私権の終焉と市場の縮小と権力の暴走
【次代認識】3~新しい活力源=周りの期待に応える充足
【次代認識】4~先行して共同体を実現した類グループ
【次代認識】5~共同体の母胎は女性が生み出す充足空間

最終回は、ここまでの内容を振り返り、現在の「行き詰まった社会をどう再生するか」の核心に迫ります。

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◆ ◆ ◆ 脱市場・脱序列・脱洗脳(→脱旧観念)

◆ 貧困の消滅 → 豊かさの実現
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日本を震撼させた阪神大震災と東北大震災後も、外国では当たり前のように起こる自暴自棄なパニックな行動や暴動・略奪などの大混乱は起こらず、震災の現実を直視し受け入れ、落ち着いて被災者同士が助け合いながら秩序を保った。
このことでも証明されたが、日本は、‘45年の戦後の焼き野原で誰もが飢えていた状態から、古来以来脈々と受け継がれてきた、周りの想いに同化し共に認め合い行動することを充足の源とし、皆の役に立ち喜んでもらえることを活力の源とする本源性から生まれる「勤勉性」により奇跡的な復興を遂げ、1970年頃には貧困を脱し豊かさを実現した。

◆ 近代市場の終焉
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しかしながら、豊かさを実現し物的欠乏が衰弱した1970年以降は、市場は実態的には拡大停止状態に陥っているにもかかわらず、“市場拡大は絶対である”という固定観念に導かれ、不足する需要を補おうと、‘70年代の無駄な公共投資からはじまり‘80年代の福祉ばら撒きなどを通じ、国債を大乱発(国の借金)したため、市場に放出された行き場の無い金が、実体経済から乖離した株や土地などの投機市場を肥大(バブル化)させた。
そしてその限界として1991年にそのバブルが崩壊すると、日本経済は大混乱と停滞に追い込まれるが、その後も“市場拡大は絶対”をすべての第一価値としてさらに国の借金を増し続け、IT市場から金融市場に邁進し、2001年の小泉政権でさらに新自由主義(市場主義)を推し進め“格差社会”を増大させた。

そして同時期の2000年頃には世界的な金融市場の肥大が起こるが、金融市場が世界のGDP(約5000兆円)の4倍、さらにはデリバティブ総額が14倍という驚くべき額に膨張し、2008年のリーマンショックにより世界的な金融バブルの崩壊が起こり、実態のないバクチの金融経済の恐ろしさと脆さをまざまざと世界に露呈した。そして同時に、実体経済と乖離したバクチ金融市場だけでは済まず実体経済にも大打撃を与え、日本の産業を支える中小企業ばかりか2012年には日本を代表する大企業(パナソニック、ソニー、シャープ)が軒並み大赤字に転落し、存続の危機に直面するほど待ったなしの事業縮小に迫られている。

それでも未だに市場拡大は絶対と国の借金を膨らませ続けた結果、今や日本の借金は1,000兆円と途方もない金額になっている。しかし、これほどの額の資金を市場に注入しても、(日本を含め)世界的な市場縮小に向けた急速な動きは最早止められず、そして日本を筆頭に各国の膨大な借金とバクチ経済のツケで、世界経済はいつ崩壊してもおかしくない状況にある。

またその間、環境について見ても、‘80年代以降、市場を拡大させるために持ち上げられ、逆にエネルギーの過剰消費にもつながるリサイクルなど実体を伴なわない政策が推進され、仕舞には、人為的CO2を原因とする地球温暖化が捏造され、排出権取引やエコポイント等などのトンデモの市場活性政策が打ち出され無駄なお金が市場に流れた。そして、極め付けは、原発は安全でクリーンエネルギーの神話を捏造して、日本に60基近くもの原発をつくり、日本はいつ破壊してもおかしくない状況にある。

◆ 特権階級の暴走
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一方、(このような状況を招くまで)これまで社会統合の課題を担ってきたのは、(いずれも国際金融資本家=金貸しの手先に堕落した)政治家と彼らを実質操っている官僚(検察を含む)に御用学者と宣教機関のマスコミだが、2011年3月11日の東日本大震災と福島原発大惨事を契機に、彼らはエリート意識に凝り固まった私権主義者であるだけではなく、信じられないくらい無能で、庶民(の生命まで)を蔑ろに暴走していることが白日の下となった。
現在の統合階級が行っていることは、現在の安倍政権が推し進めようとしている国債の大乱発のように、無策に国の借金を積み上げるしか能が無く、その果てに郵政民営化も今回の消費税増税も、TPPも、何もかもそうであるが、とことん国民から毟り取って自分たちの権力の延命を図ることばかりに頭を使い暴走し続けている。
しかしながら、彼らも私権時代の終焉から共認時代の到来という時代の流れには逆らえず、権力保持に追い詰められた特権階級は、遂に、今回の衆議院選において“不正選挙”という信じ難いほど正気を失った暴挙を犯すまでになっている。

◆ 私権の終焉
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その結果、庶民は、市場社会の終焉、社会統合を担ってきた特権階級の暴走、さらにはそれらを導いてきた民主主義や経済学さらには原発を生んだ近代科学への欺瞞性に気付き始め、もはや既存の市場には可能性はない、特権階級には任せておけない、そして既存の価値観・理論は全く役に立たないと、「脱市場」・「脱序列」・「脱洗脳(→脱旧観念)」という、既存の私権パラダイムへの収束不全が顕在化しだしている。

◆ ◆ ◆ 充足発の自給期待

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そして更に、「’90経済危機→危機感発の目先の安定志向」ではなく「’70豊かさの実現→充足可能性発の安定志向」から、“では、どうする?”という可能性探索の意識潮流が生じる。
それが、自分で生きていくための仕組みや場を自ら形成していきたいという当事者の期待=『自給期待』である。
この自給期待の中身は、危機感発の目先の資格や専門能力といった狭い職能ではなく、市場・序列・旧観念という既存の私権パラダイムを突き抜けて、充足発で次代を生き抜く能力を身につけたいという期待である。
そしてその能力の中身は、次代を読み現実の可能性を主体的に考え答を出して集団そして社会を統合するための能力=「認識力」と、全ての活力の源泉であり認識力を生み出す母胎となる充足空間をつくる能力=「充足力」、すなわち『共認形成力』に他ならない。

Q.では、『自給期待⇒共認形成力』の基盤は?

◆ ◆ ◆ 生産体の共同体化 ⇒ 共同体ネットワーク

学生に与う6 この行き詰った社会をどう再生するか

 このように、共同体・類グループは、充足力・認識力に支えられて高い生産性を維持しつつ、拡大成長を続けてきた。しかし、社会あっての企業であり、気になるのは崩壊寸前とも見える社会である。借金を積み上げるしか能がなく、その果てに国民から毟り取ることしか考えずに暴走し続ける悪徳エリートたちに、もはや社会の統合を任せておけないことは明らかであり、社会の統合も国民が自分たちの手で担ってゆくしかないと、腹を固める必要がある。

 では、私たちは何をなすべきか。過去、原始共同体に代わって登場した古代の武力支配の社会であれ、それに代わって登場した近代の資力支配の社会であれ、新しい社会は、常に新しい生産体を結集した生産勢力によって実現されてきた。
従って、社会を変革し、かつ統合するためには、一定の新しい生産体を結集した新生産勢力が必要になる。そして、次の新しい共同体社会の原点をなすのは、共同体企業である。従って、既存の企業(あるいは新企業)を共同体化し、ネットワークでつなぐ大事業が不可欠になる。それは、新しい共同体社会を建設してゆく壮大な事業となるだろう。

可能性の実現基盤は、自分たちの生きる場は自分たちでつくってゆく「共同体」であり、そこで充足力と認識力を育むことで共認形成力が獲得できる。
そして、その起点になるのが「生産体を共同体化」することです。
そして、共同体同士を結ぶ「共同体ネットワーク」を構築した共同体社会が、暴走する特権階級がつくりだした旧い社会から突き抜け新たな社会の建設につながる。

そして、紹介した最先端で共同体企業を実現している類グループだけではなく、誰もが組織の当事者として共認形成に関わる経営をしていく「企業の共同体化」の萌芽は生まれ始めています。

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「これからは共同体の時代『1.可能性のある集団の事例』

「事実の共認が羅針盤」 ~名南製作所のやり方~

中小企業間で培われてきた共同体質

『学習企業せきがはら人間村』という共同体企業

世代を超えて謙虚に学びあう共同体組織を実現・・・『加藤製作所』さん

市場原理を超えて社会貢献をする企業 -鈴木産業株式会社-

時代は共認時代!! ~共認原理で運営している会社『沖縄教育出版』~

また、これまでの地方自治体は、自治と言いながら実態は国の下請けが大半で、無駄の多い公務員、時代遅れの組織体制で、地域住民は税金を納めてたまにサービスを受けるだけで、到底住民による自治と言えない存在であった。今後は、共同体企業が地域自治の基本単位となり、地方自治体はその生産体に吸収もしくは解体されてゆくだろう
その先駆的な兆候として、既存の市場を脱し、住民出資により自ら事業を起こし地域に密着した共同体運営により、地域住民の活力と生産を再生させている「地域自治体の共同体化」の萌芽も生まれ始めています。

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自然エネルギーで自給できている町~葛巻町バイオマスタウン構想~

福岡県築上町の取組み~うんちとおしっこがお米を育てる~

岩手県住田町の森林・林業日本一のまちづくり

自分たちの手で震災復興を目指している島民たち~海の子再生プロジェクト~

グリーンエネルギー青森と市民風車わんず

自然エネルギーの分野では、すでにそういった住民や地域の出資による電力会社やファンドが立ち上がりつつある「全国での事例一覧」

紹介した事例の中身は、

既成の価値観を廃して「自然の摂理を謙虚に学び」、旧い序列を廃して「誰もが認められる事実の共認」で組織を統合してゆこうとしている。

利益に直接結びつく経営指針だけではなく、みんなが求めているのは共認充足であり、それが最大の活力源であることを潜在思念で明確に捉え、共認充足をつくりだす“場や仕組み”をつくり、社員の活力をあげ、それが企業の成果へと繋がっている。

市場原理に基づいた大量生産、大量消費が美徳とされた時代においてさえ、“物質の循環”、“人と人との関係”という本質に気付いた経営で生き抜き、社会にとって「必要か否か」という新しい判断軸を経営の指針にしている。

地域に密着した中小企業同士が、互いに協働してネットワークをつくってゆこうとしている。

地域の住民が出資して自給できる自然エネルギー事業を起こし、それを媒体に地域産業の雇用の創出、地域社会への貢献、次代の担い手の育成など、地に足を付けて成果を上げている。

◆ ◆ ◆ 

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共同体化は、“自分たちの生きる場は自分たちでつくろう”と、充足性・肯定性の高い女性が生み出す充足空間を基盤に、みんなとの共認充足を最大の活力源とし、誰もが認められる事実の共認で集団を統合してゆくことです。

そして、単一の集団を超えた社会的視座に立って社会の役に立つために、紹介した企業を含め、農業、エネルギー、流通、情報、介護、教育など、これからの共認社会においても必要とされる業態を中心に、生産を紐帯とした共同体同士を結びつけ、充足発の協働関係を築きネットワーク化してゆく。

この課題を実現してゆくことこそが、次代の『共同体ネットワーク社会=新しい共同体社会』を実現することになります。

そして、下の記事のように、それに向けて、今や各業界は大きく転換が迫られていると同時に次代の可能性が開かれようとしています。

【参照】

「これからは共同体の時代『業界分析と展望シリーズ ★総集編☆.。.:*』」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

本ブログも、その一助となれるよう、自然の摂理に則った事実を追求し発信してゆきますので、本年もよろしくお願いいたします。

<了>

List    投稿者 kirin | 2013-01-10 | Posted in A.史的構造認識から紐解く環境, A05.時代認識No Comments » 

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