2007-06-21

脱原発の現状は?

 最近、以前ほどは「原発反対」といったマスコミの記事を見なくなったような気がしています。そこで、原子力発電をめぐる現状はどうなっているのか、について調べてみました。まずは、現在の世界における原子力発電容量の比較グラフを見てみます。

(出典:「原子力百科事典」http://atomica.nucpal.gr.jp/atomica/index.html
現状ではアメリカ、フランス、日本が上位を占めているのですね。さらに詳しく今後の各国動向を見てみます。その前によろしくお願いします。
 

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◆世界の原子力発電の動向 (01-07-05-01)
 2005年12月末現在、世界で運転中の原子力発電所は439基、合計出力は3億8,505万4,000kW(前年:434基・3億7,920万7,000kW)、建設中は36基、出力3,140万5,000kW(前年:33基・2,805万2,000kW)、計画中は39基、出力4,006万kW(前年:38基・3,972万3,000kW)となった。世界各国で原子力発電を見直す再評価の動きが強まったことから、運転中の合計出力は、前年をさらに上回り、過去最高となった。
◆世界の原子力発電の動向・日本 (01-03-04-02)
 わが国の2002年7月1日現在に運転中の原子力発電所は、合計52基、設備容量4,574万2000kWとなった。2001年度の原子力発電電力量は約3,194億4,525万6,000kWhで、平均設備利用率は80.5%であった。東北電力の女川3号機は2002年1月30日、営業運転を開始した。2002年度の電力供給計画によると、2010年度までに合計12基、1,611万kWが営業運転を開始する見通しである。
◆世界の原子力発電の動向・西欧州 (01-07-05-07)
 欧州各国は、1970年代の石油危機を契機に、石油代替電源として大規模な原子力発電開発を行ってきた。その結果、2005年12月末現在、西欧州全体では135基・1億2,996万5000kWの原子力発電設備が運転され、EU加盟国の電力供給の約33%を賄う。これらの国々は、国境を接するか、海に隔てて隣接しているため、国際的な送電網が発達し、電力の国際取引も盛んに行われている。1990年代に入ってエネルギー・環境面で重要課題として浮上してきた地球温暖化への対策としても、原子力発電は温室効果ガス排出ゼロの電源として、その重要性が再び注目されている。
◆世界の原子力発電の動向・北米 (01-07-05-04)
 米国およびカナダで、建設中・計画中の原子力発電所はないが、両国を合わせ、運転中のものは121基、発電設備容量は1億1,616万8,000kWで、世界全体の約30%を占める。
 米国ではここ数年、原子炉の新規建設を目指す動きが顕著になり、カナダでも原子炉の建設計画が具体化しつつある。どちらが先に建設に着手するにせよ、北米ではカナダのダーリントン4号機(1985年に着工)以来となる。両国における原子力発電再評価の背景には、増大する電力需要への対処を迫られた州や連邦政府が積極的に原子炉建設をバックアップしていることや、公衆の原子力発電に対する見方が好転していることなどがある。
(出典:「原子力百科事典」)

 これを見ると、1980~90年代にかけての世界的な脱原発の流れが、再度、原発回帰へ戻ってきつつあるように思います。要因としては、石油資源の枯渇による代替エネルギーの確保と、地球温暖化対策といえそうです。たしかに、二酸化炭素排出の削減だけを見れば核燃料は有効なのかもしれません。
 しかし、放射性廃棄物の処分及び廃炉の莫大な費用や環境への影響、さらには頻発する事故(安全性は大丈夫なのか?)、などの問題点は全く解決されていません。そもそも、原子力推進の根拠となる地球温暖化の実態と問題点、かつ、その主要因が二酸化炭素排出にあると特定している根拠は何なのかがどうもすっきりしません。
 地球温暖化問題とは、環境ビジネスや代替エネルギービジネスの積極的拡大のための「大義名分(錦の御旗)」でしかないのではないでしょうか。引き続き、考えてみたいと思います。

List    投稿者 staff | 2007-06-21 | Posted in F03.原子力発電ってどうなの?3 Comments » 

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コメント3件

 雑草Z | 2007.08.13 14:41

  
 「CO2 温暖仮説は間違っている」などで有名な槌田敦さんも無機成因説派で、石油はあと100年(200年?)は枯渇しないなどと述べています。 
 前回の記事を読んで生物成因説も、単なる既成認識としてコンセンサスを得ているだけで、それほど説得力のある定説ではないと感じました。
 さらに今回の記事を読んで、無機成因説のほうが確からしいと感じました。
 どちらにしても、これからは、石油や石炭を『化石燃料』と呼ばずに、近藤邦明さんの呼び方にならって、『炭化水素』と呼ぶことにします。が、・・・ちょっとしっくりこないので、もっといい呼び方はないでしょうか?

 磯貝朋広 | 2007.08.29 13:10

雑草Zさん、お久しぶりです。コメント有難うございました。いろいろ考えていくと、あとどれだけ採れるかわからない石油に、ほぼ全ての活動を依存しているなんて、現代社会、現代文明も、実はたいしたことないのかも知れないと思う今日この頃です。
もし『化石燃料』であるならば、将来のことも考えず平気な顔をして『化石』に依存していること自体おかしく、人間は実に楽観的な生き物だなぁと思ってしまいます。
『炭化水素』。たしかに、ちょっとしっくりこないですね。
(でも『化石燃料』よりは的確な呼び名だと思います)
いい呼び名を思いついたら、また投稿します。これからも宜しくお願いします。

 匿名 | 2011.04.30 19:30

地球内部で石油が生成されるには、約60万年程度かかるとは言っても、60万年前に生成され始めた石油が次々出てくるわけで、
時間よりも単位時間あたりの生成量に目をつけるべきだと思ったりしました。

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