2022-09-06

「ビッグバンは起きていない」。物理学者が宇宙誕生前の痕跡を探る!

画像はこちらからお借りしました

『科学的認識はすべて仮説、その神格化が創造の壁』

☆ブラックホールとの関係では『宇宙網と呼ばれる水素プラズマネットワークが、プラズマ宇宙論の正しさを証明』

『電磁力により、分散力と統合力がバランスすることで動的平衡の銀河が形成される』

でも書いたが、

物事には始まりがあるというビックバン宇宙論に潜む世界観は『神による世界の創造』と非常に似通っている。それは、始まり(神の創造)の前はどうだったのか?という疑問を封印するという論理構造をもっているからだ。これは、キリスト教の天地創造での『神は言われた。 「光あれ。」 こうして、光があった。』を表しているととれる。

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その発想を世に知らしめたのは、牧師のルメートル。彼の結論は、「宇宙は膨張している」だった。彼は1927年に「膨張宇宙論」を発表した。

>その後、スティーブン・ホーキングによりさらに論理化され、それは、カトリック教会は、神の存在がより科学的に証明されたという非常に喜ばしいこととたたえた。

そして、教皇庁科学アカデミーの創設者ピウス11世にちなんだ金メダルをホーキング博士に授与したうえ、このアカデミーが主催する国際会議にホーキングを招待した際には、当時の教皇ヨハネ・パウロ2世は、車椅子に乗ったホーキングが現れるとみずから床に膝をついて出迎え、その場にいた人たちを驚かせた・・・「特異点なき宇宙」を求めたホーキングを要約

このような歴史のあるビックバン宇宙論だが、特異点(≒始まりの段階)では従来の物理学的法則を全く適用できないなど様々な矛盾もあるし、キリスト教以外の世界の人からは、とても科学とは思えないという感覚が付きまとう。

それに対して『電磁力により、分散力と統合力がバランスすることで動的平衡の銀河が形成される』という仮説も考えられるが、今回は、この仮説と親近性のある、分散力と統合力を、収縮と膨張が平衡する宇宙という視点で統合する仮説を紹介する。

「ビッグバンは起きていない」。物理学者が宇宙誕生前の痕跡を探る!

ビッグバン理論は、宇宙の誕生と進化を説明するのに最も広く認知されています。しかし、科学者の間では、この理論について意見の一致がほとんどありません。

ブラジルの物理学者ジュリアーノ・セザール・シルバ・ネーベスが属する研究グループでは、宇宙誕生の別モデルの構想に挑んでいます。General Relativity and Gravitation(一般相対性理論と重力)誌で先日発表した研究において、ネーベスは、標準的宇宙論モデルの鍵になる「ビッグバンという時空の特異点」はもはや必要ないと提言しました。これに加えて、ネーベスは、時間に始まりがあったとの説に異を唱え、宇宙には現在進行中の膨張過程の前に収縮過程があった可能性を再提起しています。

ビッグバンは起きていない?

「そもそも、ビッグバンなど起きていません」

カンピーナス大学 数学・統計学・科学技術計算研究所(IMECC-UNICAMP: University of Campinas’s Mathematics, Statistics & Scientific Computation Institute、ブラジル・サンパウロ州)研究員である物理学者もこう断言しています。

ネーベスの立場では、時空に高速膨張段階があるのならば、それに先立つ収縮段階があった可能性も考えることになります。そして、収縮から膨張に段階が切り替っても、収縮段階の痕跡が消えるわけではありません。

「物理学と時空幾何学」プロジェクトでの取組による研究論文では、宇宙の幾何学を記述する一般相対性理論方程式の解について考察した後、宇宙膨張率を時間だけでなく宇宙スケールでも計量する「スケール因子」の導入が提唱されています。「ビッグバンがあったとする標準的宇宙論では、宇宙膨張率を計量するのに、宇宙時間だけに依拠した数学的関数を用いています」と述べた上で、ネーベスはアルベルト・バスケス・サー教授(IMECC-UNICAMP)と共にこの問題について詳述しています。

スケール因子を導入すれば、宇宙論的特異点であるビッグバン自体は、宇宙が膨張を始めることの必要条件でなくなります。不定性を表現する数学の概念から借りた「特異点」という言葉は、宇宙学者が138億年前の宇宙の原初状態を特徴づけるために用いたものです。原初宇宙は、全ての物質やエネルギーが無限の高温高密度状態に圧縮され、従来の物理学的法則を全く適用できない世界です。

ビッグバン理論の起源は1920年代後半、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが、ほぼ全ての銀河が互いにかつてない速さで遠ざかっていることを発見したことに遡ります。そして、1940年代以降、科学者らが、アインシュタインの一般相対性理論に基づき、ビッグバン後の宇宙進化の詳細モデルを構築しました。このモデルから、宇宙の結末として考えられる3つの可能性が導かれました。

①無限の加速膨張

②膨張の永続的停滞

③自身の質量が持つ重力によって膨張から収縮に反転する収束過程(ビッグクランチ)

です。

「特異点やビッグバンの考えを斥けることで、反跳する宇宙が宇宙論の理論的俎上に上がります。そして、時空の開始に特異点を想定しないことで、宇宙進化の過程が収縮から膨張に変化しても収縮過程の痕跡は残り、現在膨張中の宇宙においても我々はその痕跡を確認できるという可能性が開けてくるのです」とネーベスは言います。

ネーベスが構想する「反跳する宇宙論」は、次のような仮説に基づきます。すなわち、宇宙はビッグクランチ後、その収束過程をまた反転するために密度・温度の極限状態を作っては、再び反跳して膨張過程に移行するという形で、膨張と収縮を永続的に繰り返すのです。

収縮の痕跡を探せ!

ネーベスは、ブラックホールを起点にして「反跳する宇宙」の理論的探究を開始します。「ひょっとすると、膨張し続ける現宇宙にも、その前段階である収縮過程で生じて反跳の衝撃を無傷のまま潜り抜けてきたブラックホールがその痕跡を残しているかもしれません」とネーベスは言います。

ブラックホールは、巨星爆発後に残る内破したコアから成り、そのコアが特異点を持つまでに収縮した天体です。この特異点は、密度と重力が無限大であることが確認されています。そのため、あらゆるものが、光さえ、ブラックホールからは脱出できません。

ネーベスによれば、ブラックホールを特徴づけるのは、特異点でなく、むしろ事象の地平面です。それは、あらゆるものを呑み込んで圧し潰してしまう特異点の引力から脱出できなくなる帰還限界点を示す境界面です。「通常のブラックホールにおいて、事象の地平面の外部で大きな変化はありませんが、その内部では様々な変化が深在しています。特異点を持たない別の時空が存在するのです」。

ネーベスとサーが定式化したスケール因子は、アメリカの物理学者ジェームズ・バーディーンから発想を得たものです。バーディーンは1968年、ある数学的方略を用いて、ブラックホールを記述する一般相対性理論方程式の解に変更を加えました。その方略は、ブラックホールの質量を、それまでのように定数と見るのでなく、中心部までの距離に依拠した関数と捉えるものです。この変更された方程式の解から、ブラックホールの新たな姿が立ち現れました。これを「通常のブラックホール」(a regular black hole)と名付けます。

「この“通常のブラックホール”は容認可能です。一般相対性理論に反しないからです。それに、この考えは決して新しいものでなく、この数十年の間に幾度も検討を重ねてきたものです」とネーベスは言います。

数学的方略を一般相対性理論方程式に盛り込むことで、通常のブラックホールに特異点を想定する必要がなくなりました。そのため、ネーベスは、これと似た方略を編み出し、通常の反跳における特異点も斥けることを考えました。

現代科学において、理論は、それがいかに立派で刺戟的なものでも、実証できなければ無価値です。特異点のないビッグバンの仮説をどう検証するのでしょうか。「膨張中の現宇宙にも残存する可能性のある、収縮過程における事象の痕跡を探します。その対象には、反跳を潜り抜けてきたと考えられる収縮過程からのブラックホールの残余物も含みます」とネーベスは言っています。

List    投稿者 sinsin | 2022-09-06 | Posted in C01.宇 宙No Comments » 

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