【原発関連情報】汚染水問題の解決は可能か?
福島第一原子力発電所の汚染水漏れ問題は、非常に深刻な状況になっている。
この問題には、同時平行的に発生している3つのトラブルが相互に関連し、これらが混同されて報道されているため、情報が錯綜。
現在得られている情報をもとに、福島原発で起こっていることを整理してみる。
●汚染水問題は以下の3つのトラブルが重なることで非常に深刻な状況となっている。
汚染水漏れの問題は、 (1)汚染水タンクからの水漏れ、(2)地下貯水タンクからの水漏れ、(3)地下水の流入、の3つに大別することができます。
(1)は汚染水を貯蔵する地上タンクから汚染水が漏れ出ている問題です。このタンクは、原発内で発生する様々な汚染水を貯蔵する目的で作られたものです。このうち複数のタンクから高レベルの放射能を持つ汚染水が約300トン外部に漏れていることが明らかになりました。その一部は海に流出したと見られています。
(2)は原子炉内を冷却した水を保管する地下貯水槽から水漏れが発見された問題です。中に入っていた汚染水はやむを得ず、(1)の汚染水タンクに移送されていますが、これによって汚染水タンクが足りなくなるという問題も発生しています。
状況をさらに深刻にしているのが(3)です。福島原発の地下には無数の地下水が川のように流れているのですが、これらの地下水が事故を起こした原子炉建屋にも流れ込んでいます。この状態を放置すると建屋が汚染された地下水で溢れかえってしまうので、毎日400トンの水をくみ上げて対処しています。しかし、この汚染水の行き先もやはり地上に設置した汚染水タンクになっており、ますます地上のタンクが足りなくなっているのです。
リンク
以下の図は リンク より借用しています。
10月3日に報道 された、汚染水漏れの事故は、上記の貯蔵タンクから漏れ出したものです。
ところで上記図にある「多核種除去設備」はALPSと呼ばれ、セシウム以外(セシウムは水処理設備で処理されている)の62種の放射性物質(トリチウムを除く)の除去が可能な設備となっている。
このALPSで除去不可能な「トリチウム」の除去について、注目を集めた発言があった。
●原子力学会の事故調査委員会は9月2日、東京電力福島第一原発事故で増え続ける汚染水について、放射性物質の除去装置で取り除けないトリチウム(三重水素)は薄めて海に流すべきだとする見解をまとめた。
この発言を巡り様々な意見・批判が寄せられている。
★原子研究機構「トリチウム除去の研究はしてない
皆様にはなじみのない放射性物質トリチウムが危険性が高く、破壊的であり、放射性物質のワーストNo.1であることをまずお伝えしておきます。
トリチウムは別名、三重水素とも呼ばれ、水素爆弾の主原料でもある。
特徴は、水素の放射性同位体であり、水に溶けやすく、半減期は約12年。弱いβ線を出して崩壊する核種である。
放射性同位体の中でたも、危険性が高く、破壊的であり、放射性同位体のワーストNo.1である理由は、水素結合しているDNA等を直接被曝することから、かなり破壊的、破滅的と言える。
さらに放射性物質でありながら、水素が元素転換してヘリウムに置き換わる点も見逃せない。この一連の流れによって、さらに破壊力がますと考えられる。
ある意味プルトニウム以上に怖い核種と言える。
海に漏洩した放射性物質が一所にたまることなく、均一に分散し、放射性物質を生物が体の中に取り込まず、放射性物質を取り込んだ生物を他の生物が食べず、偶然に放射性物質を取り込んだ生物を漁船が網に入れることがない・・・などかなり多くの非現実的な仮定をする必要がある。
というのは、「大量に放射性物質を海に放出した」という例がないのだから、「自分は神であり、自分が考えている事はすべて正しく、それを「学問(内的精神的活動)」ではなく、実行に移しても問題は無い」というのだから、かなりの錯覚だ.
後輩にこのような科学技術者がいるのはとても残念に思う.でも、国民側も原発再開や目の前の「どうしようもないこと」を経験して右往左往しているように見える.
●この危機的な状況に対して、現実的にどのように対応すべきなのか?
以下いくつかのアイディアを紹介。
★凍土方式
凍土方式とは耳慣れない言葉だが、要は地中を冷やすことで土と一緒に地下水を凍らせてしまう方法だ。マイナス数十度の冷却液が循環する管を、建屋を取り囲む形で少なくとも1.4キロにわたって埋設する。
効果は期待できるのだろうか。中部大教授の武田邦彦氏はこう言う。
「めったに使わない凍土という方法を持ち出したことは、東電と国が追い詰められている証拠です。ただ、地下はけっこう暖かく、15度くらいはある。常に冷やし続けなければならないし、本当に土と水を凍らせることができるかはあやしいですね」
東京電力に聞いてみると、こちらも自信なさげだった。
「凍土はこれから検証試験をして効果があるかを見極め、工事を開始します。費用などハッキリしたことは分かりません」(広報室)
★「粘土」を使った浄化
民間からはさまざまな浄化方法が提案されている。東邦大理学部の山岸晧彦訪問教授が提案しているのは、「粘土」を使った浄化だ。バーミキュライトという粘土鉱物にセシウムの除去効果があるといい、この粘土を使って円筒状の容器を造り、汚染水を毎時6トンの速度で流せば、1本で約1.3万トンの汚染水を浄化できるという。
★柏崎刈羽原発に運び、処理する方法
現時点での“最終兵器”とみられているのが、京大原子炉実験所の小出裕章助教が日刊ゲンダイ本紙インタビューでも指摘した「廃液処理装置」のある柏崎刈羽原発に運び、処理する方法だ。廃液処理のメリットは汚染水を大幅に減らせることだ。汚染水を蒸留することで「濃縮廃液」と「真水」に分離させられる。放射性物質を取り除いた水は海へ戻すことも可能になる。残った濃縮廃液はセメントで固化処理する。
「汚染水処理の最大の難問は、トリチウムです。トリチウムは“三重水素”とも呼ばれ、水と構造がよく似ているため、普通の除去装置では汚染水から分離することは難しい。水から水は分けられない。その点、柏崎刈羽にある“廃液処理施設”は、分離が可能。この処理施設の性能を強化することが現実的でしょう。ただ、政府は汚染水を福島県外に運ぶ決断がつかないようです」(経産省関係者)
★汚染水を蒸留
方法は至って簡単で、まず汚染水を蒸留し、蒸溜のガス側をガスのまま分離し、液側(ボトム)を蒸発乾固して、この場合もガス側はガスのまま分離し、固体側をドラムに詰めて福島原発の側に埋める・・・言い悪いではなく、それ以外の方法はない.お金もそれほどかからないし、技術は存在する.
まだまだ手探り状態が続くこの汚染水問題。
まったくの未明課題に対し、答えを作り上げていかなければならない現場のプレッシャーは想像を絶するものだろう。
世界中からの批判と注目が集まる中、逃げずに・ごまかさずに・あきらめずに、対処することが求められている。
と同時に、このような危機を生み出した原子力発電という技術、科学技術万能信仰という思想について、繰り返し繰り返し総括しなければならない。
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