東北地方太平洋沖地震~原発は必要か否か18・原発がCO2を排出しないのはウソ!~
東日本大震災が起こってから3週間が経ちました。けれど、なかなか解決へ向かう気配の見えない福島原発。報道を見ているとむしろ事態は悪くなっているのでは…とさえ思ってしまいます。
福島原発の事故以来「原発のことをもっと知りたい」「事実は何なの」と事実を探索されている方が当ブログにもたくさん足を運んでくださっています。ありがとうございますどの記事もとてもわかりやすくまとまっておりますのでぜひこれまでの17回も読んでいただければと思います一覧はこちらです
前置きが少し長くなってしまいましたが、
本日扱うのは原発がCO2を出さないってほんと??というお話です
スリーマイル島原子力発電所事故やチェルノブイリ原子力発電所事故が相次いだことで、一時は世界中が反対派だった原子力発電。しかし、1990年代から原子力発電を推進する流れに変わっていきました。この転換の理由は1989年に発表された地球温暖化説からでした。この頃から「地球温暖化の原因はCO2が原因であり、CO2を大量に出す火力発電ではなく、CO2を出さない原子力発電を推進すべき!」という風潮に変わっていったのです。
でも、ここにはマスコミが報道しないとんでもない事実が隠されています。
なんと原発を推進してもCO2は減らないんです
特別企画『東北地方太平洋沖地震~原発は必要か否か』シリーズ、18回目となる今回は
原発がCO2を排出しないのはウソ!という話を「日本を守るのに右も左もないブログ」の記事を再編集してご紹介します
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☆原発はCO2を出さないクリーンなエネルギーってほんと?
一度は原発なんていらない となった世界世論が一転したのは、
「原発はCO2を排出しないので、温暖化対策になり地球環境保全のためには良い 」
という世論が形成されていったからです。
世界各国の状況の詳細はこちら→日本を守るのに右も左もないブログ『日本の原発導入の歴史5~海外の現況~』
でも、原発って本当にCO2を出さないのでしょうか?
原料のウランを作るのに濃縮する必要があるけどそれってエネルギー使わないの?とか
廃棄物を処理するだけでもエネルギーを使いそうだよね?とか
ちょっと考えただけでも、たくさん疑問が出てきますよね
では日本を守るのに右も左もないブログ『日本の原発導入の歴史6~原発と温暖化』を参考
に、原子力発電で使われているエネルギーについてご紹介していきます。
☆燃料のウランを作り出すために大量のCO2を排出している
発電所(100万kW時)を一年間運転するのに必要な燃料は、石油なら140万トン、石炭なら220万トン。それに対して、濃縮済みのウランの場合は30トンです。それだけ見たら、ウランの方が圧倒的に効率良く見えます。ところが…
燃料ペレットは燃えるウラン(核分裂を起こしてエネルギーを出すウラン)であるウラン235、約3%と燃えない(核分裂しない)ウラン238、約97%からなっています。
天然のウラン鉱石中の、ウラン235とウラン238の割合は0.7%と99.3%です。そのため燃料ペレットを作るには、ウラン235の濃度を高くしなければなりません。これを濃縮といいます。
30トンの燃料を作るために、ウラン残土が約240万トン、鉱滓(低レベル放射性廃棄物)が13万トンでると計算されています
(写真含め、「よくわかる原子力」http://www.nuketext.org/uranium.htmlより転載)
引用にあるように、ウラン燃料はウラン235の濃度を高めるため濃縮しなければなりません。濃縮には、ガス拡散法、遠心分離法、レーザー原子法、レーザー分子法、エアロダイナミック法、化学法濃縮法、プラズマ分離法、電磁濃縮法といった方法がありますが、いずれも大量の電力を使うものであり、当然ながら大量のCO2発生を伴います。(参考:ウィキペディア)
そして、原発によるCO2発生のデータで、ウラン残土や鉱滓の処分に掛かるエネルギーおよびCO2発生に触れたものはありません。処分に莫大な費用が掛かるため、放置されているからです。(放置されているがゆえに、放射能汚染源となっている事実は一旦置きます)
したがって、計253万トンもの掘削が必要なウラン鉱石の方が効率が良いというのは、誤魔化しです。日本の場合は、輸送に掛かるエネルギー(とCO2量)も考慮しなくてはなりませんが、国内の石炭を使うのであれば、ウラン鉱石を採掘し濃縮するよりはるかに経済的であり、CO2発生量も少ないはずです。
つまり、ウランの燃料ペレットは石油の固まりであり、製造する際、大量のCO2発生を伴うものなのです。
☆放射性廃棄物の処理時には大量のCO2が発生する
「処分ピット内への廃棄体定置状況」
(「原子力環境整備促進・資金管理センター」http://www.rwmc.or.jp/library/pocket/low-level/disposal/2-b1.htmlより転載)
原発のゴミは、青森の六ケ所村へ持って行っています。全部で三百万本のドラム缶をこれから三百年間管理すると言っていますが、一体、三百年ももつドラム缶があるのか、廃棄物業者が三百年間も続くのかどうか。
もう一つの高レベル廃棄物、これは使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出した後に残った放射性廃棄物です。日本はイギリスとフランスの会社に再処理を頼んでいます。去年(一九九五年)フランスから、二八本の高レベル廃棄物として返ってきました。これはどろどろの高レベル廃棄物をガラスと一緒に固めて、金属容器に入れたものです。この容器の側に二分間いると死んでしまうほどの放射線を出すそうですが、これを一時的に青森県の六ケ所村に置いて、三〇年から五〇年間くらい冷やし続け、その後、どこか他の場所に持って行って、地中深く埋める予定だといっていますが、予定地は全く決まっていません。余所の国でも計画だけはあっても、実際にこの高レベル廃棄物を処分した国はありません。
(「原発がどんなものか知ってほしい」http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/hirai/pageall.htmlより転載)
プルトニウムの(放射能)半減期は24000年と言われています。(2千4百年じゃないですよ、2万4千年です)一体誰が24000年先まで責任を取れるのでしょうか?子々孫々にわたって毒性の強いゴミを押しつけているのが原発です。そこまで管理を続けるために発生するCo2については、誰にも計算できません。したがって計上もされていません。
☆原発の耐用年数は40年。40年後の建替え時には大量のエネルギーが必要
福島原発も少しずつ“廃炉”という言葉が聞かれるようになってきました。
「廃炉には100年以上、費用は天井知らず」という報道にあるように、原発を廃炉にするには莫大なエネルギー=CO2が排出されるんです。
放射能だらけの原発を無理やりに廃炉、解体しようとしても、造るときの何倍ものお金がかかることや、どうしても大量の被曝が避けられないことなど、どうしようもないことが分かったのです。原子炉のすぐ下の方では、決められた線量を守ろうとすると、たった十数秒くらいしかいられないんですから。
机の上では、何でもできますが、実際には人の手でやらなければならないのですから、とんでもない被曝を伴うわけです。ですから、放射能がゼロにならないと、何にもできないのです。放射能がある限り廃炉、解体は不可能なのです。放射能まみれになってしまった原発は、発電している時と同じように、水を入れて動かし続けなければなりません。水の圧力で配管が薄くなったり、部品の具合が悪くなったりしますから、定検もしてそういう所の補修をし、放射能が外に漏れださないようにしなければなりません。放射能が無くなるまで、発電しているときと同じように監視し、管理をし続けなければならないのです。
(「原発がどんなものか知ってほしい」http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/hirai/pageall.htmlより転載)
原発のゴミ同様、半減期24000年のプルトニウムに汚染された原子炉を、いつまで監視し続けなければならないのでしょうか?「エネルギー総合工学研究所」のデータ(http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data5007.html)に、そのような条件下でのCO2発生が見込まれていないことは明らかです。
ところで、原発の電気は安いと言われていますが、むしろ電気事業者の経営を圧迫しているようです。
ところが、現実には、電力会社の原子力関連の支出が、経営を圧迫していることを認めざるを得ないところまで来ている。例えば、電気事業連合会によると、 40年間の使用済み核燃料の国内再処理費用が約16兆円になるという。その内、約7兆円は電気料金に上乗せして徴収(電気料金の引き上げ)、残りの約9兆円については財源が未定であり、電事連としては、この約9兆円を電気事業へ新規参入する企業や国税からの拠出で賄いたいとしている。
(「環境問題」を考える」http://env01.cool.ne.jp/ss02/ss022/ss0225/ss02251.htm#n022より転載)
原発の電気が高コストだということは、石油に支えられた工業社会においては、それだけ石油を使っている可能性が高い、ということでもあります。さらに、原発の維持管理費用も尋常ではありません。
つまり、原子力発電推進派のいう「原発はCO2排出ゼロ」という謳い文句は、濃縮ウラン製造時に使うエネルギーや廃棄物処理、工場維持にかかるエネルギー等の、目に見えない費用目に見えないCO2発生を見ないことにして推進しているということなんです。
スリーマイルやチェルノブイリなど、大きな原発事故があったにも関わらず、たった数十年で推進派に転換してしまった世界各国。それは原発の危険性をきちんと調べ、心に刻むことなく経済成長の波に任せてしまったからでしょう。福島原発事故が起こってしまった日本では、この事実をきちんと共認し、世界を巻き込んで原発反対の共認運動を確固たるものにしていきたいですね
最後まで読んでいただきありがとうございました
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