2008-01-31

原子力産業の再編②:BWRとPWRの違いによる力関係は?

 原発について、この間の皆さんの投稿を読んで私も改めて調べてみました。たしかに、原子力発電をとりまく市場環境は急速に変化しつつあるようです。まずは、以前にkirinが提起された疑問について考えて見たいと思います。
原子力産業の再編:国際金融資本家たちによる『原子力市場』の刈り取りが始まってきた
>それにしてもなぜ、日本のメーカーが中心になって原子力メーカーが再編されてきているのか?
>また、なぜ、アジア圏そしてアメリカで原子力発電所の新設ラッシュが大きく計画されているのか?>詳細に『原子力市場』の構造を早急に解明していかなければならない状況です。

 では、現在までの業界再編の流れを確認してみましょう。
121-6-4.gif
〔2〕我が国原子力プラントメーカーのこれまでの状況

 1980年代以降の長い原子力の冬の時代においても、我が国では原子力の利用・開発を持続し、少ないながらも新規建設が継続されてきたため、我が国のメーカーは設計、製造、建設技術面で優位性を有しており、また、これらを支えるコア部品では強い裾野産業を有しています。このため、米国等のメーカーにおける新型炉開発においても、我が国のメーカーは重要なパートナーとなっています。 我が国メーカーが「世界市場で通用する規模と競争力を持つよう体質を強化すること」(「原子力政策大綱」)が政策上の目標とされています。

エネルギー白書2007年版より引用
しかし、業界再編の前提となるPWRとBWRとは一体どういうものなのでしょうか。そこから押さえないと前に進みません。まずはそこを確認してみましょう。続きに行く前によろしくお願いします。

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長くなりますが、一気に見ていきましょう。
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山賀 進のWeb siteより引用

沸騰水型原子力発電所(BWR):BWRではウラン燃料から発生する熱エネルギーによって冷却水が加熱され、約70気圧、約280度の蒸気を原子炉の中で発生させます。BWRは、原子炉で発生した蒸気によって直接タービン・発電機を回転させて発電する方式です。沸騰水で発電するので、「沸騰水型」と呼んでいます。
BWRでは原子炉で発生した蒸気をそのまま発電に利用するため、放射能を帯びた蒸気の取り扱いには細心の注意が必要です。具体的には、蒸気を回収して再び原子炉の中を循環させるだけでなく、関係する設備を全て遮蔽し、放射能が外部に漏れることを防いでいます。
加圧水型原子力発電所(PWR):PWRでは、原子炉容器の中の水(一次冷却材)は沸騰しないように約160気圧に加圧されており、ウラン燃料から発生する熱エネルギーによって約320度の高温の水になります。この高温水を蒸気発生器に送り、蒸気発生器によって二次冷却材の軽水を沸騰させ、最終的に高温・高圧の蒸気としてタービン発電機を回して発電する原子炉です。加圧した水から蒸気発生器でエネルギーを取り出すので、「加圧水型」と呼んでいます。
このように、一次冷却系と二次冷却系を有するPWRでは、放射能を一次冷却系に閉じこめることが出来るので、BWRのように全ての関係する設備を遮蔽する必要はありません。また、一次冷却材の加圧水は熱せられても液体の状態であるため、放射能を含む蒸気として扱うBWRと比べて再循環が容易です。また、蒸気発生器により沸騰した二次冷却水は、基本的に放射能を含んでいないので、外部への放射能漏れを防ぎやすいというメリットを有しています。但し、PWRは一般的に仕組みが複雑となり、保守・改修の手間がかかる上、BWRよりコストを要するというデメリットもあります。

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NISAメールマガジンより引用
 ようやく業界再編を考える上での入口まできました。そんな背景の中、BWR、PWRの技術を有する下記の各メーカー群が鎬を削っているというのが現状です。ちなみに世界でのシェアは、PWRが3/4、BWRが1/4となっており、今回の東芝(BWR)による米ウェスティングハウス(PWR)の破格の買収劇は今後、アジア新興市場及びアメリカ新設市場、そして欧州でのリプレース市場(耐用年数に達した原子炉の建替え)などを睨んでPWRにからむ特許の4割を押さえているWHを各社が争ったということのようです。
東芝+米ウェスティングハウス(WH)
日立+米ゼネラル・エレクトリック(GE)
三菱重工+仏アレバ
さて、メーカー間の熾烈なシェア争いについては引き続き、考えていきたいと思います。

List    投稿者 systema | 2008-01-31 | Posted in F03.原子力発電ってどうなの?5 Comments » 

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コメント5件

 なでしこ☆ | 2008.07.12 21:18

むむっ!気になりますね☆
今後の記事、楽しみにしています(^0^)ノ

 通行人 | 2008.07.12 21:50

昭和20年代の田舎には、富山の薬売りが置いて行く漢方中心の薬箱がありました。
子ども時代にお世話になったのが、強度腹痛の場合の「熊の胆」。それと擦り傷、切り傷消毒の「ヨードチンキ」でした。
そして、祖母や母親は、屋敷に生えているドクダミを揉んで、かぶれや切り傷に摺りこんでいた。
煎じ薬も使っていました。(煎じ薬は、さすがに子供には余り処方しませんでしたが。)
そして、祖母は近代医薬とは、殆ど無縁に過ぎしましたが、満98歳までの長命でした。
近代医薬の成立は、一方では、民間治療法・民間治療薬(薬草・漢方)の駆逐の歴史でもあります。
その側面も是非、期待します。

 poke | 2008.07.12 21:56

漢方に代表される自然界の薬効利用に対して、近代医学の薬はいったい何が違うのか!?そもそもそ近代医学の薬の成り立ちとは!?薬とは何か!?
☆あーもう、超気になりますぅ~!

 finalcut | 2008.07.16 23:10

なでしこ☆さん、通行人さん、pokeさん
コメントありがとうございます。
このあと、モルヒネ→アスピリン→ペニシリン→ステロイドと続けて近代医薬の姿を明らかにする予定ですが、みなさんが気になってる「漢方」もやっぱり避けては通れないですね~。
シリーズの終盤には突っ込んでみようと思ってます。

 匿名 | 2008.07.24 12:02

富山の薬売りさん懐かしいですね。
使用した薬を補充しながら玄関先に腰掛けて、近隣や世の中の情報を話し一服されていた姿が懐かしい。
高度成長により交通の発達や車の普及と共に病院や薬屋さんで即効性のある薬を手軽に手に入れることが出来るようになり、家庭での薬箱からの薬の消費が減るとともに、薬売りさんの姿も無くなりました。
薬箱を大きな風呂敷に包み背中に背負って歩く姿が今でも目に浮かびます。
代々受け継がれた人間の知恵から生まれた薬とお金儲けが絡んだ化学物質で合成された薬なにか大きな物をなくしたような不安を感じます。

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