東北地方太平洋沖地震~原発は必要か否か13~治外法権を確立してきた原発推進体制~
東北地方太平洋沖地震発生から2週間がたちました。
解決に向けて自らの命をかけて復旧に奔走してくださっている現場の東電社員、自衛隊員、各自治体の消防隊員の方々には心から感謝いたします。また、災害にあわれた関係者の方々には心よりお見舞い申し上げます。
自然の摂理から環境を考える~原子力発電シリーズでは、核エネルギーを利用した発電システムの概要から、原子力発電をめぐる世界の動き、原子力発電の廃棄物問題を取り上げてきました。
今まで、多くの人々は、原発は「クリーンだ 」「安全だ 」と言われていて、「そうなんだ 🙄 」としか思っていなかったのだと思います。私自身も、その一人でした しかし、一年位前から原子力の勉強をするようになり、核反応とは何か?原子力発電がどれだけ危険なものなのか?など、少しずつ理解できるようになってきました。
今回の、『原発は必要か否か』シリーズ投稿でもその危険性は明らかにされてきましたが、ここでわ」いてくる疑問。
『なぜ、本当は危険なのに、原子力発電が推進され、建設され続けてきたのか 』
今回は、『サブガバメントモデルを支える電気料金の仕組み』というテーマで、原子力推進体制の問題を紹介したいと思います。この内容は、『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電シリーズで一年ほど前に記事にしたものです。この記事の骨子を現在の問題にひきつけて再編集しました。詳しくは、もとの記事を参照してください。
☆『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電13~ サブガバメントモデルを支える電気料金の仕組み1/2
☆『次代を担う、エネルギー・資源』 トリウム原子力発電14~サブガバメントモデルを支える電気料金の仕組み2/2
☆『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電15~原子力発電の推進体制を考える2・・・共認収束の潮流に逆行する原子力推進体制
☆☆☆原子力発電の何が危険なのか~推進体制が孕む危険性
☆都合の悪い現実が覆い隠される危険性
これほどの危険性を持つ原子力がなぜここまで推進されてきたのか、そして私達はなぜ原子力は安全だと思ってしまったのでしょうか。
原子力開発の推進理由は次から次へと変わっています。初期は、夢のエネルギーとして、石油に比べて効率的優位性が謡われていました。次に、効率的優位性は無いことが明らかになり、石油に代わり増加するエネルギー消費をまかなえるのは原子力だけという理由に変更されました。そして現在、温暖化を防ぐ救世主としての原子力という理由が主流になってきました。 このように、首尾一貫した理由は無いにも拘わらず、長年の間、計画的に原子力発電所が建設されてきました。
世界で唯一の被爆国である日本では、原子力発電の導入は抵抗が強く反対運動がふきあれました。しかし、読売新聞をはじめとしたマスコミの「平和利用」「夢のエネルギー」というキャンペーンもあいまって、あっという間に導入されることになりました。
一方では、その後も数多く発生する原発事故を受けて、反原発意識が高まっていきますが、次々と変わる原発推進理由は、結果的にこうした都合の悪い現実を覆い隠す形となっています。
都合の悪い部分は隠蔽しながら、開発を進める原子力技術開発の問題も、冒頭に述べたような「なんとなくだが原子力発電は安全」と思わされていくのもこの意図的な社会共認によるものなのです。
☆官僚制度そのものが孕む構造的欠陥
上記のような現象がまかりとおってしまう構造的欠陥は官僚制度そのものにあります。
企業集団のような民間集団であれば、競合集団が存在しているため、社会が必要としていないのに、自らの集団の膨張のみを目的とするような馬鹿げた集団は淘汰されるしかない。しかし集団を超えた国家の次元に位置する「官僚機構」には企業間競争のような同類闘争の競争圧力は働きにくくなります。そうした集団間競争という圧力を超えたところに位置するという特権性は、官僚機構が自閉化し、腐敗する構造的原因をなしているのです。つまり超集団=社会を統合する組織が単一の集団である、という点が、「官僚機構」の最大の問題なのです。
その結果、
国益よりは省益、省益よりは私益(特別会計による省益の拡大)
無駄事業の量産(公共事業と天下り構造・官僚個人の私益の追求)
特定の専門家集団の暴走(官僚機構の際限のない肥大化)
環境問題の改革を進めるには、新しい社会統合機構が不可欠!8『官僚制の突破口は、「半専任・半事業⇒参勤交代制」』
ということになってしまっています。
これが官僚制度そのものが孕む構造的欠陥なのです。
☆☆☆官僚制度がはらむ具体的問題構造 ~治外法権を確立してきた原発推進体制~
では、その官僚制度が孕む問題構造を、具体的に見ていきたいと思います。
☆日本の原子力開発推進体制=サブガバメントモデル
日本が原子力開発を推し進められたのは、官僚機構・電力会社を中心とした、政府からおおむね独立して意思決定を行える集団が、その制度を自ら強化し推進できる、自己増殖体制を確立したからです。アメリカの軍産複合体と酷似した体制的特長をもち、サブガバメントモデルとも言われています。
サブガバメント組織をもう少し具体的に言うと、経済産業省(旧通産省)・文部科学省(旧科学技術庁)・これら官僚機構の所轄団体である、独立行政法人等(核燃料サイクル開発機構等)・経済産業省支配下の10電力会社の利害を共にする連合組織です。
この組織は、政府内小政府とも言うべき性格を持ち合わせていて、政府からほぼ独立して、自らの組織に有利な意思決定を行うことが出来ます。
☆自己増殖を加速する体制
日本の原子力行政は、日本における原子力政策の最高意思決定機関である、内閣府に設置された原子力委員会が政策の決定を行うことになっています。これには、原子力の推進も安全確保も含まれていました。その後、原子力委員会から分離して安全だけを監視する原子力安全委員会が発足しましたが、両者は同じ内閣府内にあり、かつ、許認可を司る十分な体制を持ち合わせていません。その実態は、諮問機関(意見を述べるだけで実務能力が無い機関)のような存在で、実質の許認可や規制権限は、実務官庁である、旧文部省内の科学技庁と、商用電力の拡大のための原子力導入を担う旧通産省の下にあったといっても過言ではありません。ようするに、推進する側の組織が規制も行うという治外法権の意思決定体制であったと見ていいでしょう(アメリカの原子力規制委員会は、もう少し独立性が高く、多くの実務スタッフも抱えています)。
もう少し内部を見てみると、実務官庁としては、国産の技術開発と規制などの行政全般を扱う旧文部省内の科学技庁と、商用電力の拡大のための原子力導入を担う旧通産省・電力会社グループがあり、ある程度の牽制構造がありました。このとき、最高意思決定機関である原子力委員会の事務局は科学技術庁が担当し、科学技術省長官は原子力委員会委員長を務めていました。このため、科学技術庁の力は大きく、電力産業振興のための原発開発や外国からの原子炉購入に積極的な、旧通産省・電力会社グループの活動に実質的な圧力を、ある程度はかけることができていました。
しかし、科学技術庁グループは、旧通産省・電力会社グループのように電気代も含めた独自の財源に乏しく、かつ難易度の高い技術開発のみ担うという役割のため、赤字体質や多くの事故等により次第に組織の力を失っていきました。そして、度重なる事故で評価の下がったあとに実施された2001年省庁再編の際に、科学技術庁は文部科学省の一内局に格下げとなり、原発推進のみを役割とする経済産業省(旧通産省・電力会社グループ)が規制をほとんど受けずに活動ができるようになりました。
この時、「それでは安全はどうする?」という世論をかわす為に、同じ経済産業省内に原子力安全保安院を設置したのです。同じ省庁の官僚が、同僚を監視するのは限界があるので、これでは独立性は下がって当然です。これを、正当化するために、独立した人事を行う規定等を設けていますが、そのこと自体がこの組織は独立性がないことを吐露しているようなものです。
こうして、当初から規制の働きにくい体制だったものが、ますます監視の圧力が働かなくなりました。それゆえに、原発の推進は、事故の多発にもかかわらず、ほぼ当初の年次計画通りに建設されていったのです。このように、原発開発は「危険な原発はやめて欲しい」という国民の期待を遮断し、自己増殖を推し進めることが可能な体制の中で行われてきたのです。
☆☆☆原発推進組織の資金源としての電気料金 ~治外法権を実現する資金獲得システム~
☆電気料金に含まれる電源開発促進税
このような組織が存在可能な理由の一つは、その組織維持に必要な資金を自らの手で獲得できることがあげられます。その獲得方法に私たちに密接に関係する、『電気料金』が使われているのです。
電気料金の中には、電源開発促進税という税金が含まれています。
電源開発促進税とは、電源開発促進税法に基づいて、発電施設の設置促進、運転の円滑化、利用促進、安全確保、電気の供給の円滑化などを目的に、一般電気事業者の販売電気に課す税金です。
創設時(1974年)の目的は、当時のオイルショックにより石油に代わる代替エネルギーを模索し、原子力発電所などの設置を促進するために制定されました。
納税義務者は電力会社となり、2007年4月1日段階では、1000kwhにつき375円と制定されています。
税収の推移は
1997年度(平成9年度) – 3539億5400万円
1998年度(平成10年度) – 3572億9200万円
1999年度(平成11年度) – 3650億9100万円
2000年度(平成12年度) – 3745億5900万円
2001年度(平成13年度) – 3686億2000万円
2002年度(平成14年度) – 3767億9100万円
(※財務省の統計を参照)
以上のとおり、膨大な税収です。
納税義務者は電力会社ですが、その電力会社に電気料金を支払っているのは私たち一般家庭です。つまり、電気料金にかかる5%の消費税に加え、名目は違えど、更なる税金を私たちは知らず知らずのうちに支払っているのです。
この電気料金の中に含まれている税金=電源開発促進税をはじめとする税金は、特別会計に入っているため国民の監視の目が行き届かず、官僚を中心としたサブガバメント組織を支え、自らの組織の拡大、増殖を可能にする資金源となっています。
では、これら徴収された税金はどのように使われているのでしょうか。
☆獲得した資金源を利用した原発反対派の押さえ込み
電源開発促進税として徴収された税金の使い道は、主には
①電源立地特別交付金:企業導入・産業近代化事業、企業立地資金貸付事業等に要する費用
②電源地域振興促進事業費補助金:電源地域への企業立地等を促進するための企業に対する費用
③電源立地等初期対策交付金:発電用施設等の立地にかかる合意の形成に資する知識の普及、企業導入・産業近代化等の事業に要する費用
となっています。
簡略化したのが下記のとおりとなります。
上記の表は経済産業省資源エネルギー庁がモデルケースとして出力135万kWの原子力発電所の立地に伴う財源効果を試算したもので、環境影響評価開始の翌年から運転開始までの10年間で合計約391億円、その後運転開始の翌年度から10年間で合計約502億円となります。20年間では、電源立地地域対策交付金が545億円、固定資産税が348億円で合計約893億円もの額に上ることになります。
過疎化に悩む自治体にとって、20年間で総額893億円という交付金と固定資産税は大きな魅力となり、原理力発電所の立地が推進されることとなります。しかし、運転開始後の固定資産税は設備の減価償却に伴い年々減少していくため、運転開始語十年、二十年とたつと自治体の収入が急激に減少していきます。
そうなると、地元は再び次の原発建設を誘致しないと税収を確保できなり、同じ地域に増設していくことになります。この時点では当初の原発反対運動は影を潜め、初回建設に比べればはるかに容易に増設できるようになっているのです。原発の集中立地が目立つ背景には、こうした交付金制度の存在があるからです。
☆新たなエネルギー開発体制の仕組みを考えていく
冒頭にも上げましたが、「なぜ、本当は危険なのに、原子力発電が推進され、建設され続けてきたのか?」という疑問。
それは、エネルギー開発資金が特定の権限をもった利権集団に集中し、政府からほぼ独立して、自らの組織に有利な意思決定を行うことが出来きる仕組み=体制となっていることにあります。官僚が国民のために動くのではなく、自らの利益の獲得のために、法的にも資金的にも支えられている体制こそが最大の問題なのです。
それを突破していくためには、単に、原子力発電の反対や批判、要求だけでなく、消費者が自らが『どのようにエネルギー供給を担っていくか?』『社会全体のエネルギー供給はどうあるべきか?』といった新たなエネルギー開発の政策やシステムを考えていく必要があります。
そのための具体策案として、
環境問題の改革を進めるには、新しい社会統合機構が不可欠!8『官僚制の突破口は「半専任・半事業⇒参勤交代制」』
があります。是非ご一読ください。
今回の災害と原発事故を期に、原子力そのものが必要か否かを判断を行うように変化してきました。つまり、みんなで社会のことを考えていける基盤が整いはじめたともいえます。今は、この災害を教訓にし、整いつつある基盤を足がかりにすることで、実現への流れを加速していく時期なのだとも思います。
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edustigiodo | 2013.07.21 23:21
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